評価と治療

理学・作業療法のハンズオフマニュアル!触らないリハの方法

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 最近、触らないリハビリテーションってワードを聞くことがある。

 各種運動療法にしても獲得した運動や動作を日常に般化するには最終的にはハンズオフ(Hands-off)を目指すのだから、何で今さら話題になるのかわからないけど、恐らく多くの療法士が触りすぎている(Hands-on)ことに対して、触らない人たちからの批判なんだろうな。特に作業療法士間ではありそうな対立構造だ。

 さてボクはというと、触る必要が有る時は触るし、必要ない時は触らないという何とも当たり前な立場をとっている。触る必要がある時っていうのは、クライエントに求める作業遂行要素の期待値が高めであったり、正しい運動を学習した方がクライエントの健康と安寧が促進される場合だし、運動の学習が目的ではなく、方法や考え方、習慣の形成なんて場面では触らなくても良い。

 ただそれだけのことなんだけど、何故かある信念対立に切り込んでみようと思った。SNSを眺めていると〇〇に対するハンズオンセミナーっていうのを見かけることがある。ハンズオン技術を高める為のものだ。しかし、それに対立してハンズオフを推進する人たちがいるのに、〇〇に対するハンズオフセミナーってのは見たことがない。

 例えば、口頭指示やティーチングなんていうのは典型的なハンズオフでの治療(以下、ハンズオフセラピー)だと思うが、〇〇に対する口頭指示セミナーっての無いよね。

 PNFの勉強会とか参加して技術の練習しているとすごく感じるんだけど、口頭指示の的確さは的確な運動を促す上で必須の情報である。それだけのセミナーとかあっても良いレベル。でも無いのはハンズオフ派が主張するだけで、具体的な体系的な手法を提示していないからだと思った。

 ってことで、今回、このブログにてハンズオフセラピーのマニュアルを作ってしまおうと思う。もちろん、最初から良い物ができるとは思っていない。皆様からご意見を頂いて、最終的に書籍になったらいいなぁと思う。ビシバシご意見よろしくお願いします。

ハンズオフセラピーの分類

 ハンズオフセラピーは大きく以下のように分類できる。

  1. ハンズオンからのハンズオフ
  2. 最初からハンズオフ

 前者は、運動療法で必要な運動学習を促す過程で当初ハンズオンにて行い、クライエントが学習してきたらハンズオフにしていくというプロセス上のハンズオフセラピー。後者は、運動学習を必要としない目標に対し、最初からハンズオンの手段を用いない方法である。

 前者については、どのようにハンズオフを持っていくか?というと、恐らく以下のようなことが考えられる。

  • 最初からハンズオフしていくことを念頭におく
  • クライエントの学習具合を適切に評価する
  • クライエント自身に最終的には自力で行うという目標がある

 これら要素があればハンズオフに持っていけるはずである。仮にこういう意識やクライエントとの目標の共有ができていてもハンズオフに持っていけないとするならば。それは目標が高すぎる、あるいは目標を達成するには時間がもっとかかるということを意味しているだろう。

 そして、具体的に内容を検討しマニュアルを構築したいのは後者。以下で検討していく。

ハンズオフセラピーの対象

 まず、ハンズオフセラピーを用いるケースについて検討してみたい。

 どのような治療目標がある時にハンズオフセラピーを用いることができるだろうか。これはぶっちゃけハンズオンセラピーで対応できない目標は全てハンズオフセラピーで対応するしかない。

 ハンズオンセラピーで目標にするものと言えば以下が考えられる。

  • 特定の運動学習(運動レベル)
  • ROMの維持・拡大
  • 筋力の維持・向上
  • 姿勢・動作の一部介助
  • リラクゼーションテクニック
  • 筋収縮の促通
  • 感覚器への刺激

 他にもあるだろうけど、パッと思いついたのはこんな感じ。良かったらもっと出して!

 もちろん、ハンズオンでなくても達成できる目標もあるし、当初ハンズオンであっても最終的にはハンズオフしていくという前提で、このような目標を達成する手段としてハンズオンセラピーを用いる。

 反対にハンズオフセラピーはこれらハンズオンセラピーを用いるケース以外のケースはハンズオンでしか達成できない。こちらも思いつく限りの治療目標を列挙してみる。

  • 特定の運動学習(情報レベル・認識レベル)
  • 考え方の指導
  • インフォームドコンセントや目標の共有
  • 心理面のケア
  • 社会スキルの獲得
  • 環境調整・自助具、補装具の導入、家屋改造など
  • 家族等指導
  • 社会資源の説明、導入
  • 信頼関係の構築
  • ケース会議、担当者会議、リハマネ会議など
  • 目標管理(マネジメント)

