実習・国家試験対策

過去問を問いてみて感じる理学・作業療法士国家試験攻略法

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 先日、国家試験の過去問を問いてみた。何でまた?って感じだけど、学生さんがどんな問題を問いているか?を知ることは学校でどんな事を教えているか?にも通じるし、学生さんにアドバイスする上でも知っておいた方が良いと思ったから。また、国家試験受験後十数年経つけど、どれくらい知識が残っていて、臨床に役立つ知識がどの程度出題されているか?なんて事を知るためにやってみた。

 で、問いてみて感じた国家試験攻略法についてシェアしたいと思う。

 これって理学・作業療法士の国家試験に限らず、その他コメディカル国家試験にも通じるだろうし、中学・高校・大学受験にも通じる真理だと思うので是非参考にしていただきたい。

過去問を問いてみて感じた感想

 ボクが問いたのは直近の50回、51回の作業療法士国家試験。52回の問題はまだ公開されていないのでわからないけど…。

 で、想像以上に解けたことに驚いた。

 何故解けたか?それは作業療法に必要な知識の基本を持っているからだと感じた。

 当然、ボクの専門じゃない範囲に関して、且つ暗記していないと解けない問題に関しては解けない。でも、それ以外の基本問題や、ボクが臨床で経験した内容、疾患や治療に関するメカニズムを知っていれば解ける問題が大半だということに気付いた。

 例えば、「ROM測定」の基本軸と移動軸の正誤を問う問題がある。これは日本整形外科学会が定めた基準に則って答えるのだけれど、当該クライエントの身体機能面を知るにあたって必要な角度を理解していたら、この基準を覚えていなくても解ける。

 例えば、「〇〇な状況の時に選択するべき治療法」ってのも、疾患の事を知っていなくても、こういう状況の人に対して次何を目標に作業療法を提供していくか?って事を考えれば解ける。

 ボクは精神科に勤めたことはないから、精神科疾患についての理解は薄いが、それでも何となく答えが分かる。これは、当然かも知れない。何かしらの目的を持って、何を行うか?については施設や個人によって違うが、目的は一緒。国家試験では具体的治療法ってよりは目的を問われる。ま、装具や自助具など目的と具体的治療法が一致するものについてはその限りではないんだけどね。

国家試験攻略の為の勉強法とは?

 ボクの場合は、短いながら臨床経験があるから、臨床で経験すること、臨床に出てから勉強した積み重ねによってこういうことが理解できるようになったのかもしれない。

 じゃあ、学生さんはどうすれば良いか?

 ボクが思いつく限り、こういう勉強すれば良いんじゃないかな?ってのを列挙する。

  1. 理学・作業療法とは?
  2. 解剖・運動・生理・心理・社会・哲学
  3. 運動学習
  4. 人間発達
  5. ICF
  6. クリニカルリーズニング

 以下、詳細を解説する。

1.理学・作業療法とは?

 理学・作業療法士になろうとしているわけだから、理学療法とは?作業療法とは?って部分を明確に理解しておく必要がある。ポイントは「明確に」というところ。

 理学療法士なら、作業療法士ならこのケースをどうする?という思考回路が重要だ。そういう思考回路があれば、治療法の選択が何となく見えてきたりする。

 当然疾患の特徴などは暗記しておく必要があるのだけれど、オーソドックスなパターンを理解するにはまずここからはじまると思う。

参考エントリー:作業療法の目的と作業療法士の役割をWFOTの声明文から学ぶ

2.解剖・運動・生理・心理・社会・哲学

 何しか、基礎学問はしっかり理解しておくべきだということ。理学療法にしても作業療法にしても、こういう基礎学問の上に成り立っている学問だから、それを理解する上で重要だ。

 人が動ける理由、人が感情的になる理由、人が考える理由。そういう深い部分を考える上でこの基礎学問は欠かせない。で、そういう深い部分が考えられる人は国家試験で出されるケースについて考えることができるのだと思う。

 過去問を勉強しながら、基礎を勉強される人が多いと思うが、それは単に暗記。使えない知識だし、試験の時にすっぱり抜けてしまったりする。

 そうじゃなくて、それぞれの教科書でしっかり学ぶ。そして、ケースレポートで学習すると良い。紹介されているクライエントの解剖学的側面、運動学的側面、生理学的側面…なんかをイメージしながら読むと基礎学問の価値が分かるし、勉強になる。

