子育て支援

保育園や学校で我慢できずに友達を叩いちゃう理由と対策

 こんにちは。大阪こどもリハ訪問看護ステーションの中野です。

 他人との「いざこざ」や「衝突」って何故起こるのでしょうか?

 多くの人のストレスに関与するのが人間関係です。その関係が良好に保たれてていれば問題ありませんが、一度軋轢が生じてしまうと一気にストレス指数は高まって、最悪の場合健康を害することもあります。

 人間関係のストレスが無くなればどれだけ生活しやすい世の中になることでしょう。

 大人になれば、どれだけ腹立たしい事があっても大抵の場合我慢することができますが、小さな子ども達はその我慢するというハードルがとても低いです。

 私のもうすぐ三才になる娘は、頻繁に私を叩いたり蹴ったりします。その都度注意しますが、中々学習できないようです。来年度から幼稚園だけど大丈夫かな…と心配にもなります。5才の上の娘はいつからか叩かなくなりました。

 今回は、子どもが我慢できずに叩いちゃう理由とその対策についてシェアしたいと思います。

そもそも人は何故他人にイライラするのか?

 「我慢ができない」で人を叩いちゃったり、怪我をさしちゃう事って大人にもあります。

 子どもに比べて大人の方が我慢ができなくなるハードルというのは高く設定されていますが、そのハードルは人によって設定が違います。

 そのハードルの高さについて考える前に、まず、何故そもそも「他人にイライラする」という状態になってしまうのかについて考えたいと思います。

 実は、この答えは簡単で「他人への期待」と「他人の行動」へのギャップから生じます。

 「服は(裏返ったままでなく)表に向けてから洗濯カゴに放り込んで欲しい」という妻の期待に対し、「裏返ったまま放り込む」という私の行動にギャップが生じ、イライラさせちゃうわけですね。

 「売上を上げて欲しい」という上司の期待に対し、「目標未達成」という部下の行動のギャップ、「休日はどこかへ出かけたい」という彼女の期待に対し、「休日はゆっくりしたい」という彼氏の行動のギャップ。

 このギャップこそ、人をイライラさせます。

 また、反対に期待以上のギャップもストレスを生んだり、疑念を抱いたりします。

 「せめて風呂洗いくらいは手伝って欲しい」という妻の期待に対して、「家事全般をやる」という夫の行動は予想外のギャップです。誕生日だけのサプライズならまだしも、今まで期待に答えてなかったのに、いきなり期待以上の行動をすると疑念に溢れます。

 期待をいい意味でも、悪い意味でも裏切ると人はストレスを感じるのです。こんな感じで期待と実際のギャップがイライラの元になることが分かって頂けると思います。

期待値の設定は人それぞれ違う

 じゃあ、あなたの期待値ってちゃんと相手に伝わってますか?

 よく話し合う夫婦や恋人、友人同士であれば伝わっているケースもあるだろうし、期待通り行動してくれる事もあるでしょう。しかし、赤の他人はあなたの期待値を知りません。

 「クレーム」が発生するのは、サービス提供者がお客様の期待値を把握できないからです。サービス業では「最低限お客様の期待に答える対応」を心掛けています(もちろんその限りでない場合も多々あるとして…)。恐らく日本のサービス業は世界一お客様の期待に答える国ではないでしょうか。

 しかし、「費用対効果」というか、価格によってその期待するサービスも変わります。「こんなに高いのに…!」とか「これが天下の〇〇ホテルのサービスか!」と言ったクレームがあるように、高価格帯のサービスであればお客の期待値は上がりますし、100均で購入した商品がすぐ壊れても100均だしなと諦めてくれるわけです。

 同じサービスをしても、そのお客様の期待値を超えれば満足してくれるし、期待を著しく下回ればクレームになります。100均商品でもすぐに壊れたらクレームを言う人もいるのは人によって期待値が違うからです。

 では、その期待値はどのように形成されるのでしょうか。その期待値形成の要因は以下の2つだと考えられます。

  • 過去の経験
  • 費用対効果

 過去の経験とは、過去付き合った男性、過去の友人、過去の店員、過去のサービスなどなど、過去経験した状況から、こういう場合、この程度の期待は当然だろうと人は勝手に見積もりを作ります。この見積もりがない場合、人は自分の欲求のまま動きます。

 子どもは欲しいおもちゃがあればそれで遊びたい欲求の量がそのまま期待の大きさになります。他人が遊んでようが、おもちゃ屋さんにある購入前の商品だろうが、遊びたいと思ったら遊びます。しかし、親に怒られたりという経験を踏まえて、ここまでは良い、ここからはダメというような見積もりをして、その範囲で行動するようになります。

