哲学・科学・理論

脳血流量が示す効果的なPNFテクニックとは?

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 先日、大阪で開催されたPNFアドバンス勉強会で教えてもらったPNFに関連するトッピックスについて紹介したいと思う。

 科学の進歩は本当に目覚ましいもので、徒手療法のエビデンスの測定が徐々に現実化されつつある。

 とはいえ、どうしても個体差が存在するのも事実。(※治療者の個体差と患者の個体差)

 なので、『再現性』を担保するエビデンスというのは、今後も永遠のテーマとなることだろう。

 しかし、Aが行う治療をBが受けた場合というシングルケースの積み重ねも合わせて重要であることは言うまでもない。

 例えば、医療保険や介護保険でリハが受けられなくなったとしたら、人は自費でも受けたい療法士を探し始めるし、医師は自費でも受けるべき療法士を紹介するだろうし、また病院や施設は自費でも受けたいと思われる療法士を囲い込むことになる。

 その時、選ばれる療法士はエビデンスベースの治療を行う人ではなく、シングルケースで効果を上げられる人だと思う。

 ま、極端な例だけど、そういう意味合いもあって、シングルケースであっても効果を出し続けられる療法士になるために、知っておくべき知識の一つとして今回のエントリーをご紹介する次第だ。

脳血流量が効果的に増加するPNFテクニック

 脳血流量が増加したからどうなん?っていう基本的な質問はここでは置いておきたい。それは治療者と患者の相互作用の上で考えるべきものであり、脳血流が増大したから治るとか治らないとかって話ではないからだ。

 ただ、脳血流量が増加する事、あるいはしないことを患者の治療にどのように用いるか?は治療者と患者の関係性や状態に応じて決めるものである。

 ここでは、PNFのテクニックがどのように脳へ影響しているか?についてを紹介するにとどめたい。

 尚、PNFに関する基本的な事項については別のエントリーでまとめているので参考にして頂ければ幸いだ。

参考:PNF(固有受容性神経筋促通法)に関するエントリーまとめ

 また、今回取り上げているPNFのテクニックについても別エントリーでまとめているので、こちらも参考にしていただきたい。

参考:PNFのテクニックとは、問題解決手段である

Repeated Stretch from Beginning of RangeとRepeated Steretch through Rangeは効果的に脳血流量を増大させる

 ソースはちょっと見つけられなかったのだけど、以下の3パターンにおいてどれが効果的に脳血流を増加させるか?という研究が行われている。

  • 自動運動時
  • 伸張反射時
  • 伸張反射後の自動運動時

 運動学習の観点から考えると自動運動時と伸張反射後の自動運動時のどちらか?ということになるのだけれど、『伸張反射後の自動運動時』が最も脳血流量を増加させたのだそう。

 そして、「Repeated Stretch from Beginning of Range」と「Repeated Steretch through Range」はまさにそのどちらも利用したテクニックである。

 某大学の光何とかっていう数千万円する日本でもいくつかしかないっていう機会を用いて「Repeated Stretch from Beginning of Range」と「Repeated Steretch through Range」時の脳血流の測定をしたところ他のテクニックと比べて効果的に脳血流が増加したのだそう。(まだ研究段階で論文等は出ていない)

 これをその某大学の学生さんが研究しているんだって。最近の学生さんはマジすごいね。現役セラピストは負けないように頑張らないとね。

Stabilizing ReversalsとRhythmic Stabilizationでは、Rhythmic Stabilizationの方がより脳血流量を増加させる

 これは、何となくイメージできる結果かもしれない。

 予測ができず、より能力の高いクライエントに対して用いられる「Rhythmic Stabilization」の方が脳血流を増大させるという結果が出たらしい。

 もちろん、だから「Rhythmic Stabilization」だけで良いんじゃない?って話ではない。

 脳血流はこんな感じだったってだけの話であることをご理解頂きたい。

上肢から上肢、下肢から下肢へのイラデーションは脳血流を増加させるが、上肢から下肢、下肢から上肢では脳血流量に変化は出ない

 これはめっちゃ興味深い結果である。

 イラデーションとは、直接的に運動が起こっている部位意外の部位に、当該運動に起因して起こる運動郡のことである。オーバーフロー(溢れ出し)運動などと呼ばれたりもする。

 右手を使うことで左手に、左手を使うことで右足になど当該運動を起こしている部位意外に運動を起こし治療効果を求めることが可能である。

 しかし、上肢から上肢、下肢から下肢のイラデーションについて脳血流は増加するものの、上肢から下肢、あるいは下肢から上肢のイラデーションについて、運動は起こっているにも関わらず脳血流の増加は認められなかったとのこと。

 これが、運動学習にどの程度影響するかはわからないが、もし影響するのであれば、左下肢の運動を狙って右上肢の運動を促すような場合においては、左下肢の運動が起こっているその現象をクライエント自身に確認させたり、イラデーションと同時に(できるかどうかに関わらず)自動運動も促すような口頭指示が必要かもしれない。

 ボクが今回一番不思議に感じた脳の仕組みである。

おわりに

 世の中、マジですげーよね。この進歩。

 もちろん昔の研究に基いて今があるのだけれど、こんなバケモノ級の道具が出てきたら昔の研究法や結果ってのが陳腐に見える。

 今はまだ誰もが手軽に手を出せる機会じゃないから、一般の臨床家が自分の興味を確認するために用いることはできないが、一部の限られた研究者の方については、そういう臨床家の興味を汲み取って研究に励んでいただきたいなぁと思う次第。

 ってことで、今回はここまで。

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