特別支援教育

理学・作業療法士が子どもの問題行動に対処する方法とは?

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 発達障がいに関する書籍や講演を見聞きしているとよく出てくる言葉の一つに「問題行動」がある。

 例えば、自分の思い通りにいかなければ癇癪を起こすとか、人を叩いたり、物を壊したりというのが挙げられるだろう。

 確かに社会的な行動とは言えないが、果たして本当に『問題行動』なのだろうか。

 周囲に危害を加えるという意味合いにおいて、本人にとっても周囲にとっても望ましくない行動であることには違いない。

 しかし、『問題行動』という言葉が正しいか?といえばボクは違っていると思う。これらを問題行動というのであれば、赤ちゃんの夜泣きも問題行動だし、部下が言うことをきかないのも問題行動だろう。

 便宜上タイトルでは『問題行動』と書いたが、正確には社会にとっての望ましくない行動と表現すべきことだとまずはお伝えしておきたい。

 さて、その上で発達障がいを持つ子ども達に対して理学・作業療法士はどのようなことができるだろうか。その方法についてシェアしたいと思う。

ポイントは1つか2つに絞る

 発達障がいを持つ子どもの母親や支援施設のスタッフに聞くと止めどもなく望ましくない行動が溢れ出てくるだろう。まるで、ダムから放出される水のように次から次へとどんどんと。

 それくらい大変な想いをされていることは汲みつつも、その全てを一度に対応することはできない。だから、まず特に困っている望ましくない行動は何か?という質問をしなければならない。

 そして、その行動に焦点を絞り、その原因、その行動を起こす理由を考え、お母様へ対処法をフィードバックしていくことが仕事となる。

 まずはポイントを絞るということを忘れてはいけない。

子どもに望ましくない行動だと理解させる

 対処すべき行動がピックアップできたら次はその行動が望ましくない行動であると子どもに教えていく必要がある。

 多くの場合、ここで失敗しているので注意して教えて欲しい。これは子育てのシーンでも同じだ。

 例えば、子どもが思い通りにならないと言って泣きわめいているとしよう。それが、外出先で他人の迷惑になるような場面だとしたとするなら、それは望ましくない行動だ。

 そこで、あなたは子どもの機嫌をとるためにおやつを与えるかもしれないし、スマホを渡してゲームをさせるかもしれない。すると、子どもは機嫌を直し、おやつやゲームに夢中になるだろう。

 その場面においては、望ましくない行動が収まるので、親は一安心する。

 しかし、これでは子どもは自分の『外出先で泣きわめく』という行動が、望ましくない行動だという事を理解できないだろう。

 何故なら『泣きわめく』という行動に対して、おやつやゲームという『ご褒美』が提供されたわけだから、子どもは泣き叫ぶとおやつがもらえる、ゲームをさせてもらえるという学習をすることになる。

 『泣きわめく』という行動が例えば映画館のように周囲に迷惑のかかる環境であれば、まずはその場を離れ、落ち着くまで待つという対処が必要となるが、その上でそれが良くない行動であることを教えなければならない。

 そして、それは帰ってからとか、後日とかではなく、その場で教える方が効果的である。時間が経てば経つほど、子どもは忘れている可能性もあるし、前のことをほじくり返されていると思っていい気分にはならないだろう。

 どのようにして当該行動を望ましくない行動か?を教えるかというと、罰(目に見える結果)を与えるしか無い。もちろん罰は子どもの年齢や発達レベルに応じて適切に決められなければならない。また、子どもの人権や健全な生育を阻害するものであってはならないので罰は予めいくつか決めておくことが望ましい。

参考エントリー:子どもに特定の行動を学習させる時は目に見える結果を使おう

 『罰』という言葉を書くと誤解を生みそうなので躊躇したのだけど便宜上、罰という言葉を用いた。しかし、ここでは体罰や懲罰的な事を意味しているのではない。子どもにとっては喜ばしくない状況を提供するということだ。タイムアウトはその一例である。

参考エントリー:アメリカでは一般的だが日本では皆無の子育て法「タイムアウト」

いきなり罰を与えるのではなく、予め教えておこう!

 目に見えて分かる結果(罰)を用いることで子どもには特定の行動が望ましくない行動だと教えることが出来る。とはいえ、もちろん一回や二回で教えることができるわけじゃないので根気よく継続することが前提だ。

 さて、ここでは罰を与える前にしておくべき事についてお伝えしておきたい。

 昨日まで『泣きわめく』事に対して『おやつ』という結果を得ていたのに、今日から突然罰が与えられたのでは溜まったもんじゃない。大人でも理不尽な想いを抱くだろうが、子どもはもっと衝撃を受けることになると予想される。

 だから予め、望ましい行動と、もしその望ましい行動ができなかった時に罰が待っている旨を伝えておく必要がある。

 子どもが理解出来る形で、短く端的に伝えることがポイントだ。自閉症スペクトラム児など言語の理解が乏しい子どもに対しては絵カードなど用いることで理解が進むかもしれない。

 子どもにとって最も理解できる形で事前の教育を施すことが重要である。

おわりに

 障がいがあろうがなかろうが、子どもたちに親や支援者ができることというのは限られている。

 それを如何に丁寧に、システマティックに行うか?なのだが、日本には確立された方法というのは殆どない。

 だから、感覚統合療法一辺倒になりがちなのだ。もちろん、感覚統合療法がダメなわけではなく、選択肢の一つではあるし、子どもの支援計画の一部に入ることも良い。しかし、あくまで一部。それだけではない。

 子どもにとって重要なのは育つこと。親や支援者の役割は育てること。

 そして、ボク達理学・作業療法士はその育ちや育てることのお手伝いである。

 子どもがどういう場面で育ちに困っているか、お母様や支援者がどういう場面での育てに困っているかを焦点化し専門性を用いて支援するのがボク達のお仕事だ。

 その点を考え、様々な視野を持って取り組める必要があるだろう。ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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