3学会合同呼吸療法認定士

理学・作業療法士が知っておくべき呼吸における血液ガスの事

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 本日より、来年の3学会合同呼吸療法認定士の勉強を兼ねて、呼吸の復習エントリーをまとめていこうと思う。

 今回試験を受けて、一番理解しないといけないのに理解出来ていなかった「血液ガス」の解釈について勉強した内容をシェアしたいと思う。

血液ガスとは?

 血液ガスとは何なのか。ここではごく単純に理解しようと思う。

 呼吸とは、吸気と呼気による肺胞での「ガス交換」のことを言う。

 吸気により大気中から得た酸素を肺胞から血液中へ送り、血液中から不要となった二酸化炭素を呼気にて体外へ排出するのが呼吸。

 つまり血液ガスとは、血液中に含まれる酸素や二酸化炭素などの気体の事を言う。また同時にpHを計測することで血中の重炭酸イオンHCO3-を把握することも重要なのだ。

 臨床ではSpO2(動脈血中酸素飽和度)を指標にすることが大半だが、クライアントの状態を正確に把握しようと思うと「PaO2(動脈血酸素分圧)」「PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)」「pH(水素イオン濃度)」「HCO3-(重炭酸イオン)」を把握する必要がある。

血液ガスの解釈

 そしてこれらの数値をどう理解するか?が重要である。以下にまとめてみる。

酸素分圧の理解

 PO2(酸素分圧)は大気中に含まれる酸素の圧力のことである。

 大気(1気圧=760Torr)の中に含まれる酸素は約21%なので、760×0.21≒160Torrが酸素分圧となる。この酸素分圧は温度・湿度によって左右される。

 つまり、呼吸における酸素分圧は体温(37°)・体内の湿度(咽頭以降は湿度100%)によって変化する。湿度100%というのは空気中に水蒸気が含まれるということ。37°の空間における水蒸気の分圧は47Torrなので、大気中から取り込んだ酸素が体内で(760-47)×0.21≒150Torrとなる。

 150Torrの酸素が肺胞に到達する。肺胞には血液中から排出された40Torrの二酸化炭素も存在する。だから、肺胞での酸素分圧は110Torrとなる。

 肺胞から血液へガス交換される際に約10Torrのロスが生じると言われているので、動脈血酸素分圧の正常値は100Torrとされている。(状態により80〜100Torrが正常値)

二酸化炭素分圧の理解

 大気中に二酸化炭素は殆どない。だから、呼気に含まれる二酸化炭素は殆どないので0Torr。

 肺胞では、血中からの二酸化炭素排出があるので、40Torr。正常値は35〜40Torrとされている。

 この40Torrの根拠を調べてみたけど、ちょっと見当たらない。学者じゃないので単純に理解するために、ミトコンドリアでのATP酸性に際し、水と酸素が使われ、二酸化炭素が排出されるが、その総量が35〜40Torrで維持されている状態が正常だという理解程度で良いかと思う。

pHと重炭酸イオンの理解

 pHは水素イオン濃度のことだけど、小学生の理科の実験でやったように酸性かアルカリ性か、はたまた間とって中性か?ってのをリトマス試験紙とかで調べるアレのことだ。

 動脈血のpH(pHa)は、7.40±0.05が正常値とされているが、その範囲に保たてられていることが重要。

 血中pHを左右する因子は二酸化炭素分圧である。

 二酸化炭素は血中では重炭酸イオン(HCO3-)に分解されて運ばれるが、この重炭酸イオンは体内で絶え間なく酸性されている水素イオン(H+)の内99%を二酸化炭素の形で排泄している。(H+は13050mmol/日産生されている。)また、残り1%の水素イオンは腎臓を介して排泄される。

