特別支援教育

乳児期における作業機能障害を考えてみた

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 先日読んだ田中先生の論文以来、OBP2.0の子どもへの応用について色々頭を巡らせている。

参考エントリー:発達障害児の母親に対するOBP2.0を用いたアプローチ

 で、今回は取り敢えず子どもにとっての作業機能障害ってどんなだ?ってのを考えてみた。

 ただし、子どもって言っても、生まれたての赤ちゃんと、小学生では少し違う。どの年齢毎で分けるべきか?はちょっと分からないのだけれど、ボクは以下のように分類してみた。

  • 乳児期(〜12M)
  • 幼児期①(1〜3Y)
  • 幼児期②(4〜6Y)
  • 学童期(7〜12Y)
  • 思春期(13〜18Y)

 分け方の基準は以下の通り。

  • 親への依存度
  • 課題の種類・レベル

 一般的に幼児期とは1歳〜小学校入学までを指すが、うちの子(5歳と3歳)を見ていても、親への依存度も課題の種類も違う。なので、短いスパンで区切ってみた。イメージは幼稚園に上がる迄と上がってからという感じ。

 学童期は長いスパンで一年生と六年生では当然親への依存度は変わってくるが、六年生でも親の協力が必要不可欠な状態であることには変わりない。学校の課題のレベルも上がっていくものの、小学生という括りにおいては共通の課題かなぁと思ったので一括りにした。

 思春期の悩みは「勉強」「部活」「恋愛」でしょ?笑

 進研ゼミの漫画広告を読む世代ってのは大体この三大悩みに支配されているから、あの漫画が面白いのだ。ってことで一括りにした。

 深い根拠はないけど、まぁ、大きな間違いも無いんじゃないかなと。

 そして、今回は乳児期における作業機能障害について考えてみたのでシェアしたい。

作業機能障害とは?

 前出のエントリーでも簡単に解説しているが、ここでも簡単に。

 画像引用元:Slideshare

画像引用元:Slideshare

 作業機能障害は上図のように4つに分類され、それぞれの説明も図にある通り。

 詳細は京極先生のブログで確認して欲しい。

参考:【講義メモ】作業科学(2016年4月18日)

乳児期の作業とは?

 ここからは、全くのボクの頭の中なので、根拠もクソもあったもんじゃない。だけど、まぁ参考にはなるかと。

 乳児期の作業(仕事・日常生活・遊び・休息)って何だろうと考えを巡らせてみる。

乳児期の仕事

 乳児期の仕事は3つあると考えられる。もしかしたらもっとあるかもしれないけど、パッと思いついたのは以下の3つ。

  1. 健やかに成長すること
  2. 親を親たらしめること
  3. 不快を知らせること

 なんて風に考えみた。あぁ、確かにって感じじゃない?

 特に乳児期は一人では生きていけない。他の哺乳類とヒトが決定的に違う部分である。

 だから、まずは身長と体重をしっかり伸ばし、心と身体を発達させることが一番の仕事になる。そして、危険(不快)から自分で逃れることができないので、それを適切に守ってくれる存在(親)に知らせることが必要だ。

 本人だけのことを考えればこの2つが大きな仕事なのだけれど、先程も書いたように乳児は一人だけで生きていけない。安全基地を確保しなければならない。親というのは安全基地になる最たる存在だが、最も身近な敵(ネグレクトや虐待とか)にもなりうる。

 だから、子どもは親に「もう、この子のためなら死ねる」って思わせないと自分の身に危険が及ぶ可能性がある。だから大事な仕事。

乳児期の日常生活

 乳児が自力で行う生活というのは、おっぱいを吸うってことだけ。後は全て親の仕事になる。おっぱいを吸うにも抱っこしてもらわないといけなかったりなので、実質自分で生活をするというのは殆ど無い。

