評価と治療

ボバース概念に基づくハンドリングを行う際に必要な知識

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 今日はボバースのCPイントロダクトリー講習会に参加してきた。

 本日のテーマはアテトーゼ型脳性麻痺児の治療。

 その中でも今回は特にハンドリングにおける知見が深まったと思ったのでその内容でシェアしたいと思う。

ハンドリングの目的

 なぜ理学・作業療法士はクライアントに触れるのか?

 例えば、独力で座れないクライアントに補助をして座らせるために触るのか。答えはNOである。

 ボク達は座れないクライアントに対して、座れるようにするために触るのだ。

 ここでは、クライアントに触る(ハンドリングする)目的について書いてみたいと思う。

 ボク達はなぜクライアントを触るのか。一番の目的は感覚入力である。

 では、感覚入力の目的は?

 それは感覚をキャッチする機能が障害されている為に、ただ単に生きているだけではその感覚を得られないクライアントに対してその感覚を強調して入力することが理由である。

 こちらは分かりやすい。入力の閾値に達していない感覚を他動的に・徒手的に入力してあげることだ。触覚刺激を感じにくいクライアントに対してより強調した触覚刺激を入力するなどである。

 そして、もう一つの理由。それは感覚入力に伴う結果を得るためだ。

 例えば、痙直型両麻痺児の場合、股関節の伸展が出にくい(屈筋群の痙性が強い)状態である。

 だから屈筋群の緊張が緩んで、伸筋郡の活動が賦活されれば望ましい機能的な運動が促通できる。そして、その結果は感覚入力に対しする結果として得ることができる。

ハンドリングを行う上で知っておくべきこと

 あなたは明確な目的を持ってクライアントを触っているだろうか。例えば、一つ一つの意味を確認するようなクライアントが居た場合、あなたはその全てに説明可能だろうか。

 恐らく多くのセラピストはNOだ。そして、もしかしたらクライアントに対して害を与えている可能性があるということを考えたことはあるだろうか。これも多くのセラピストは考えたことがないだろう。

 自分が害になっている可能性など信じたくもないかもしれない。

 でも大いにあり得る。

 以下にハンドリングを行う際の具体的ステップについてお伝えしたい。

ハンドリングの具体的ステップ

  1. ハンドリングを行う部位を知る
  2. 求める結果を得るための手段(感覚入力)を知る
  3. 求めた結果を持続化(学習)させる

 ハンドリングを行う上で上で説明したような目的がある。

 そして、その目的を得るため、どの部位をハンドリングすべきか?について知る必要がまずある。

 どれだけ上手に触れる技術があったとしても、どこに触れるべきか分からなければ治療が運任せとなる。

 逆に知識・情報があっても触り方が分からなかったり、触り方が下手くそならこれまた結果は得られない。

 ハンドリングを行うべき部位を知り、適切にハンドリングしたとしよう。しかし、そこで得られた結果を持続させられなければ結果的にクライアントの生活、人生を変えることはできないただの自己満足になるだろう。

どの部位にどのような感覚入力を行うべきか?

 ハンドリングは基本的に筋活動をどうさせたいか?という質問から始まる。

 姿勢・運動障害とは筋肉の機能障害だと定義することが可能だ。病態や状態によっては、彼らの筋肉がどのように障害されているかは違う。

 だが、運動障害は筋肉が正常に働かないことによって起こる。痙性も固縮も。痛みもそうだ。どのような状況でも筋肉の障害は過剰に働いているか過剰に働かないかどちらかに分類される。

 ってことは、ハンドリングにより行うべきは筋肉を活性化させるか休憩させるか?である。

1.興奮の仕組み

 筋肉は関節が正しいアライメントにあり、正しい長さを保つことで正しい働き(収縮)が起こるという仕組みがある。

画像引用元:SMC
画像引用元:SMC

 筋収縮を促したければ筋のアライメント(長さ)を作る必要がある。

 そして、筋が収縮するためには脳からの命令が筋収縮の為の閾値を超える必要がある。麻痺とはその脳からの命令を弱めること。

 筋収縮を促したければ、その筋に対して外部から刺激して収縮を促す必要がある。具体的には触覚、固有感覚などを利用する。もちろん、ハンズオフの刺激もある。視覚や聴覚、あるいは嗅覚なども用いて筋収縮を促すことも可能だ。

2.抑制の仕組み

 抑制における基本的メカニズムは相反神経抑制である。

 相反神経抑制における抑制の種類は以下の3つ。

  • 相反抑制:Ⅰa抑制
  • 反回抑制:レンショウ抑制
  • 自原性抑制:Ⅰb抑制

相反抑制:Ⅰa抑制

画像引用元:Study Channel
画像引用元:Study Channel

 Ⅰa抑制は、主動筋が収縮すると拮抗筋が弛緩する仕組みをいう。

反回抑制:レンショウ抑制

画像引用元:脳卒中リハビリのお勉強部屋
画像引用元:脳卒中リハビリのお勉強部屋

 レンショウ抑制は、スムーズな運動の遂行の為にレンショウ細胞を介して主動筋を抑制、拮抗筋を促通する仕組みである。

自原性抑制:Ⅰb抑制

画像引用元:とある理学療法士による暇つぶしブログ
画像引用元:とある理学療法士による暇つぶしブログ

 Ⅰb抑制は、主動筋の筋収縮に伴いゴルジ腱器官が刺激され、それ以上筋が収縮しないよう抑制の命令を送る仕組みだ。

おわりに

 興奮と抑制の働きをセラピストがコントロールすることにより、クライアントに求める反応を引き出し、機能的な生活に結びつけることができる。

 しかし、この仕組を知らずにセラピストがクライアントを触るというのは危険が伴うということはご理解頂けると思う。

 まずは知識としてこれらの情報を知り、臨床に活かしたいものである。

その他、ボバースコンセプトに関するエントリー

 ボクがボバースコンセプトについて講習会や書籍から学んだことをまとめているので良かったら併せて読んでみてほしい。

ボバース概念まとめ

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