血液ガスとガス交換障害

gasukoukansyogai

 ガス交換障害は上の図のように以下の2つに大別される。

  1. 換気血流比の不均等
  2. 拡散障害

 換気血流比の不均等は以下の2つが含まれる。

  1. 右−左血流短絡(シャント)
  2. 死腔

 以下、詳細を解説するが、具体的な疾患等はメカニズムの理解を阻害する可能性があるとボクが感じたので割愛し、別のエントリーで取り上げることにする。

換気血流比の不均等

 換気血流比の不均等とは、肺胞換気(VdotA)と肺血流(Qdot)が良い具合じゃないこと。

 吸気によって肺胞に送り込まれた酸素を、肺胞にある毛細血管の血液に極力漏れずに取り込まれることが望ましい。

 もちろん正常な人体でもここに若干の不均等が存在し、病的な状態になると顕著化する。何らかの病態により①シャント②死腔が生理的な状態より顕著に現れ、換気血流比の不均等が著名となる。

 シャントとは、例えば気道が閉塞した場合、肺胞換気量はゼロ(VdotA=0)、VdotA/Qdotもゼロとなる。こうなると、酸素化は行われず、CO2も排泄されずに肺静脈に流入する。このような状態がシャントと定義される。

 右−左血流短絡とは、右心室から拍出された血流が肺胞気に触れず、酸素化されないまま左心房へ運ばれる事を意味している。

 シャントとは反対に、肺血栓塞栓症などによって肺の血流が遮断されゼロとなる(Qdot=0)。この場合、換気血流比の分母がゼロとなり答えは無限大となる。このような状態もまた酸素化は行われず死腔と定義される。

 死腔には解剖学的死腔と肺胞死腔が存在する。解剖学的死腔とは、鼻腔から肺胞までに存在する吸気の事で、成人で150ml程度あると言われている。肺胞死腔は肺胞まで届いたが血流と触れず酸素化に使われなかった死腔のことで通常成人で30〜50mlあると言われている。また、解剖学的死腔と肺胞死腔を含めて生理的死腔と呼ばれる。

 換気血流比の不均等が起こる原因の内、換気の問題をシャント、血流の問題を死腔って覚えておけば良い感じかな。

拡散障害

画像引用元:やさしイイ呼吸器教室
画像引用元:やさしイイ呼吸器教室

 呼吸における拡散とは、上図のように肺胞気O2が毛細血管内の赤血球(ヘモグロビン)と結合するまでのプロセスをいう。

 肺胞気は、肺胞腔から、肺胞上皮細胞、間質、毛細血管内皮細胞、血漿を透過して赤血球のヘモグロビンと結合する。そのプロセスにおけるどこかに障害があり、このプロセスが上手く遂行されていない状態が拡散障害である。(理解しがたい文字列だが、拡散障害の定義は、ガス交換単位の肺胞気と終末肺毛細血管との間である指標ガスに関する分圧が平衡に達していない状態とされている。)

 先程も述べたが、正常な人体においても酸素分圧が約10Torr拡散のプロセスにおいて差が出る。

肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-zDO2)について

 肺胞気動脈血酸素分圧較差とは、肺胞酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の差を言う(A-aDO2=PAO2-PaO2)。つまり、拡散の過程の前後で出る酸素分圧の差のことである。先程から述べている通り正常でも10Torrほど存在する。

 A-aDO2が大きければ大きいほど、呼吸に問題があると言える。この問題は拡散障害でも、換気血流比不均等でも起こり、臨床的には酸素化能の障害の程度の指標となる。

おわりに

 ガス交換障害が起こると動脈血酸素分圧が低下する。酸素分圧の問題は存在するが、二酸化炭素分圧は正常(PaCO2<45Torr)である。つまり、Ⅰ型呼吸不全に分類される。

参考エントリー:呼吸の異常(呼吸障害)とは何か?呼吸不全について

 この範囲は、試験には必ず出る。しかも一問ではなく、数問必ずでる。

 個人的には計算問題は捨てても良いんじゃないか?理学・作業療法士にそこまでの知識必要か?とも思うので、今回は計算方法については割愛した。でも、完璧に仕上げたいなら計算方法もテキストで確認してみて欲しい。

 ただ、正常値の計算式を覚えるだけでも大変。男女でも違うし、環境(気圧の違い)によっても変わるから覚えるのメッチャ大変。それでも良ければテキストをご確認あれ。

引用・参考元

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