3学会合同呼吸療法認定士

理学・作業療法士が学ぶべき酸塩基平衡障害の種類と指標

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 今回も3学会合同呼吸療法認定士試験に絶対に出題される酸塩基平衡障害について勉強したことをまとめようと思う。

 酸塩基平衡障害は理解するには血液ガスの理解が必要なので、もしまだ読んでいなければ先に読んでおいて欲しい。

参考エントリー:理学・作業療法士が知っておくべき呼吸における血液ガスの事

酸塩基平衡とは?

 酸塩基が平衡を保っているとはどういうことか?

 前出の「理学・作業療法士が知っておくべき呼吸における血液ガスの事」に書いていることだけど、血液のpH(水素イオン濃度)は7.40±0.05で保たれている。

 ま、つまり中性。リトマス試験紙につけたらしっかり緑。このバランスが崩れることが酸塩基平衡障害と言われる。

 説明が前出のエントリーと重複するのであまりしないが、体内で生成される水素イオンの大半は二酸化炭素由来(揮発酸※二酸化炭素由来でない水素イオンは固定酸:乳酸やケト酸由来)で産生され、肺から二酸化炭素として排出されるが、このメカニズムに呼吸が大きく関わっているので3学会合同呼吸療法認定士の試験にも出されるわけ。

酸塩基平衡障害とは?

 酸塩基平衡障害の原因は、水素イオンの除去障害と言い換えることができる。厳密に原因を追求すると、何故水素イオンが除去できないか?に着目する必要がある。

 水素イオンの除去システムは大きく分けて以下の2つである。

  1. 緩衝
  2. 排泄

 水素イオンは1日に13050mmol産生されており、その99%(13000mmol)は最終的に肺を介してCO2として排泄され、残り1%は腎臓を介して「排泄」される。

 その排泄までの過程において、体内では「緩衝」が行われる。緩衝とは、水素イオンを吸着・中和する作用のことで以下の4つの方法が存在している。

  1. 重炭酸系(血漿・組織間液)
  2. 蛋白系(赤血球内ヘモグロビン、種々の細胞内)
  3. リン酸系(種々の細胞内、尿)
  4. アンモニア系(尿)

引用元:第21回3学会合同呼吸療法認定士 認定講習会テキスト P.63

 この緩衝により、1日最大250mmolの水素イオンを1/50に中和している。

 このシステムが乱れた状態が酸塩基平衡障害であり、その病態は以下の2つ。

  1. 水素イオンの増加
  2. 水素イオンの減少

 当然ながらpHを一定に保とうとするならば、水素イオンが増えすぎても、減りすぎてもダメ。で、水素イオンが増えすぎたり、減りすぎたりする理由は以下の2つ。

  1. 肺胞換気の問題
  2. 肺胞換気以外の問題

 ざっくりしててごめんなさい。苦笑

 でも、先程も書いたようにpHの調節は肺、呼吸機能に大きく依存している。肺、呼吸機能の問題はそのまま酸塩基調節の問題に繋がりやすい。

 では、肺胞換気以外の問題とは?

 これは呼吸に関与せず作られる水素イオン(乳酸やケト酸に由来する固定酸)の増減である。これらの原因により、酸塩基平衡障害は起こる。

酸塩基平衡障害の分類

 酸塩基平衡障害は「呼吸性(肺胞換気の問題)」と「代謝性(固定酸の問題)」の2つがあり、以下の4つに分類されている。

  1. 呼吸性アシドーシス(肺胞低換気、CO2の上昇)
  2. 呼吸性アルカローシス(肺胞過換気、CO2の低下)
  3. 代謝性アシドーシス(固定酸の増加)
  4. 代謝性アルカローシス(固定酸の減少)

 アシドーシスは、水素イオンが増加しpHが7.35より低くなる状態(酸性に近づく)で、アルカローシスは水素イオンが減少しpHが7.45より高くなる状態(アルカリ性に近づく)である。

 以下、これらについて詳細を説明する。

1.呼吸性アシドーシスとは?

 呼吸性アシドーシスは呼吸の問題により、体内に二酸化炭素が貯留することがにより、体内の水素イオンが増加することで起こる。

 二酸化炭素は体内で、重炭酸イオンと水素イオンに分解されるわけだけど、二酸化炭素量が増えると単純に水素イオンが増え、pHが正常値である7.35よりも酸に傾くわけだ。

 何らかの原因により肺胞へ酸素が上手く運搬されない状態(肺胞低換気)により、ガス交換が上手く行われず、動脈血二酸化炭素分圧が増加する。

 原因は様々で、呼吸を行う中枢(延髄、中枢神経系)、末梢神経系、筋骨格系、肺病変など、どの部位で起こっても起こる可能性がある。

 詳細は「ナースの教科書」さんが詳しいので参考にされたし。

2.呼吸性アルカローシスとは?

 呼吸性アシドーシスと逆で、体内の二酸化炭素が少なくなりすぎる事で、体内の水素イオンが減少することにより起こる。

 動脈血二酸化炭素分圧が減少すると、水素イオンが減少し、pHが正常値である7.45よりもアルカリに傾く。

 動脈血二酸化炭素分圧が減少するのは、ガス交換がされすぎる状態、つまり過換気により起こる。

 過換気は心因性のものの他に、呼吸中枢の問題や、敗血症やショックにより細胞レベルで低酸素状態になった時、貯留する二酸化炭素を排出しようとアルカローシスになるケースがあるらしい。

 こちらも詳細は「ナースの教科書」さんが詳しいので参考にされたし。

3.代謝性アシドーシスとは?

 代謝性アシドーシスは肺胞換気以外の理由で水素イオンが増加し、pHが酸に傾くことを言う。

 代謝性アシドーシスにおいて、水素イオンが増加する原因は腎臓による水素イオンの排泄障害や酸の誤飲、糖尿病性ケトアシドーシス、ショックに伴う乳酸の生成などが上げられる。

 これら理由に伴い水素イオンが増える。すると、体内ではこの水素イオンを排泄するためには、HCO3-と結合しようとする働きが生まれるため、体内のHCO3-の濃度が下がる。

 更に進行すると、水素イオンと重炭酸イオンが結合して生まれた二酸化炭素が貯留しはじめるので、肺胞による換気が促進される。それにより二酸化炭素の排出が促進され、動脈血内の二酸化炭素分圧が低下する。

 こちらも詳細は「ナースの教科書」さんが詳しいので参考にされたし。

4.代謝性アルカローシスとは?

 代謝性アルカローシスは肺胞換気以外の理由でpHがアルカリに傾くことを言う。

 原因は体内の水素イオンが減少しすぎることか重炭酸イオンが増えすぎることである。

 水素イオンが減少しすぎるケースとは、大量の嘔吐により胃酸が体外へ排出されることなどが考えられる。

 重炭酸イオンが増えすぎるケースは、重炭酸イオンが体内に入りすぎた状態か、もしくは排泄ができていない状態である。

 重炭酸イオンが体内に入りすぎる状態が起こる原因は、重炭酸イオンが含まれる補液や薬剤を大量に投与された場合である。反対に重炭酸イオンが排泄できない状態が起こる原因は、利尿剤使用により重炭酸イオンが再吸収され体内に増えることが挙げられる。

 こちらも詳細は「ナースの教科書」さんが詳しいので参考にされたし。

おわりに

 調べれば調べるほど、身体って本当に絶妙なところで維持してくれてんだなぁと思う。

 ただ、絶妙にバランスをとってくれているから、少しの事でそのバランスも崩れてしまう。

 そのバランスを崩す病気なども理学・作業療法士として知っておく必要があるなぁと感じる。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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