3.運動学習

 ボク達の仕事は身体と密接に関わる。特に理学療法士はそうだろうし、作業療法士もそうだ。身体活動の向上を目指す際、重要なのは運動学習だ。

 もちろん、運動以外の学習も知っておくべきだね。『記憶』なんてのもキーワードになると思う。学習は記憶によって成り立つからだ。

 学習とは理学・作業療法の効果が現れるメカニズムである。理学・作業療法を提供し即時的に結果が現れるのは即時記憶だし、生活に般化されるのは遠隔記憶となるだろう。

 この学習のメカニズムを知っておけば、どのような状態(症状)のクライエントにどのような学習を促進することが治療に繋がるということが想像できるようになる。

参考エントリー:理学・作業療法における運動学習の基本概念について

4.人間発達

 人間発達を知ることは、中途障がいを持つ方のどの部分の学習(記憶)が障がいされ、どの程度の発達段階にあるのか?を検討できることになる。

 脳卒中罹患後、片麻痺になられた方の麻痺側の運動レベルは発達段階で解説すればどうか?なんてことを考えると、次に行うべきことが見えるだろう。ブルンストロームステージで考えると簡単かもしれないが、それだけでは限られた運動のバリエーションしか分からないから発達を知っておくと、色んな想像ができるようになる。

参考エントリー:療法士が正常発達を学ぶにはコレ!「発達を学ぶ」の感想

5.ICF

 ICFそのものもそうだし、ICFに基づく考え方が必要とされる。当然だ。

 だが、実習の為にちょこっとかじる程度の学生さんが多いんじゃないかなと思う。ICFを深く深く理解することで、見えてくることがあるはずだ。

 このクライエントの環境面へのアプローチはどうすべきか?こういう個人因子があるクライエントにはどういうアプローチが必要か。ICFを知らなければ理学・作業療法を知ることはできない。

 ICFを深く理解する努力をしてみて欲しい。

参考エントリー:ICFはICIDHが進化したものではなく、相互補完的に使うもの!

6.クリニカルリーズニング

 クリニカルリーズニングとは、臨床推論のこと。このクライエントは何でこうなんや?って疑問に対し、仮説を立て確認するということ。

 もちろん、実際推論していくためにはここまで紹介してきた基礎的な知識が必須である。その上で推論する知識があれば、国家試験で問われている問題を推論することができる。

 何でこんな事を考えさせるのか?そんな事を考えながら過去問を解くと勉強になるよ。是非ともお勉強してみて欲しい。

参考エントリー:一年目理学・作業療法士が磨くべきクリニカルリーズニング力

国家試験合格、更には即戦力の臨床家を育てる臨床実習

 更に、ここからは臨床実習の過ごし方について言及したい。ブランクもあって、実質の臨床経験も少ないボクが国家試験の問題が解ける理由。それは、やはり学んだ知識を実践で経験・体験しているからだと思う。

 ペーパー上の模擬クライエントで臨床推論しても、それを体感として学習することは出来ない。学生さんがこれを経験しようと思うと臨床実習でしかない。今のレポートに追われる実習、無駄にストレスの多い実習の中では学びきれない。できるだけ多くのケースを見学し、その人の状態と治療選択の間にある意思決定プロセスを学べると良いなぁと思う。

 担当者は、何故その治療をしているのか、何故それを選択したのか、その他の選択肢はなかったのか、こういう治療法はどうか?などなどを教えてあげれば、学生さんにとっては国家試験の勉強にもなるし、臨床に出て即戦力となる人材の育成に繋がるだろう。

エピソード記憶で記憶する

 丸暗記ほど無意味で使えない知識はない。エピソードで学習する必要がある。ボクの場合、エピソードで学習しているから結構覚えていることが多いし、問題が解けるのだと思う。

 その為の学習がケースレポートを通じた学習であり、臨床実習での学習である。

 更にボクがオススメしたいのは、小説・漫画・ドラマ・映画で学ぶ事。

 医療系ストーリーは難病を取り上げられるケースが多いから難病の特徴をつかむ勉強になるし、『ブラックジャックによろしく』の電子版なら無料で精神科疾患を学ぶことができる。『コウノドリ』では新生児疾患やその病理について学ぶことができる。ボクの好きな『Dr.House』はAmazonプライム会員なら無料で見れるんだけど、臨床推論の勉強になる。

 積極的に色んな小説やドラマ・映画で学ぶ習慣があれば、国家試験は怖いものじゃないと言い切れる。

 ボクは小説やドラマ・映画で色んな事を学び取ることが趣味なのだ。ただ単に映画を眺めていても何にも面白くないけど、目的を持って何かしらを学び取ろうと思って見るのが好き。こういう趣味を持つとアドバンテージになるね。

おわりに

 同じ過去問を勉強するにあたっても、こういう事を意識しながら勉強するだけで覚えるだけの勉強法から、知る・理解する勉強法に変わると思う。

 知ること・理解することでボクのように忘れていても解ける問題が沢山出てくる。そうしたら、国家試験の勉強なんてぶっちゃけ1ヵ月もあったら十分だと思うよ。ボクも1ヵ月猶予をもらえるなら充分国家試験合格できると思う。

 是非、実践してみてもらいたい勉強法だ。ってことで今回はここまで。ほな、また。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします