障がい児育児・療育

お箸はいつから練習すべき?エジソン箸は使うべき?正常な持ち方とは?

 こんにちは。大阪こどもリハ訪問看護ステーションの中野です。

 私は訪問以外のお仕事の一つとして、大阪府下の児童発達支援事業所さんや放課後等デイサービスさんでアドバイザーをしたり、スタッフさん向け研修を担当したりしています。

 作業療法士ですので、お母様やスタッフさんから依頼される問題の中でも「手」に関する事が多くなります。

 筆圧のことだったり、マス目に併せて運筆することだったり、そしてペンやお箸の持ち方・使い方についてです。

 先日は、その為の評価の視点や練習方法についてまとめた資料を作りスタッフさんにお渡ししました。

 今回は、その資料の内容を一部ご紹介したいと思います。

お箸の正常な持ち方とは?

 そもそもお箸の正常な持ち方とはどのような持ち方なのでしょうか。

 結論から申し上げますと、お箸の持ち方に正常も異常もありません。ただし、日本における『伝統的な持ち方』は存在しており、それを一般的に正常な持ち方とされるます。

 下の写真は、その伝統的な持ち方です。

 では、この伝統的な持ち方は正常なのか?

 何をもって正常とするか?にもよりますが、箸を使用する目的は食事であり、箸で食事を上手に取ることを正常とするならば、持ち方はぶっちゃけどうでも良いという事になります。

 事実、私自身意識しない限り伝統的な持ち方で食べていません。伝統的な持ち方で食べると、普段使っていない筋肉が披露しますし、効率も悪くなります。

 さすがに伝統的な持ち方で食べると美味しくないとまでは言いませんが、使いやすい方法で食事する方が楽です。

 支援先では「持ち方」にこだわる人がいますが、私の個人的見解としては持ち方よりも、こぼさずスムーズに口へ運べているか?の方が重要だと考えています。

伝統的な持ち方をする人の割合

 余談ではありますが、とある調査によると伝統的な持ち方をする人の割合は成人でも50〜60%だという報告があります。幼児では20%程度、小学校低学年で40%、高学年で50%を越えてくるとなっていました。

 つまり、伝統的な持ち方を正常と定義するなら半数近くの人が異常な持ち方をしていると言えますね。

 また、持ち方と効率(豆の移動)の関連を調べた研究では、小学校高学年と成人で伝統的な持ち方をする人の割合ほぼ変わらないにも関わらず、効率は圧倒的に成人の方が良いという結果も出ています。

 箸の使用は運動ですから、何度も何度も使うことで効率が良くなるのは当然です。私のように伝統的な持ち方をしていなくても、効率は伝統的な持ち方をしている人と比べても遜色ないというのも当然なのです。

お箸はいつから練習すべきか?エジソン箸は使うべき?

 では、そんなお箸ですが、いつから練習すべきでしょうか。

 私は、子どもが「やってみたい」と思ったタイミングが最適だと考えています。

 親が子どもに「お箸で食べてみる?」という質問をし、それに対して乗り気になれば始めてみるというのが良いでしょう。子どものモチベーションの始まりは「親と同じように食べたい」という真似の欲求や、親に褒められたいという欲求から始まります。子どもは当然お箸よりスプーンやフォークで食べる方が食べやすいですし、キレイに食べることができますので、お箸で食べ始めた当初はすぐに嫌がるかもしれませんし、お箸に対して苦手意識を持つかもしれません。ですから、親や支援者は子どもがお箸で食べるチャレンジしたことを褒めてあげる必要があります。

 そして、モチベーションを維持する為にも子どもに如何にして成功体験を増やしてあげるか?が重要なポイントだと考えます。持ち方が下手でも、正しく使えていなくても「こぼさず口へ運べた」という体験を多く積ませてあげるのです。

 その為の一つのアイデアとして、エジソン箸はありなのではないでしょうか。

 何の加工もない箸より、エジソン箸の方が成功率は上がります。エジソン箸に限らず様々な商品が用意されていますから、お子さんに合った商品を選ばれると良いでしょう。

 また、食材も検討することができます。つるつる滑りやすい食材より、お箸でさすこと(フォークのような使い方)ができたり、お箸で把持することがしやすい食材を選んであげることもモチベーション維持の為に役立ちます。

 最初から箸に完全に切り替えるのではなく、まずは一口からとか、この食材だけとかなど段階づけてトレーニングをしてあげると良いかと思います。

 いつから練習するかの目安としては3〜4歳となると思いますが、まずはお子様の欲求を大事にし、成功率を上げる工夫が大事でしょう。

子どもの食事動作を支援する上で重要なこと

 食事に対して介入するとき、何よりも大事なことは美味しく食べること、楽しく食べることだと思います。

 仮にお箸を使用して時間がかかってしまったとしても、本人が楽しくその時間を過ごしていたら苦ではありません。

 お箸で食べ始めた時はその一口一口を褒めてあげることで、子どもにとって食事が楽しい時間になるかもしれません。

 また、食事において大切なのは利き手だけではありません。非利き手の使い方も非常に重要です。食器を抑えること、両手でお椀を持つこと、食器を持ち口に近づけることなど、食事の効率は非利き手の役割も大きく影響します。

 私達は子どもの食事時間を多面的に捉え、そのお子さんが食事を楽しみにするような関わりを心掛けています。

おわりに

 伝統的な持ち方でお箸を持ち、上手に使うというスキルは非常に複雑です。幼児が簡単に獲得できるようなものではありません。時間をかけ、徐々に獲得していくものです。

 定型発達の目安としては、小学校に上がるまでに箸のみを利用して給食時間中に必要量食べ終えることができること、小学校高学年迄に伝統的な持ち方で食事を終えられることといったところでしょうか。

 もちろん、あくまで目安です。子どものペースを無視して、小学校までに絶対に箸で!というのは逆効果だと思います。必要に応じて子どもにあった食具を選び、使い分ける能力の方がよっぽど子どもの為になると私は考えます。

 うちの下の子(3歳半)は、オシッコは自立してきていますが、ウンコはまだ漏らしてしまう事が多く、幼稚園で怒られヘコんでいる日があります。ですが、彼女のペースを尊重し、能動的に何とかしたいと思える関わりを心掛けています。

 子どもの箸で食べたい、キレイに食べたい、時間内に食べ終わりたいという欲求を引き出すことの方が持ち方にこだわるよりも重要なのかもしれませんね。

 ということで、今回はここまで。ご意見・ご感想・ご質問などございましたら当ステーション迄何なりとご連絡頂ければと思います。それでは、また。

参考文献

上原 正子・他:箸の持ち方・使い方の発達段階別の差異.瀬木学園紀要8:7-15.2014

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