特別支援教育

学齢期における発達障がい児の支援目標を決めるポイントは?

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 どのようなサービスを提供していようが、支援する子どもに応じた目標を設定しているはずである。

 目標を長期・中期・短期などの枠組みで設定することが大半かと思うが、それぞれの設定期間は支援者毎、所属施設毎によって、あるいは関わる形態(訪問型、通所型、学校など)によって違い、明確な枠組みは存在しない。

 今回はどのような支援者でも、どのような所属先でも、どのような形態のサービスを提供していようと共通する目標設定のポイントについて書きたいと思う。

最も長期の目標とは?

 目標を決める際、一番重要なのが子どもが大人になるタイミングである。

 障害福祉等の支援の枠組みで設定するなら子どもが18歳(みなしで20歳の場合もあり)になるまでという事になる。

 ケツを決めないと何から初めて良いかわからないし、どれだけのスキルをどれくらいのペースで教えていかないといけないかが明確にならない。

 支援対象児が今何歳で、自分は何歳まで関われる予定なのか?対象児は今何ができて、何ができないのか?何を必要としていて、今後どのようなことが必要になるか?それらを加味して最終目標を設定しなければならない。

 そして、その最終目標は全ての支援者が共有している必要があるとボクは考える。支援者毎に違う目標に向かって違う支援をしてしまっては非効率だし、家庭と学校と例えば放課後等デイサービスとリハビリテーションが別々の方向へ向かっていたら子どもにとってはいい迷惑である。

 最終目標は現在だけでなく、過去・将来の支援者全員が共有すべき目標だと言える。

 成人の場合、これらのマネジメント的役割はケアマネージャーが行うことになるが、小児の場合、地域の保健師や障害児相談支援事業」による相談支援専門員が行うことになっているものの明確な法整備はなく、基本的には対象児の母親が担っている。

 今後、いわゆるケアマネージャーのような役割を担う職種の法整備が必要だが、現状では母親が担っていくことが現実的だろう。特にチームワークの促進を役割とする作業療法士は母親の補佐的な立場で、チームマネジメントを行う手伝いをする必要があるだろう。

 過去の情報収集、現在のチームへの円滑な連絡体制、今後のチームへの円滑な移行体制。これらを作ることが重要だと言える。

特に学齢期の子どもに必要な支援目標

 最終目標を仮に18歳に設定したとしよう。その次に必要なのが長期目標となるが、現状の年齢から1年度(4月〜翌年3月)毎に設定することが望ましい。何故なら、特に学齢期の子どもを取り巻く環境は1年毎に変化するからである。

 まずは進級・進学といった子どもにとっての大きな環境変化が年度毎に起こる。それに伴って学校の担任が変わる可能性もある。また、制度に変更がある時も年度毎に変わる。支援側の人事異動等も年度毎に起こることが多いだろう。

 このように日本において、3月から4月というのは特に変化が多い区切りなのだ。

 今このエントリーを書いているのも、来年度の目標設定を今見直して欲しいという理由もある。

 先日、新しい特別支援教育の学習指導要領案が出された。

参考:特別支援学校の次期学習指導要領改定案を公表

 小学部は2020年から、中等部は2021年からの導入が決まっているが、これも当然1月からではなく4月からである。

 うちの娘は4月から幼稚園の年長組に上がるが本日担任が決まるらしい。小学校とかは本当にギリギリまで分からないらしいけど、この時期というのは来年度に向けての調整や会議が数多くある時期である。発達障がいの有無がグレーな子どもにとって加配の先生(担任以外に特別に介助等を行う先生)が付くか付かないかなんてのも決まってくる時期だと思う。

 このように年度末・年度初めは子どもを取り巻く環境が変わり、目標の修正が必ず必要になる時期である。また、受験をした子どもにとっては合否が決まり、次へのステップがどうなるか決まってくる時期でもある。

 受験を控える子どもにとっては如何にして合格へ持っていくかが重要項目になるし、合否が決まった時点では、如何にして次のステップをスムーズに入れるか?が重要項目になる。3月末に目標達成するには、3月末には目標を明確にし、4月から一気に支援を始める必要がある。時間は有限であり、1年などあっと言う間なのだ。

中期目標はイベント毎・学期毎に、短期目標は1週間〜1ヶ月毎に設定

 中期・短期は個人の長期目標の内容や、能力に応じて変わると思う。

 例えば学校生活には多くのイベントがある。運動会や発表会なんかがその例だが、これらイベントは学校によって開催月が違う。春に運動会をする学校もあれば、秋の場合もあるだろう。

 子どもにとって重要なイベントであれば、これらイベントを中期目標とする場合もあるだろうし、そうでない場合は学期毎が区切りが良いかもしれない。夏休みなんかはその間だけを切り取って中期目標とするかもしれない。

 短期目標は1週間〜1ヶ月の区切りで、中期目標に応じて立てるのが良いだろう。例えば前述の例のように夏休みだけを取り出して中期目標を立てる場合、短期目標を区切る期間は短くなるかもしれないし、2学期という長い区切りの中期目標があるなら、短期目標の区切りも1ヶ月毎のように長くなるかもしれない。

 このように長期目標に応じた中期目標、中期目標に応じた短期目標を立てるというのが良いだろう。

おわりに

 子どもの支援を行う場合、その支援者全てが教育を担うチームである認識が必要だとボクは思う。

 両親が中心となり、子どもにどういう大人になって欲しいか?という最終目標に向けて、子どもの環境変化が大きい年度の変わり目を一つの区切りとし、その1年を充実し目標達成に向かう必要なステップを中期目標に据え、中期目標を達成するための短期目標を立てる。

 それら長期・中期・短期目標を全ての支援者が理解し、全ての支援者がその目標に向かい、全ての支援者が目標達成を見据えて支援することで目標達成率は格段に上がるのではないだろうか。

 小児の支援を行う支援者は、年度末の今、是非子どもの来年度の目標をチームで共有する機会を持って欲しいと心より願っている。ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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