事例報告

作業療法の役割は(安寧と幸福を得る)機会を提供する事!

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 ここんところ吉備国際大学の准教授であられる京極先生のブログが熱い。

 ここに作業療法の役割として、以下のように書かれている。

作業療法の哲学を提唱したアドルフ・マイヤー医師は、作業療法の役割は指示ではなく機会(opportunity)を提供することである、と論じました。

 機会を提供する。おぉ、まさにコレと思った。

 んで、今日ボクが体験した出来事もこの事と通じるのでシェアしたいと思った次第。

 ちなみに、京極先生のこのブログを理解する上で以下の2つのエントリーも読んでおいたほうが良いと思うので合わせて読んでみて。

整体サロンでの作業療法の取組み

 整体サロンにおいてお客様は「姿勢を良くしたい」「肩こり・腰痛を改善したい」とか「将来的に健康に生きていきたい」という美容・健康的にニーズに基づき訪れられる。

 しかし、作業療法士は痛みやコリそのものにアプローチすることが仕事ではない。ボク達はその先のクライエントの人生における健康と安寧を促進することである。

 そして、お客様の個別の症状の多くや姿勢の悪さはバランスの偏り、抗重力筋の筋活動が不十分などのフィジカル面が大きく関与しているわけだが、それだけではなく心理面もこれまた大きく関与している。

 フィジカル面の改善は一次的に見られるが、その問題の原因は日々の習慣にある。つまり、習慣を変えなければ問題の根本解決には至らない。

 毎日のようにリハを受けていれば比較的長く問題からは逃れられるかもしれないが、習慣が変わっていなければいずれまた同じ問題を抱えることになるだろう。

 身体にとって『良い習慣』を促進し、『悪い習慣』を改善する『提案』をすることが必要だ。

 そして、冒頭にある通り、作業を通じて健康や安寧を促進する機会を提供することこそ作業療法の役割である。

事例紹介:アイドル好きな40代女性がアイドルのクリアファイルを用いて仕事のストレスを発散し、腰痛を改善し姿勢を改善した例

 某アイドルグループメンバーのA氏が大好きな40代の女性B氏は2年ほど前より当サロンへ通っている。

 当初の姿勢と比べると「より左右対称な姿勢」を手に入れ、関節可動域も向上し、姿勢の安定性が増した。(抽象的な表現でごめんなさい。主観でしか評価してまへん。)

 当初週に2〜3回、10時〜16時のパートタイムで働いていたが、半年ほど前に転職しフルタイムで働くようになられた。

 その後、来店時はかなりお疲れな様子で、仕事の愚痴が多くなられた。それに伴い、筋の緊張は高まり、バランスの不良も目立つようになった。

 B氏の楽しみはA氏のコンサートに行くことや、テレビやDVD等を通じてA氏の活躍を見ることであった。B氏の願いはA氏と結婚することで、その為なら夫も子どもも捨てられるとさえおっしゃられる程のものであった。

 そこで、来店時の会話は主にA氏に関するものにするよう心がけ、心身ともにスッキリした気持ちで帰っていただくことを目的に関わりを始めた。

 しかしながら、それはリピート率向上には繋がるものの、B氏の心身の状態を改善するには至らず、ついに突発性難聴と思われる症状も出始めることになった。

 そこで、会社内でのストレス発散を目的として会社にA氏を持ち込む為の提案をしてみた。

 きっかけはB氏の「A氏のうちわ持っていきたいわぁ…」という一言であった。ただ、周囲の目などもあることからそれは躊躇されていた。

 そこで仕事に関係のあるグッズはないか?という質問をしてみた。下敷きやマグカップなどは実用的な備品として会社に持ち込んでも特に問題はないのではないかと考えたからだ。

 するとB氏は「あ、クリアファイルならある!」と言われ、翌日より会社へ持ち込みストレスを感じるタイミングがある度にそれを眺めてもらうという事をした。

 2週間後の来店時、B氏は入ってくるなり「あれ、良いわ!」と喜ばれており、バランスの傾きも大きくなかった。(こちらも写真での比較のみだけどね。)

 突発性難聴のような症状も収まり、現在は楽しくない中でもストレスを上手く発散しながらお仕事へ行かれている。

考察

 冒頭で述べたように、作業療法士は作業を通じて、クライエントの健康と安寧を促進することが仕事である。

 その為には良い習慣を促進し、悪い習慣を減らす必要がある。そして、それを指示してやらせる事ではなく、機会を作ることが役割だ。

 ジョギングしましょう、筋トレしましょう。禁煙しましょう、休肝日作りましょう。言うことは簡単である。しかしそれらは作業療法の役割ではない。どうやったらジョギングする機会を作れるか?を考え提案していくことが必要なのだ。

 今回は、B氏のストレスを抱える習慣を減らす目的でその機会をA氏のグッズに求めた。

 評価をしっかりしていないから科学的な内容でないため、これが作業療法だとは思わない。ただ、作業療法を行う上で重要な気付きとなった。

おわりに

 ボクの欠点。ちゃんと評価しないこと。だって評価の時間だけでお金もらうことができないからね…。そこも含めて実費でされてる人を尊敬する。

 でもまぁ、考え方としてはご紹介に値するものかなぁと思ったのでお恥ずかしながら紹介してみた。

 このやり方を作業療法へと昇華するためには、B氏の姿勢の悪さや腰痛や肩こりの原因や程度を詳細に評価し、施術後の状態と比較すること、また毎回の状態を集積し、最終的にどうなったかを分析する必要がある。

 また、ストレスの程度や満足度なんかもCOPMなどを用いて評価しておく必要がある。

 まぁ、うちの整体の商売は客観性よりもお客様の主観の満足度が大切なのでこんな感じでゆる〜くやってるんだけどね。ま、参考にして頂ければ幸いかと。ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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