 でも、おっぱいを吸えなければ、重大な栄養障害を起こすので重要。

乳児期の遊び

 殆どが感覚遊びだと思う。

 けど、この時期に感覚遊びをするから、運動にも精神にも大きな成長が見られる。

 そして、母親とのコミュニケーション自体が遊びになる。

 因果というか、原因と結果というか、そういうものの礎は母親とのコミュニケーションで築かれる。「いないいないばぁ」とかもそうだよね。

乳児期の休息

 乳児の大半の時間はこの休息によって消費される。それは寝ること。

 外界に放り出されて、まだまだ適応できない乳児はとことん寝る。「寝るのが仕事」なんて言われたりするくらい。でも、仕事じゃなくて睡眠はあくまで休息。

 休息することで、仕事や遊びができるのだ。

乳児期の作業機能障害

 まぁ、ざっくり分類したから、ここから先もざっくりにしか分類できないけど…。

乳児の作業不均衡

 作業不均衡は、作業のバランスの崩れのこと。

 乳児期の作業のバランスというのは大人のそれと違いかなり偏っているのが普通。

 休息に当たる時間が極端に多く、1回の食事時間は短いものの回数は多い。大人の生活リズムなんてお構いなしで独自の生活リズムで生活する。

 起きている時間は自分が安全である確認と不快のお知らせをし、安全が確保されている状態の時にだけ遊ぶ。

 それが乳児のバランスで、これが崩れている状態が作業不均衡だ。

 どんな状況が考えられるかを列挙してみる。

  • 摂食嚥下障がいや消化器の障がいで食事に制限が出る
  • 手足が自由に動かせず感覚遊びに制限が出る
  • 心身の発達制限による成長の制限
  • コミュニケーションの不足・阻害

 子どもは自らの成長しようとする力とそれを助ける親の存在によって作業のバランスが取られている。だから、そのどちらかに問題が生じると作業不均衡が生じると考えられる。

 身体・発達障がいを持つ子どもは、往々にしてこのバランスが崩れ、そのことにより正常な発達プロセスを経験できない。そこに作業療法士が介入し健全な成長・発達を支援する意味が見いだせるかもしれない。生活のバランスを整えることは非常に重要だというわけだ。

乳児の作業剥奪

 作業剥奪とは外的要因によって作業が制約された状態のこと。

 以下列挙してみる。

  • 温度・湿度や騒音などの環境が劣悪なことにより睡眠や健康状態が悪くなる
  • 親が近くにいない(放置されている)・一緒に暮らしていない
  • 虐待を受けている

 ボクも子どもが小さかった時は温度や湿度にすごい敏感だった。騒音も嫌だったので窓が開けられず年中冷房か暖房が付いている状態だったな。これは子どもにとって快適な環境をキープする為だった。

 乳児は自分で目的の作業を遂行することが殆どできないわけだから、成長する為の環境、食事をする環境、身の回りの事をしてもらう環境が揃って初めて作業可能となる。

 入院していて、親と一緒に暮らしていなければ、限られた時間でしか親とコミュニケーションが取れないから食事や遊びが制限されるだろう。

 乳児にとって親が居なければ殆どの作業が剥奪されてしまうのだ。

 乳児の作業はそれだけ親に依存しているということ。

乳児の作業疎外

 作業疎外とは作業に楽しみや重要性を見いだせない状態。

 乳児にとって作業の楽しみとか重要性っていうよりは必要性って感じになるのかなぁと思う。乳児にとっての作業は生きるために必要なことばかりだから。

 また、乳児は感情の分化が進んでいないので、全ての経験を「快」or「不快」に当てはめる。なので、作業を行うことで不快になること、快を得にくいことが作業疎外といえるかも知れない。

  • お母さんが笑顔で遊んでくれない、抱っこしてくれない
  • 両親が不仲、怒っている
  • おっぱいが出にくい
  • ミルクが熱い

 どうしても母親に依存するので、作業剥奪と作業疎外が被る所があるイメージ。

乳児の作業周縁化

 作業周縁化とは、自他の間で作業に対する認識にギャップがあって、自分が選択した作業にしっかり関与できなかったり、適した評価がされない状態。

 これは、ある意味分かりやすいかもしれない。

 母親は鳴き声だけで何を求めているか分かるなんて言われたりするが、父親は分からない?

 え?何?ミルク?ちがう?オムツ?なにーー??もーーー!!わからーーーん!!!

 これは乳児にとって作業周縁化かな。でも、これも外的要因なので作業剥奪と被る所があるイメージ。

乳児期における作業療法

 これら一連の事を考えると、乳児期の作業療法において一番重要なのは両親や周囲の人間と子どものコミュニケーション・関係性を円滑にすることではないか?

 お母さんがお母さんとしての働きを、お父さんがお父さんとしての働きを真っ当してくれないと、子どもは健全に発達できない。作業を遂行できないのだ。

 もちろん、呼吸の事や摂食嚥下能力のことなど、機能面の援助も必要になるケースもあるかもしれないが、いちばん重要なのはペンレンツトレーニングなんじゃないかなぁと思えてくる。

おわりに

 乳児期の作業、作業機能障害を考えると最初に分類したライフステージの分類を親への依存度を項目に入れたのはあながち間違いじゃないことが分かってくる。

 親への依存によって作業を遂行する乳児にとって親の存在、親からの援助が必要不可欠。

 もしその関係性に問題が起こっているとするならば優先的に介入すべきは親子関係だろう。

 だから、ご両親の作業機能障害もしっかり評価し関わる必要がある。

 小児分野では、「親もクライアント」とか「家族全体を見る」と言われるが、子どもだけ見ていても特に乳児期においては親の評価は必要不可欠であるということが分かる。

 この点も踏まえて介入していくことが必要だろう。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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