障がい児育児・療育

感覚統合って何?効果あるの?遊んでるだけにしか見えない…

 こんにちは。大阪こどもリハ訪問看護ステーションの中野です。

 先日、大阪市内の自閉症を伴うお子様のお母様から相談を受けました。

 「うちの子みたいな子どもにはどういうリハビリが効果的なの?」「お宅のリハビリはどないなもんなの?」と。

 そのお子様は現在放課後等デイサービスで感覚統合療法を受けておられるとのことでした。私も基本的に年齢の低いお子様に対しては感覚統合をベースに治療プランを考えておりますとお伝えしました。

 その後のやり取りについて、気になっておられるお母様も多いのではないかと思ってこの場を借りてシェアしたいと思います。

感覚統合療法とは?

 ざっくり申し上げますと、お子様が抱えておられる問題を外界からの「感覚」を感じること・理解すること・利用することの問題だと捉えてアプローチする方法論です。

 感覚統合療法はアメリカの作業療法士であるエアーズさんによって開発された方法で、その効果については多くの論文で好意的にも批判的にも取り上げられています。

 日本において、自閉症スペクトラムや学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障がいのお子様のリハビリテーション法の第一選択として選ばれる手法です。

 もちろん、お子様の正確や、担当者との相性、担当者の技量などなど、その効果を良くも悪くもする要因は多々あるものの、方法論や考え方については個人的には好意的に捉えております。

感覚を感じる、理解する、利用するって何?

 「感覚」の問題とは何ぞや。ここでは、ごくごく単純に分かりやすくご説明致します。

 例えば、「誰かがおならをして臭かったから鼻をつまむ」というシーンを思い浮かべて下さい。お下品な例えで申し訳ないのですが思いついてしまったもので…。

 まず、人は「臭い」という嗅覚を通じた感覚を感じます。これが、先程お伝えした「感じる」という能力です。

 そして、嗅覚を通じて脳に情報を伝達して「不快な臭いである」と理解するシステムが作動します。「臭い」とは「不健康」であるという恐らく遺伝的なメカニズムによって理解が促進されます。

 その空気を漂って入力される「臭い」という感覚を遮断するために「鼻をつまむ」という行動を起こします。臭いを感じなければこの行動は起きないわけです。ですから、人はこの臭いという感覚を「利用して」鼻をつまむという行動(対策)を行います。

 これが感覚を感じる・理解する・利用するという、人間の行動のごくごくありふれた流れです。

感覚統合障がいとは?

 エアーズさんは、子どもたちが取る(親や周囲にとって)適切でない行動は、この感覚の感じる・理解する・利用するという一連のシステムに何らかのエラーが生じた結果であると捉えました。

 これはCTやMRIにおいて明確な場合もあれば、そうでない場合もあります。

 発達障がいと言われるお子様方においては多くの場合、画像上不明確な事が多いでしょう。ですから、本当に感覚システムに問題が起こっているかどうか?は不明です。

 だから、本当に効果があるか、ないかについては、実際のところわからないのですが、こういう理論を頭において関わった結果効果があったケースも少なからずあるという経験則に基づいた治療法が感覚統合療法です。

 これは感覚統合療法に限った問題ではなく、多くの治療法に共通の問題があります。

 例えば肢体不自由のお子様に対するボバースコンセプトに基づいた治療というのは、日本において好意的に取り入れられています。しかし、その効果について絶対的に証明されてはいません。

 理由はただひとつ。治療者による(知識・技術・相性などの)差を埋めずに研究することが不可能だからです。

 ですから、効果を判定する際には、お子様に感覚統合障がいがあるという前提で考えてみて下さい。

お母様が感じるお子様の問題の多くは感覚統合障がいだという理由に帰結させることができます

 お子様の行動や生活における、お母様がお感じになる問題点は全て感覚統合の問題で説明することができます。

 しっかり座ってられない、順番が守れないという社会的な問題から、手が不器用とか、上手く歩けないという問題まで全て説明が可能です。説明が可能ということは、お子様は感覚統合の障がいを抱えている可能性が極めて高いということが言えます。しかし、それだけではない可能性があるというだけです。

 説明がつくので、その原因を取り除く、あるいは足りない部分を補うような関わりをします。それが感覚統合療法です。

遊んでいるだけか、治療的要素を持っているかは担当者によって変わります

 日本全体で感覚統合療法を実施している人を人集めにしたら、遊んでいるだけの人とそうでない人が二手に分かれます。

 これは本当に残念なことですが事実です。

 少なくとも作業療法士が実施する感覚統合においては、ある程度理論と状況に応じた実践が行われていると思いますが、似非感覚統合というか、感覚統合風関わりが存在するのも事実です。

 先日相談のあったお子様も感覚統合とは謳っているものの、専門家が評価していない、私からしたら似非だろうなぁというものでした。

 専門家が関わるというのは、セラピー前後の変化や、1〜3ヵ月ごとの変化を言語化できるということです。

 何でかわからんけど、何か良くなったね。ってのは治療ではありません。それを治療(療法)だと言っているのだとすればもはや詐欺です。

 例えば、先日のお母様からの相談では足首が固くて…という内容でした。

 足首が硬くなる理由は感覚統合理論からも説明可能です。お子様が抱える問題(足首が固い)の原因は〇〇という感覚統合障がいが原因で、こういう関わりによって、こうなるから足首が柔らかくなるという一連の流れを説明できて、且つ効果を証明するか、あるいは効果が出ないから別の可能性を考えるというのが専門家のあるべき姿です。

 そうでなければ、それは本当にただ遊んでいるだけ、つまり体操のお兄さん・お姉さんの関わりになってしまうでしょう。

おわりに

 最近では保育士さん向け、無資格の支援者向けの感覚統合本が多く出版されています。

 それは日本における、発達障がい児の増加と、感覚統合療法への信頼の厚さによるものだと思います。

 日本でも感覚統合療法をより広く、深く追求する作業療法士が多々いますし、私はその動き自体悪くないしもっと広まれば良いと思っています。

 ですが、「療法(治療)」というのは医療従事者しか行なえませんし、治療である以上科学的であるべきだというのが私の持論です。科学的に説明のつかないものを療法と呼ぶのには抵抗があります。

 お子様が現在受けているのが本当に治療なのか、それとも要素を取り入れた遊びなのかは実践する側の人間によって変わると言えるでしょう。

 感覚統合療法は基本的に作業療法士が中心となって実践していますから、担当者が作業療法士なのか?それとも作業療法士や感覚統合学会(こんな学会もあります)の講習を受けた人間なのか、そして何よりお子様に変化をもたらし、しっかりと説明してくれているのか?でそれが治療なのか遊びなのかを判断してくださればと思います。

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