評価と治療

理学・作業療法士必見!頸部の解剖とストレートネックの捉え方

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 本日は、現代人の姿勢で最もポピュラーな問題であるストレートネックについて書きたいと思う。

 ストレートネックが姿勢や運動に対して、どのような影響があり、理学・作業療法を行う上でどのような問題があるか?を知っておくことは、これからのクライエントを知る上で重要な情報となる。

 また、頸部は健康に生きていく上で非常に重要な部位である。大きな血管が多数あるし、人体において重要な神経が多数頸部から抹消へと通じている。筋肉の種類も多く、それら連携によって機能的な運動が可能になっている。

 今回は基本的な頸部の解剖についてと、最もポピュラーな問題であるストレートネックについて、簡単にまとめたいと思う。

頸部の解剖学

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 頸部は7つの頚椎からなる頭部と体幹を繋ぐ部分である。多くの筋群、血管や神経の交通も多い部位である。

頸部の筋群

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 上図は頸部前面の筋群。上図の左側は広頚筋と胸鎖乳突筋を剥がした図。

  1. 広頚筋
  2. 胸鎖乳突筋
  3. 胸骨舌骨筋
  4. 肩甲舌骨筋
  5. 斜角筋群

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 次は頸部後面の筋群。図の右側は僧帽筋と頭板状筋剥がした図。

  1. 僧帽筋
  2. 頭板状筋
  3. 胸鎖乳突筋
  4. 頭半棘筋
  5. 頚板状筋
  6. 頭最長筋

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 そして、頸部後面の更に深部の筋群(後頭下筋群)の図。

  1. 小後頭直筋
  2. 大後頭直筋
  3. 上頭斜筋
  4. 下頭斜筋

頸部の血管系

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 頸部の血管は心臓と脳を結ぶ上で重要な役割を果たしているし、一番血流の多い総頸動脈や全身への血液循環の始まりの血管である腕頭動脈・鎖骨下動脈なども頸部に位置している。

 頸部を交通している血管を簡単に示したものが下図である。

画像引用元:頸部血管系の解剖
画像引用元:頸部血管系の解剖

頸部の神経系

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 上位頚椎からは出る神経群で頸神経叢を構成し、下位頚椎(及び第1胸椎)から出る神経群で腕神経叢を構成する。つまり、頸部は人体に必要な神経群が豊富な場所と言える。

画像引用元:フィットネスのススメ
画像引用元:フィットネスのススメ
画像引用元:フィットネスのススメ
画像引用元:フィットネスのススメ

ストレートネックという現代病

 ストレートネックを含め、頸部に問題を抱えるということはどういうことか?

 それはここまで紹介した筋群、血管、神経群が正しく働かないというリスクを抱えることである。筋・血管・神経が正しく働かないと頸部の運動に不具合が生じる。頸部の運動は頭部の保持に働いているわけだから、頭部の位置に問題が起こる可能性がある。頭部の位置、アライメントに問題が起こると当然姿勢制御機構に問題が生じ、更に問題が大きくなるという悪循環に陥る。

 頸部の問題は、頸部だけの問題ではなく全身に影響を与える可能性があるという事が一番の問題ではないだろうか。

 その中でもストレートネックは現代人が抱える一番多い頸部の問題である。ストレートネックは頸部周囲の疾患予備軍の状態と言えるが、現代ではほぼ全員が予備軍となってしまう。

 予防という観点でも、理学・作業療法の観点でも、クライエントのストレートネックを適切に評価し、対処することは重要だ。

ストレートネックの構造

 ストレートネックという言葉が一般化して久しいが、ストレートネックとは具体的にはどういう状況か。一般的には通常あるべき頚椎の生理的前彎がなくなり、まっすぐになった状態と言えば良いが、専門的にはそれだけでは足りない。

画像引用元:CEMJ
画像引用元:CEMJ

 上図の左が正常、中央が軽度のストレートネック、右が重度のストレートネックである。

 ストレートネックの構造が分かりやすいのは右の図だね。以下にストレートネックの特徴を列挙してみる。

  • 頚椎のアライメント障害
  • 後頭下筋群が短縮
  • 下顎が後退→舌根沈下→気道狭窄
  • 舌骨の位置が前方へずれる

 ってなところかな。

 多くの場合、生活習慣により頸部のアライメントがズレ始める。アライメントがずれることにより、筋のアライメントが崩れる。同時に血管や神経のアライメントも崩れていると考えられる。

 筋のアライメントが崩れると、長さ−張力曲線の論理で筋の運動は制限される。(下図参照)

画像引用元:SMC
画像引用元:SMC

 また、仮に神経や血管のアライメントが崩れたとするとこれまた筋の運動に制限が出ることになる。つまるところ、頸部の運動に制限が出る。当然、頭部保持に影響が出て姿勢とバランスの障害が起こる可能性が出る。

ストレートネックの評価

 ストレートネックに対処する為には、臨床上簡易にストレートネックの状態を評価できる必要があるので、以下に紹介したい。

方法

 壁に背を向け「踵」「臀部」「肩甲帯」「頭部」を接地させる。その状態で顎を引く(生理的前彎を作る運動)。

 この際の状態で5段階評価を行う。

評価基準

  1. 努力しても頭部を壁に接地できない
  2. 努力しなければ頭部を壁に接地できない
  3. 壁に接地することができるが、顎を引くと頭部が離れる
  4. 努力すれば実施可能
  5. スムーズに実施可能

 簡単に上記のような5段階評価をしておけば、変化を追跡することができるだろう。

ストレートネックへの対処

 ここまで述べたように、ストレートネックはアライメントの問題に伴う全身の問題である。ストレートネックに対処することで、クライエントの抱える多くの問題に対処しうる可能性があるということだ。

 そこで、ここではストレートネックへの対処法について簡単に紹介したいと思う。

 頸部のアライメントの崩れは、多くの場合、日常的な前屈み姿勢の習慣による。それによって筋のアライメントの崩れが起こり、運動が正しく起こりにくくなり、筋・関節包・靭帯などからの適切なフィードバックが起こらなくなり…云々。

 こういう悪循環をどこから断ち切るか?

 当然アライメントを整えたいわけだが、治療が必要というのは自力では無理か、努力が必要ということが評価で分かっている状況である。

 なので可能な限り良いアライメントで正しい運動を促してあげることだ。まずは頷き動作から(上位頚椎の屈伸)はじめ、その後大きく下を向く、上を見上げる運動(下位頚椎の屈伸)へと拡大していく。

 そもそも正しい運動が行えない状況であるから、正しい運動が行えるような口頭指示とハンドリングが必要だ。

 スピードや運動範囲に注意しながら行うことで徐々に学習されるので、上手く運動が可能になってきたらハンズオフしていくことも忘れてはいけないだろう。

おわりに

 ボクも頚椎のアライメントを整えることで、姿勢・バランスが大きく変わることを何度も体験している。

 ま、ボクのお客様の大半はストレートネックではあるものの、健常者だから反応は早いだろうけど、これは頚椎に問題を抱えた人にも当然対応できる。

 また、頚椎の問題がないクライエントに対してもストレートネックの調整をするだけで、例えば麻痺の状態が変わらなくても姿勢・運動が変わったりするので是非試して欲しい。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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