訪問リハビリ

自閉症・発達障がいでも訪問看護・リハは利用できますか?

 こんにちは。大阪こどもリハ訪問看護ステーションの中野です。

 医療的ケアの必要なお子様や重度の障がいをお持ちのお子様の場合、特に疑問を持つこと無く訪問看護やリハを利用されるかもしれません。

 ですが、自閉症スペクトラム障がいや発達障がいをお持ちのお子様が訪問看護・リハを受けられる事は意外と知られていません。

 実は訪問看護やリハを利用して効率的に子育てできるのですが、今回はその条件や方法についてご紹介したいと思います。

訪問看護・リハを受ける為の条件

 条件はただ一つで医師の指示書が発行されるかされないか?です。発行される条件はお子様に訪問看護・リハが必要だと主治医が認めることです。

 ですので、未診断・未受診では利用できません。

 主治医に「自閉症スペクトラム障がい」や「学習障害」「ADHD」等の診断を受ける必要があります。

 その上で指示書を発行してもらう為に二つの方法があります。

小児科医等による指示書

 多くのお子様は小児科医にかかられていると思います。小児科医等が発行できる指示書は「訪問看護指示書」と良い、医療保険の対象です。

 回数は週3回までです。

 年齢によって自己負担額は2〜3割ですが、市町村によってはこの自己負担額を保証してくれるサービスがあります。東京23区は、区が完全に保証してくれるらしいですが、わが町大阪の小児医療受給者証で病院の通院等は1回500円、一月最大1500円という助成がありますが、訪問看護・リハは対象外です。

 ですので、週に1回の利用であっても、3割負担で一ヶ月に10000円ほどの負担となってきます。

精神科を標榜する病院での精神科医による指示書

 いわゆる訪問看護の「精神科」版です。

 精神科訪問看護では、一定以下の所得の場合「自立支援医療(精神通院医療)」の助成が受けられますので、自己負担額は1割となります。

 条件は精神科を標榜する病院で、精神科医に指示書を発行してもらうこととなります。自立支援医療の受給者証を受けることで自立支援医療の対象となります。

 今の主治医の在籍する病院に精神科があればスムーズですが、そうでない場合は受診の手間がかかってしまいますが、負担的には随分楽になります。

 また、精神科訪問看護の対象は「精神疾患のある利用者と家族」とされています。例えば引きこもってしまっているお子様に直接アプローチが出来なくても、ご家族支援を訪問看護・リハの枠で行うことができます。

 ですから、自閉症スペクトラム障がいやその他発達障がいを持つお子様の場合、精神科への通院というハードルはありますが、精神科訪問看護の枠が、より良いサービスを提供できると私は考えています。

精神科訪問看護・リハを受ける上での問題点

 精神科訪問看護は近年急激に需要が増え、精神科訪問看護を行う事業所は増えてきております。ですが、精神科訪問看護を行えるのは経験のある看護師・保健師・准看護師、作業療法士となっています。

 経験とは、1年以上の精神科病院や精神疾患を持つ人への訪問経験かあるいは訪問看護協会等が実施する精神科訪問看護算定の為の研修を修了した人です。

 ですから、精神科訪問看護を行う看護師・作業療法士の大半が大人を対象としています。自閉症スペクトラム障がいや発達障がいを持つ子ども達の対応ができる訪問看護ステーションが殆どなく、小児の訪問看護・リハをやっていても精神科訪問看護では算定できないステーションが大半だということです。

 当ステーションでは現状1名、6月以降は3名が精神科訪問看護・リハを行うことができます。大阪市周辺に限られますが、お近くにお住まいのお母様は是非ご検討下さい。

訪問看護を受ける方法

 まずは、自閉症スペクトラム障がいや発達障がいを持つ子ども達に対して訪問看護・リハを行ってくれる事業所を探す必要があります。

 大阪府下では殆どなく、私自身は当ステーション以外に実施しているという話を聞いたことがありません。

 また、業界の大きな問題点の一つなのですが、分かりやすいウェブサイトを持っている所が少ないので、探すのにも一苦労です。

 受け入れ可能なステーションがあれば、主治医に相談し通常の訪問看護指示書を書いてもらうか、精神科を紹介してもらうかという形になります。

 精神科訪問看護を利用の場合は、指示書の他に、自立支援医療の受給者証の発行を受ける必要もありますので、同時に診断書を発行してもらう必要もあります。

 窓口は各市町村となってますので、まずは窓口に問い合わせてみて下さい。大阪市の場合はこちらから確認ができます。

訪問看護・リハで何ができるの?

 これは各ステーション、各担当者によっても変わると思いますから、ここでは当ステーションではどのようなサービスが受けられるか?についてご紹介したいと思います。

 基本的には『子育て支援』だと捉えています。お子様やご家族が日常の中で困っていることをご自宅というご本人にとって守られた安全な空間で練習したり、お母様にどういう関わりが伝わりやすいか、しつけやすいか?などをお伝えします。

 イメージとしては『家庭教師』でしょうか。学齢期のお子様が例えば学校の勉強で躓いているとするなら、その原因を追求し、ご自宅で遅れを取り戻すお手伝いをすることもできます。あるいは、鉄棒が上手くできずにバカにされたという事にご自宅でその練習をすることもできます。

 お友達との関係作りが難しければ、その原因を解明し、上手く人間関係を築く練習もできます。

 家庭教師は5教科に限られていますが、私達はお子様やご家族が今困っていること、これから困難が予測されることに対して幅広く対応することができます。

 看護師と作業療法士で提供する内容はほぼ同じですが、作業療法士はより運動機能や感覚統合に関する問題についても対応することが可能です。

 絵本の読み方一つとっても、ご家族様に「あ〜、こうやって読んであげれば理解しやすいんだ!」という気づきに繋がる関わりを心がけています。

おわりに

 対応できるステーション、担当者が少ないのが現状です。ですが、対応できるけど、知らない事業所・担当者がいるのも事実です。

 何を隠そう私も訪問看護ステーションを立ち上げる直前まで知りませんでしたし、私と出会う看護師・作業療法士も知らない人が大半です。

 お子様も現状精神科を受診されたことが無い方が大半だと思いますから、受給者証発行までにある程度時間がかかります。そのロスを見越して、お近くで小児対応可能な訪問看護ステーションを探し、精神科訪問看護の算定研修を受けてもらう提案をしてみても良いかもしれませんね。

 大阪市内・周辺地域のお母様は、まずお問合わせ下さい。

 皆様の子育てがより良く、笑顔溢れるものになることをお祈りしております。私達にできることでしたら、何なりとご協力致しますのでご連絡下さいね。

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