特別支援教育

重度重複障がい児のリハでは姿勢管理とバリエーションが重要

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 言語でのコミュニケーションはもちろん、簡単な意思疎通さえも困難な重度重複障がい児において、そのQOLやNEEDSを把握することは困難である。

 こちらから『快』反応だと捉えている行動も、実は『不快』反応であるなんてことも往々にしてあるだろう。

 しかし、その彼らの反応が分かりにくいからと言って何もできないわけではない。

 重度重複障がいを持つ子どもたちに対する理学・作業療法士が担う役割の基本原則について解説したいと思う。

マズローの欲求階層について考える

 以下の図はマズローが考えた人間の基本的欲求の階層理論である。

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 重度重複障がい児の場合、その最も底辺にあり基本的な欲求である『生理的欲求』が満たされていないことがある。

 呼吸機能が悪かったり、姿勢変換が困難であると生理的欲求が阻害される。

 だから、まず子ども達の生理的欲求を如何にして満たすか?より快適にするにはどうすべきか?について考えなければならない。

生理的欲求を満たすために考えるべきこと

 では、重度重複障がい児の生理的欲求を満たすためには、どのような事を考え支援していかなければならないだろうか。

 下の図は脳性まひ児の呼吸障害と治療法の関連を示したものである。

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 これを見ると彼らの姿勢と呼吸、筋緊張が深く関連しており支援すべき内容であることが分かるだろう。

 姿勢を変えれば呼吸も緊張も変わることは多くの療法士にとっては経験上理解されていることだと思う。つまり、ボク達が重度重複障がい児の生理的欲求を満たす上で考えるべきは『姿勢』のことなのだ。

重度重複障がい児の姿勢について考えるべきこと

 重度重複障がい児の姿勢における一番の問題は、姿勢のバリエーションが少ないことである。

 寝たら寝たまま、座ったら座ったまま。こういう画一的な姿勢が特定の筋緊張を強め、非対称を強め、呼吸障がいの原因にもなっているのである。

 ボク達が彼らの姿勢について考えるべき視点は以下の2つ。

  1. 管理
  2. バリエーション

 彼らが24時間どのような姿勢で過ごしているかを把握し、それらを管理していくことが専門職として必要な視点である。

 そしてもう一つがバリエーション。彼らはボク達のように様々な姿勢を取ることができない。ボクは今パピーポジションにてこの文章を書いているが、パピーポジションを取ることさえ難しいお子さんもいらっしゃる。

 ボク達は彼らの姿勢のバリエーションを増やし、24時間の姿勢管理の中に取り込んでいくという視点である。

1.姿勢管理の方法

 では、まず姿勢管理の方法だ。

 これは簡単で24時間の日課表を作ると共に、その時の姿勢を書き込むのだ。

 その姿勢のあり方、変換が彼らの生理的欲求を満たす上で効果的かどうかを判断していく。

 詳しくは今川先生の著書を参考にどうぞ。

 また、そのそれぞれの姿勢が機能的かどうかもしっかり評価する必要がある。

 座位は座位でも、そのお子さんにとって変形を強める座位、呼吸を悪化させる座位がある。どのような姿勢が彼らにとって有効なものになるか?を判断し、管理する必要があるだろう。

2.姿勢バリエーションの作り方

 まずは現状の聞き取り。今まで取ったことのある姿勢を把握し、身体の状況を確認した上で更に獲得可能な姿勢を判断して新たな姿勢を経験していく。

 ポイントはいくつかあると思うが、一番は快適であること。ま、当然だわな。快適でない姿勢をとっても仕方ない。

 呼吸の状態やSpO2などを測定しながら、当該姿勢が快適かどうかを評価しながらバリエーションを増やして欲しい。

 そして、もう一つの大きなポイントはセットで獲得するということ。

 『腹臥位→膝立ち位→立位』はセットである。膝の角度や重力に対する体軸の角度が異なるだけで基本的に同じ姿勢だ。だから、膝のROMが確保されているお子さんが伏臥位を取れれば膝立ちも立位も可能であることを意味している。

 もちろん支持する為の援助は必要だが、可能である。

 同様に『背臥位→椅子座位→立位』もセットで獲得することが可能なので同様に考えてみると良いだろう。

おわりに

 姿勢に対するアプローチはマジ奥深いよ。

 一生かけて取り組むべきテーマだね。

 今回はその基本中の基本だけを触れた。

 ボクも臨床に出た当初は、何故そんなに姿勢に拘るのか?なんて考えていたし、周囲にそれを教えてくれる先輩も居なかった。

 このブログを通じて、姿勢に関わる必要性と重要性に気付いて頂ければ幸いだ。ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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