評価と治療

理学・作業療法士の為の顎関節の解剖と問題、評価・治療

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 先日、頚椎に関する問題とその問題に対する評価と治療について書いた。

参考エントリー:理学・作業療法士必見!頸部の解剖とストレートネックの捉え方

 そして、この頚椎の問題と深く関連して起こりうる問題が顎関節の問題である。

 顎関節に問題があると頚椎に問題が起こりやすいし、頚椎のアライメントを整えようと思っても顎関節に問題があると改善されにくいといった具合だ。

 そこで、今回は頚椎へのアプローチを行っていく前に取り組むべき顎関節のことについて書いてみたいと思う。

顎関節の解剖

画像引用元:VISIBLE BODY
画像引用元:VISIBLE BODY

 顎関節は下顎骨と側頭骨で作られる関節である。

 その運動はその関節内に存在する関節円板にてスムーズに行われる。(下図参照)

画像引用元:解剖学・口腔解剖学(PDFファイル)
画像引用元:解剖学・口腔解剖学(PDFファイル)

顎関節の運動に働く筋

 顎関節の運動は開口と閉口である。それら運動に働く筋は以下の通り。

開口に働く筋

顎関節筋.003

  1. 外側翼突筋(下頭)
  2. 顎二腹筋
  3. 茎突舌筋
  4. オトガイ舌骨筋

 両側の外側翼突筋(下頭)が働くことにより開口する。顎二腹筋、茎突舌筋、オトガイ舌骨筋は補助的に働く。

閉口に働く筋

顎関節筋.001

  1. 側頭筋
  2. 咬筋(浅層)
  3. 咬筋(深層)

顎関節筋.002

  1. 外側翼突筋(上頭)
  2. 内側翼突筋

 側頭筋・咬筋が主に閉口(下顎の挙上)に働く。外側翼突筋(上頭)は反対側の閉口に働き、内側翼突筋は外側翼突筋の補助として働く。

現代人が抱える顎関節の問題

画像引用元:CEMJ
画像引用元:CEMJ

ストレートネックは現代人の抱えるポピュラーな問題の一つである。頭にある通り、ストレートネックになると下顎は引き込む方向へ引っ張られる。

kagaku

 上図のように下顎が引き込まれると、下顎の運動にする為に存在している関節円板が前方へ引き出される。これが酷くなると顎関節症となる。

 また、TCH(Tooth Contact Habit:日中無意識下で噛んでいる状態)やブラキシズム(睡眠中の食いしばりや歯ぎしり)により閉口筋の過緊張が起こったり、噛み癖や頬杖などにより左右差が生まれることで顎関節の歪みが起こったりすることも現代病の一種と言える。

顎関節の評価

 以下、顎関節の状態を評価するポイントについてまとめておく。

アライメント

 まずは下顎のアライメントを確認する為のチェックポイント。

kagakuhyouka.001

矢状面での評価は、上顎・下顎の前歯の状態で見る。歯のはえ方に問題が無い前提であれば、きっちり揃うのが通常である。

kagakuhyouka.002

 水平面での評価は、顎関節の位置が左右対称かどうか?首が垂直である前提であれば、左右対称の位置にくる。

kagakuhyouka.003

 前額面の評価は難しいのだけれど、上顎と下顎の接合具合を見る。これも骨の形状や歯のはえ方にも左右されるので、これといった基準はないけど、右から見た時と左から見た時の差などを見る。

筋の状態

 上で紹介した特に閉口筋の状態を触診する。

 特に食いしばり等が起こっている時、咬筋の起始部・停止部で特に固くなっていることがある。ボクもそうなのだが、しこりのようにコリコリなっている場合もある。

 筋の固さはどうか、左右差はあるか?が一つの指標となる。

下顎の運動

 顎関節が正常に働いていれば、下顎はまっすぐ開く。アライメント等に問題があると、下顎の運動が弧を描くように開口したり、スムーズに運動せず間欠的になったりする。

 動画で撮影しておけば変化が見れるので良いかも。

顎関節の問題に対する治療

 治療は問題の種類に応じて行う。可動域が少ないのか、運動がおかしいのか、痛みがあるのかなどの原因を追求する必要がある。

 その上でできることは、アライメントの調整、筋のリラクゼーション(ストレッチ)、可動域訓練である。

 以下、簡単に方法を紹介する。

1.アライメントの調整

 アライメントが歪んでいると正しい運動が起こらない。筋のアライメントがズレるし、レセプターから正しい情報がフィードバックされないからだ。

 なのでアライメントが歪んでいる時は、徒手的にアライメントを整え、正しい運動を促す必要がある。痛みのある場合は、痛みのない範囲で正しい運動を促し、学習を促進させる。徒手的にできるようになったら徐々にHands-offしていくことも忘れてはいけない。

2.筋のリラクゼーション

 側頭筋や咬筋をイメージしながら、リラクゼーションを行う。方法は各人の得意な方法で且つ口外からできる方法であればどんな方法でも良い。

 口腔内に手を入れて行うケースもあるようだが、理学・作業療法士が口腔内に手を入れる事は法的に大丈夫?という疑問が残るのでボクは専門外だと考えている。

3.可動域訓練

 顎関節症があると、開きづらい・閉じづらいという可動域の問題が現れる。その場合はROMを拡大するためのトレーニングが必要となる。

 さくま歯科さんのブログが分かりやすかったので方法の紹介はそちらにゆずりたい。

参考:

おわりに

 冒頭で紹介した頚椎へのアプローチも、顎関節に問題がある状態で行っても効果が得にくい。

 なので、クライエントの頚椎にアプローチするときには、まず顎関節の状態を正しく評価し治療しておく必要があるのだ。

 是非、ご自身のクライエントの顎関節に注目してみてほしい。ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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