 他にも子どもの場合だったら、集団での遊びや外遊び、勉強なんてもハンズオフで行うことが多いし、経験・知識を増やす目的で行う活動はハンズオフで行う場合が多い。

 これ多分まだまだ沢山あるよね。でも、取り敢えずこんだけにしとく。何故なら手法として用いるものがある程度見えてきたからだ。

ハンズオフセラピーに用いる手法の検討

 上記に挙げたような目標を達成する際、当初からハンズオンの治療を必要としない。で、じゃあ具体的にどのようなことを実施するか?それは以下の3つ。

  1. ティーチング
  2. カウンセリング
  3. コーチング
  4. コンサルティング

 説明や指導というのはティーチングだし、環境調整も多くの場合ティーチングということになる。ティーチングとは直訳で「教える」ことを意味するわけだけど、要するに情報提供。療法士の持つ知識(情報)を提供することで、クライエントの目標を達成する手法と言える。もちろん、ハンズオンにおいては無言のティーチングと言えるかもしれない。

 手で触れて情報を提供するという意味合いが運動療法にはあるからだ。ティーチングのクライエントに触れないバージョンがハンズオフでのティーチング(情報提供)である。

 カウンセリングは基本的に「傾聴」。信頼関係の構築や面接を含めたクライエントとのコミュニケーションシーンにおいてはまず聴くことがが重要。そのことで治療効果を上げるのがカウンセリング手法である。

 クライエントの心理ケアはカウンセリングが第一選択でコミュニケーションの一つとしてのボディタッチはあるかもしれないが基本的にはハンズオフで行うもの。

 また、チームワークを促進するという意味でも多職種の話を聴き、より良い議論を促進しチーム力を上げるという意味でもカウンセリング技術は重要だろう。

参考エントリー:理学・作業療法士がカウンセリング技術を高める理由と方法

 コーチングとは導くこと。答えは既にクライエントの中にあるという立ち位置で質問を用いてクライエントの行動をクライエントの健康と安寧が促進される方向へ導くことだ。

 例えば、「そのやり方ですけど、〇〇のところやりにくくなかったですか?」という質問に対してクライエントがどのように感じ、考えているかを知り、そのことから運動が修正されることもあるだろう。

 考え方の指導にも用いることができる。「こういう考え方で捉えてみてはどうですか?」という質問でクライエントの心が少し楽になるかもしれない。

 クライエントとの信頼関係の構築にもコーチングのスキルは活かせるだろうし、何かしらクライエントにとって意味のある習慣を促す時にも用いることができる。ダイエットや運動習慣の形成にもね。

 理学・作業療法士は一度本気で勉強すべき項目である。特に触らないリハとか言うならね。

参考エントリー:理学療法士・作業療法士が学ぶべきコーチングスキルとは?

 コンサルティングは経営コンサルティング等と同意で、経営を上手く行かせるためにアドバイスすることが経営コンサルティングなら、クライエントの人生が上手くいかせる為にアドバイスするのが療法士が行うコンサルティングだ。

 もちろんこれはクライエントに直接という場合もあれば、家族や多職種にという場合もあるのは当然である。ボクの今のもっぱらの仕事はこういうコンサルティング業務になっている。

 ティーチングとの違いは、一般論か現場論かって感じかな。経営で言えば書籍やセミナーで得られる知識のアドバイスがティーチングで、コンサルティングは現実に即したアドバイス。

 他の人には意味のないアドバイスでもクライエントの人生においては重要なアドバイスとなるようなものである。

 例えば、ある運動をしている時にあっちを向いてなど特定の運動を促進するような口頭指示はコンサルティングかもしれないし、この段差はこうやって解消しましょうというその家屋ならではのアドバイスもコンサルティングと言えるだろう。

 運動療法を用いる療法士がその技術を磨くのに熱心になっているのと同様に、ハンズオフセラピー実践家なら極限までこれら4つの技術を高める必要があるだろうね。

おわりに

 最初は途方もないエントリーになるんじゃないかって思ったけど書いてみたら以外にすんなりまとまった。とは言え3000文字オーバーなのでブログエントリーとしては長すぎる。苦笑 ここまで読んでくださった方、ありがとう。

 でもこの内容は広めたいな。具体的にティーチング力を高め、実践するには?カンセリングは?コーチングは?っていう詳細のところまで詰めていけば本になるね。

 現在執筆中の原稿が終わったら取り掛かってみようと思うので、是非ご意見・ご感想頂ければと思う。ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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