医療・介護・福祉

理学・作業療法士の為の特別支援教育の概要と動向について

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 小児のリハビリテーションに関わる上で『特別支援教育』というものを知っておく必要がある。

 理由は明確で、障がいの有無に関わらず子どもは教育を受ける権利を有しており、その旨は『障害者の権利条約』にも明記してあり、日本は障害者の権利条約を批准しているからである。

 しかし、理学・作業療法士は医療関連職種であり、教育者ではない。つまり、養成課程において特別支援教育について学ばないし、概要についても知らない人が多いだろう。

 子どもの支援を行う上では、理学・作業療法士や看護師など医療関連職種だけで行えるものではなく、保育士や教師、又は放課後等デイサービスのスタッフなどと連携を取りながら行われるべきものである。

 特別支援教育という枠組みの中で支援を担う上で、ボク達は特別支援教育について当然知っておく必要がある。

 今回は、特別支援教育の概要と、どのように特別支援教育が現在に至っているかの動向について簡単にまとめてみたいと思う。

特別支援教育の理念

 特別支援教育の理念は以下の通り。

 特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取 組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものである。
 また、特別支援教育は、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるものである。
 さらに、特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている。(引用元:文部科学省

 つまり、障がいの有無に関わらず全ての幼児児童生徒の教育的ニーズを満たすための適切指導・支援を行うことで共生社会の基礎を築く事と要約できるだろう。

特別支援教育の概要

画像引用元:文部科学省
画像引用元:文部科学省

 上図のように特別支援教育は、障がいの程度に応じて以下のような形で教育を受ける。

  1. 特別支援学校(旧・養護学校)
  2. 小・中学校の特別支援級
  3. 小・中学校の通級による指導

 特別支援学校での教育は、障がいのある生徒が特別支援学校に入学し、特別支援学校にて教育を受けることになる。

 曖昧なのが、特別支援級と通級なのだけれど、通級では生徒の所属はあくまで◯年◯組というみんなと同じクラスになり、特別支援級では、所属が特別支援クラス(学校によりクラスの名称は違うと思う)で◯年◯組には所属しないということになる。

 特別支援級は障がいの種別により少人数(最大8名)の少人数の学級である。基本的に授業は支援級の部屋で受ける。

 通級は、障がいの程度や種類によって特別な配慮の必要がある科目に関しては通級の部屋で授業を受けるが、その他は自分の所属するクラスの部屋で授業を受けることになる。

 障がいの種類や程度、先生の能力や授業の内容などに応じて、どの学校・学級に進むかを検討する必要がある。

特別支援教育の必要な子どもの数の推移

 特別支援教育の必要性は年々増してきている。

画像引用元:文部科学省資料
画像引用元:文部科学省資料

 特別支援学校の在籍者数は平成27年5月現在で、137894名で年々増えている。また、別の資料を見てみよう。

画像引用元:文部科学省資料
画像引用元:文部科学省資料

 中学部、小学部の割合に比べて高等部の利用者数が増えている。これは中学校までは普通学校を利用していたが、高校進学を機に支援学校へ進学することを意味しているのだと思う。

 この辺にまだまだ課題がありそうだ。

画像引用元:文部科学省資料
画像引用元:文部科学省資料
画像引用元:文部科学省資料
画像引用元:文部科学省資料

 これらは支援級及び通級利用生徒の推移である。どちらも年々増えてきている。当然これに伴って特別支援教育に精通した教師の増加も望まれるが現状まだまだ足りていない。

 また、問題はそれだけではない。

画像引用元:文部科学省資料
画像引用元:文部科学省資料

 小中学校の通常学級に通う子どもの内6.5%の子どもに学習や行動の困難さがあるという調査結果が出ている。ちなみに、高校では全体の2.2%だとのこと。

 これはつまり、もはや特別支援学校や支援級、通級を担当する先生だけでなく、全ての教育者が学習の困難さや子どもの行動の困難さについて知識を持ち、対処できる必要があることを意味している。

 特別支援教育とは、もはや障がいの有無に囚われず、デフォルトで実践されなければならないものとなっているのだ。

日本における特別支援教育の動向

 平成18年、国連にて『障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)』が採択された。平成19年に日本は署名する。(批准ではない。条約に署名により効力を発するという記載があれば、署名=批准となるが、障害者権利条約はそうではない。日本が批准するのは平成26年。)

 平成19年、障害者権利条約批准に先立ち、これまでの「特殊教育」を「特別支援教育」とし、特別支援教育を本格始動させた。

 平成23年に障害者権利条約に対応した「教育基本法」を改定し、平成24年にインクルーシブ教育が推進されるようになる。それに伴い平成25年に障害者差別解消法を制定(施行は平成28年)し、就学制度を改定し「認定就学」から「本人・保護者の意向」を限りなく尊重するという『総合的判断』を行うようになる。

 それらを受け平成26年1月に障害者権利条約を批准することになる。

 もちろん、批准することがゴールではなく、障害者権利条約を守り、よりよい社会にするために日々進化していっている。

 現状ではインクルーシブ教育の推進と合理的配慮について積極的に取り組んでいる状況だ。

おわりに

 ごくごく簡単に…ではあったが、これが日本における特別支援教育の概要で、現状までの動向である。

 特別支援教育に携わる上で、その成り立ちや目的・意図を知って取り組む必要があるだろう。

 詳細は文科省等から出されている資料を読んでみて欲しい。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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