哲学・科学・理論

作業療法の目的と作業療法士の役割をWFOTの声明文から学ぶ

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 今朝SNSを通じて、「作業療法士が分かったら作業療法士を辞めます」と一年目に言った作業療法士の投稿を目にした。結びには「作業療法が分からないまま作業療法士を続けます」と。

 失礼ながら「はぁ?」って思ってしまった。作業療法が分からずに、如何にして作業療法士を続けるのか?作業療法がわからないなら今すぐ作業療法士を辞めて頂けませんか?と。

 カレーの作り方を知らない人にカレーを作って欲しいだろうか。カレーの作り方を知らない人をカレー専門店で雇われるだろうか。作業療法を知らない人には作業療法をしてもらいたくないし、作業療法を知らない人を作業療法士として雇いたくないのと同じである。

 もちろん、クライエントにとってパーフェクトな作業療法を提供できるか?ってのはまた別問題。恐らくこの投稿した人もそういう意味合いなんだと思うけど、レシピを知らずに料理を作れないのと同じで、作業療法とは何たるか?を知らずに最良の作業療法を提供することはできない。

 今回は作業療法士として、最高の作業療法を提供できるようになるために、(料理人として最高の料理を提供できるようになるためにレシピを知る為と同じで)作業療法の目的と作業療法士の役割について明確にしておきたいと思う。

作業療法の目的

 『作業療法の目的はクライエントの日常生活への参加を可能にすることである。』

 これはWFOTが2010年に出している声明(STATEMENT ON OCCUPATIONAL THERAPY)に書かれている一文である。

 カナダ作業遂行モデルなんかでも『作業の可能化』という言葉でこの事を目的としている。

参考エントリー:作業に根ざした実践を行う上で重要なカナダ作業遂行モデル

 また、こうも書かれている。

 『作業療法はクライエント中心の作業を通じクライエントの健康と安寧を促進する健康の専門職である。』

 ヒトを作業的存在と捉え、ヒトの作業を評価し、作業を用いてヒトの健康と安寧を促進する事が作業療法の目的なのだ。

 つまりは、日常生活への参加を可能にすること(作業の可能化)で、クライエントの健康と安寧を促進するというのが作業療法の目的なのだ。

作業療法士の役割

 『クライエントの「したい」「必要な」「することを期待されている」作業と関わる(結びつく)能力を強化する為に、多職種や地域と連携を行うこと』そして、『クライエントの作業との関わり(結びつき)をより良くする為に作業や環境を調整する事』と書かれている。

 作業療法士の役割はクライエントの身体機能又は精神機能を向上させることではない。

 クライエントと作業の関わり(結びつき)を強める、あるいは作業の可能化の為に、多職種や地域との連携を促進することや(恐らく作業遂行も含めた)作業そのものを調整する事や環境を調整する事なのだ。

 だからと言って機能訓練の知識や技術、そして心構えが不必要であるというわけではない。

 この声明には作業療法の資質についても言及されている。作業療法士は医学モデルについても精通している必要があるのだ。理由は簡単で作業や環境を調整する為のアイデアとしてクライエントの機能面についても知っておかなければならないし、その状態を変化させることもできる必要があるからだ。

 だが『発達障がい児に対するSSTを行う上での作業療法士の役割』にも書いたように、リハ室や訪問の場合なら各クライエント宅においてだけ成果を発揮しても意味がない。それらがクライエントの人生に結果として影響を及ぼせるようクライエントに関わる全ての人に実践してもらえるようチームワークを促進させる必要があるのだ。

おわりに

 冒頭ではdisったようになったが、別にその投稿をした先生が作業療法を知らないってわけじゃないと思う。でも、もしかしたら一年目の頃は本当に知らなかったのかも。

 そして、そういう一年目の療法士は今でも居るだろう。恐らく養成校での教育の質にようだろう。

 養成校で、この声明について深く学ばせてもらっているなら一年目だからといって、作業療法が分からないなんて言わない。だが、臨床に出て3年目にもなる人間がそんなこと言ってたらしばき倒したくなるね。

 別に英語力が必要なわけじゃない。ボクも英語はさっぱりだけど、A4一枚の文章くらいすぐに読めるよ。ネット最高。Google最高。笑

 先日の国家試験で合格し、新たに作業療法士になる方々にも是非一度は目を通して頂きたい内容だ。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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