医療・介護・福祉

自立(介護サービスからの卒業)を目指したリハを強要しても上手くいかないよ

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 介護保険の理念は、介護を必要とする人々の自立である。

 この理念に即したリハビリテーションというのは、介護を必要とする人々の心身機能の回復であり、能力の向上を目指し、地域社会への参加を促進することだ。

 デイケアや訪問リハなどのサービスを卒業させてナンボなのだけど、現状は介護サービス依存症者、リハビリテーション依存症者を量産しているのが現状だろう。

 この事に問題意識を持つのは大切だし、取り組むべき課題である。

 だから、この理想を形にすることは非常に尊い作業だだけど、やり方を間違えれば本末転倒なのだ。

 今回は、リハを卒業してもらうための方法について書きたいと思う。

クライアントは介護保険を理解していない

 これから時代が進むにつれ、介護保険を理解していない利用者はどんどん増えてくると思う。

 今までかけてきた分サービスを受けるのは当然だという意識の人が必然的に増えるからだ。介護保険料の負担が増えれば増えるほどこういう人は増えていく事だろう。

 こういう誤解は、いや誤解というか間違いは、介護保険の無理解から始まっている。

 介護保険は自立できない自分が足りない部分を補ってもらう為のサービスだと思っている。

 間違っていないのだけれど、抜けている。足りない部分を『一時的に』補ってもらうサービスである。

 介護保険を利用してのリハビリテーションは、その他の介護サービスを一時的たらしめる手段だ。

 だから、療法士は卒業を目指すべきなんだけれども、クライアントはそう思っていない。

 リハビリテーションさえも、彼らの余暇活動となっているのだろう。だから、面倒で努力が必要な筋トレや歩行訓練は嫌いな人が多いし、慰安的なマッサージを望む人が多い。

 また違った側面からの問題もある。

 それは機能面に固執するクライアントだ。もっと上手に歩きたい、もっとキレイに歩きたい、もっと楽に歩きたい。これは大事なこと。でもね、それは自費でやって下さいって話。

 あなたは今ある能力を使って自立して下さいって卒業を促していかなければいけない。でも、クライアントはそんな風に思っていない。

 こういう間違った認識をしているクライアントに、「はい、卒業です」なんて言ったらどうだろう。そりゃ、ブチギレだよね。

 また、慰安目的のマッサージを希望しているクライアントに、あなたはこういう「参加」を目指してこういう活動を、こういう能力を獲得しないといけないので、こういうリハビリテーションを提供しますって言ったら「は、何で?」となってしまう。

 それでは上手く行くものも上手くいかない。

まずはクライアントの理解を得る所から

 卒業を目指すのは当然だ。

 だが、その為にはクライアントの間違った理解を変えなければいけない。

 そして、それも変えようとしてもダメ。人に他人を変えることはできない。いや、相当難しい。一次的に変えられたとしてもまたすぐ戻る。

 クライアントが卒業したいと思えるように促す必要があるのだ。

 その為にはまずはクライアントの気持ちを理解するところから始める必要がある。共感し、クライアントからの信頼を勝ち取る必要がある。

 それをやらずに無理矢理やっても、担当変えて下さい…って話になるだろう。そして、他のやる気のないクライアントの言いなりになるセラピストが担当することになる。そんな事になってしまったら意味がない。

 まずは歩み寄り、手を引いて、クライアントが望む形で卒業を目指したいと思わせる能力こそ、特に介護保険領域で働くセラピストに求められる能力ではないだろうか。

おわりに

 こんな事を書くのも、Twitterとかで理解してちゃんが増えているように思ったからだ。

 自分は介護保険の理念に乗っ取り、正当にサービスを提供しようとしているのに分かってもらえない…的なね。

 もちろん、それは大事。でも、やり方がもっと大事。

 押しつけになっても、理解の無いクライアントに分かってもらえるわけがないし、理解のないセラピストにも分かってもらえない。

 どうやったら分かってもらえるか?を必死に考え実践することが重要だと思う。

 何で自分がそんなとこまで!?って思われるかもしれないが、ま、そんな風なことも考えてみてね?

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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