哲学・科学・理論

作業療法士の専門性は作業を評価し治療に用いることである!

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 最近インプットの量を増やしていて、特に基礎の基礎から学んでいるため、中々アウトプットするにまで情報が統合されていない状況である。

 アウトプット前提のインプットを心掛けてはいるが、読んだことそのままでは、本の書き写しで無意味なので、ある程度噛み砕き、自分の経験と照合させなかえれば価値あるブログにはならないだろうから筆が止まってる感じ。

 でもまぁ、そんな中から乾いた雑巾を絞るような感じで絞り出したのでシェアしたいと思う。

書籍紹介:「作業」って何だろう〜作業科学入門〜

 今並行して何冊か読んでいるものの一つが吉川ひろみ先生著の「作業」って何だろう〜作業科学入門〜である。

 一度は目を通している本だけど、今回改めて。

 作業療法士にとっては、とってもスッキリする本。でも、医学モデルにどっぷり使ってしまっている作業療法士にとっては忘れていた何かを思い出すきっかけになるんじゃないかなと思う。

 現在では学校教育にも多く取り入れられている『作業科学』だけど、ボクの時代ではまだまだ全く入ってなかったな。基礎作業学も手工芸ばっかりやってたし。苦笑

 別に手工芸が悪いわけではないんだけどね。もっと根本から作業について学び、考え、実践する機会があっても良かったなぁと思う。

 ボクより上の世代の作業療法士はあえて学ばなければ、どんどん医学モデルに偏った作業療法士になってしまうので、一度立ち止まって自分の方向性を見つめる良い機会になる本だとも思う。

作業療法士は作業を評価する専門家

 作業療法士はクライエントの健康と安寧の促進の為に作業を行う機会を作ることが仕事。機会を提供し、クライエントのその経験に基づき健康に、安寧になって頂く事がその目的である。

 その上で重要なのが作業を評価するということ。これって以外と難しくて、ガイドラインもなければマニュアルもない。

 作業分析って言って、例えば「入浴する」という行為を細分化し、どのような機能・構造が必要か?どのような困難があるか?なんかも分析する授業があったけど、これは作業分析ではなく行為の分析である。

 作業とは、クライエントの主観の中の出来事であるから、クライエントなしでは分析しようがない。カルテの情報だけでは分析できないものなのだ。

 また、当該作業をどんなシーンで、どんなタイミングで行うか?によっても分析結果は変わりうる。

 作業について評価する時には、誰の、いつ、どこで行う作業なのか?について特定しておかなければできないのである。

画像引用元:SAMURAI-OT blog
画像引用元:SAMURAI-OT blog

 上の図は作業を遂行する上で必要な条件を表しているが、作業療法士なら全員見たことがある図だろう。

 『人』という項目ではクライエントの症状や能力なんかも必要な情報となるが、クライエントが当該作業についてどう思っているか、クライエントはプラス思考か、マイナス思考か?なんかも評価される必要がある。

 例えば、カフェでコーヒーを頼んで予想以上に大きなカップで出てきた時、ラッキーと思うか、こんなに飲めねぇよって思うのかは体調や状況による。また、そもそもの性格にもよる。

 『不倫は文化』なんて言ったら多くの方の罵声を浴びることになるが、中にはそういう風に思う人もいるわけだ。つまりボクとAさんとBさんの『不倫』に対する認識はまったく違っているから、ボクが不倫するのと、Aさんが不倫するのと、Bさんが不倫するのとでは全く意味合いが違ってくる。だから、男は女に対して、どっからが浮気?とかって聞いたりして、認識のズレを調整しているのかもしれない。笑

作業を治療に用いる作業療法

 作業療法士は作業を治療に用いる専門職である。

 では、作業を治療に用いるとはどういうことか?

 作業療法士は人(クライエント)を作業的存在として捉え、クライエントが「したい・する必要がある・することが期待されている作業」を経験することでクライエントの健康と安寧を促進する役割を担う。

 だから作業を治療に用いるとは、クライエントがしたい・する必要がある・することが期待されている作業をクライエントがしたい・する必要がある・することが期待されている条件において経験する機会を提供することを意味している。

 ライリーは「人というものは、その気になって考えてやってみれば、もっと健康な自分になれる」と言ったそうである。

 作業療法はまさに人(クライエント)が、その気になってやってみる機会を作ることだと言えるだろう。

おわりに

 作業科学は南カルフォルニア大学に作業療法の博士課程を創設しようとした際、学問的基盤の弱さを理由に大学から却下されたところから始まっている。

 つまり、作業療法の基盤、恐らく日本でいうところの基礎作業学は学問としての基盤ができていないという理由で博士課程を作ることができなかったのだ。これは1981年の出来事でたかだか30数年前の話である。その経験を踏まえ、学問的基盤を持つため「作業科学」という新たな学問体系を作り、1988年に作業科学の博士課程が認可されるのである。

 作業療法の歴史は100年以上になるが、作業療法(作業科学)を体系的な学問として認められ取り組んだのはたかだか30年程度なのだ。しかし、既に30年間はそのような流れで時代は動いてきている。

 未だに医学モデルに偏っている作業療法士は早く足を留めたほうが良いし、自分の立ち位置と進むべき方向性を見直すべきだろう。

 そうじゃなかったにしても、もう一度自分の実践を明確にするためにも「「作業」って何だろう〜作業科学入門〜」は読んだ方が良い一冊である。ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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