 費用対効果とは、我慢(代償)に見合った報酬があるか?ということです。

 旦那がこれだけ頑張ってくれている(報酬)から、この程度は我慢してあげようとか、この程度しか頑張っていないのだから、これくらいはヤレとかって感じでしょうか。

 子どもの場合は、〇〇ちゃんの次にその遊具で遊べると分かっていたら待てるかもしれません。滑り台であれば、〇〇ちゃんが1回滑れば自分の番っていうことは分かりやすいです。しかし、ブランコやおもちゃなどどれだけ待てば良いか分からない状況だと、期待に見合わない場合があります。子どもは時間の概念が曖昧ですから、5分待てば大丈夫って言われても5分が自分の代償として大きいか小さいかが分かりません。

 このようにして形成された期待値と相手の行動のギャップによって我慢できるか、できないか?が決まってくると考えられます。

我慢ができずに叩いちゃう理由

 大人は基本的に他人を叩きません。叩いた後の代償が大きいことを知っているからです。

 傷害事件になるかもしれない、会社をクビになるかもしれない、度が過ぎると虐待と言われるかもしれない、などなど。大人が他人を叩いた時の代償は子どもに比べて大きいです。費用対効果に見合わないということですね。

 子どもが「我慢ができずに叩いちゃう」理由は、期待通りに相手を動かす単純且つ効率的な方法だからです。

 例えば、相手を叩いたら相手が泣いておもちゃが手に入ったとしたら、その子どもにとって費用対効果を合わせる手段として有効なものとなるわけです。

 「ボクの事は良いけど、お母さん事を悪く言うな!」っていうのは漫画でよく出てくるフレーズですが、このセリフを言った少年にとって母親のことというのは我慢できる範囲が少ないのでしょう。肉親のことを悪く言われて嫌な気持ちにならない人は居ないでしょうが、この少年にとって、相手を叩くことによって復讐ができるわけです。自分が受けた心の痛みと相手の物理的な痛みで費用対効果を相反させようという試みとなります。

 しかし、これらが社会的に良しとされる行動ではないことは一目瞭然なわけで、大人たちはこれを躾ける必要があります。

我慢できずに叩いちゃう子どもへの対策

 我慢できずに叩いちゃう子どもは、叩いちゃダメなことを知らない場合が多いです(経験不足)。また、叩いた時の代償よりも、今相手が期待通りに動かない事の方が耐え難い事だった時に起こります(費用対効果)。

 大人にとっては法律がルールです。ですから、ルールを守らなければ罰を受けます。ですから、大人は法律の範囲は基本的には我慢するように教育されています。(※警察などの目を盗んだ犯罪は別として)

 しかし、子どもにとっては親や先生がルールでです。親や先生が、まず子どもに対してルールを教える必要があります(経験不足を補う)。そして、叩いちゃった時には罰を与える必要があります(費用対効果への対策)。

 親や先生に教えられたルールは基本的には守ろうとします。例えばルールを破る場合も親や先生の目を盗んでやろうとします。これは大人と一緒です。そして、ルールを破ったら怒られるという罰が嫌でルールを守るのです。

 ですから、まず友達を叩かないように躾ける為には、叩いてはいけないことを教えましょう。最初は親が自分が叩かれた機会を使ってしっかりと教えます。

 親に対して叩いた時には、厳しく叩いてはいけない旨を伝え罰を与えます。そして、その後落ち着いてからその理由を説明します。罰として何がふさわしいかは子どもによって違いますが、DVD禁止とかおやつ抜きとかでしょうか。暴力での罰は当然ながら良くないと思います。

 うちの下の娘のように何度もやらかしますが、何度も根気強く伝えます。子どもは一度で学習できませんし、仮に一度学習しても、また忘れてしまいます。

 アメとムチを上手に使いながら、子どもの学習をしっかりと促していくことが大人の務めだと思います。

おわりに

 今回こういうテーマを取り上げた理由は、「友達を叩いちゃう事」≠「発達障がい児」であることを知ってほしかったからです。

 障がいがあるから、言う事を中々聞いてくれないから叩いているのではないということが今回のエントリーで分かって頂けたのではないでしょうか。

 もちろん、障がいの種類や内容によっては親や先生は教育方法に配慮が必要になるかもしれません。これが一つの合理的配慮ですね。

参考エントリー:インクルーシブ教育・合理的配慮というけど一体どうすれば?

 興奮している時というのは、障がいの有無に関わらず学習できる状況ではありませんから、落ち着くまで待つ、落ち着くよう促すことが重要です。

 そして、しっかりとルールを教えること、ルールから逸脱したら罰があることを根気強く何度も教えます。

 叩かない教育とオムツを外すって似ています。

 できれば、子どもが社会生活を始める前に、もし社会生活を始めてしまった後に起こった場合でも焦らずしっかりとというのがポイントです。

 もしこういう教育に専門家の支援が必要であればいつでもご連絡下さいね。

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