3学会合同呼吸療法認定士

呼吸の異常(呼吸障害)とは何か?呼吸不全について

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 3学会合同呼吸療法認定士の講習を受けてからというもの呼吸について学び直している日々だ。

 そして、呼吸の異常というものをシンプルに理解することに成功したのだ。笑

 まぁ、そんな大したことではないのだが。

 今回は、呼吸の異常についてシンプルな理解をシェアしたいと思う。

呼吸の異常とは?

 呼吸の異常とは、呼吸不全のことである。

 『不全』というと、呼吸停止をイメージしてしまうかもしれないが、呼吸が不完全な状態を意味している。

 もちろん呼吸停止状態も呼吸不全だし、いわゆる正常と言われる呼吸の数値を逸脱する呼吸も不全状態である。

 で、その呼吸不全を定義してみたいと思う。

呼吸不全とは?

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 ボクは呼吸不全というものを上の図のように分けている。(※これは教科書的な内容ではない。ボクが理解しやすいように解釈している内容である。)

 いわゆる教科書的な呼吸不全が医学的呼吸不全で、広義の呼吸不全とは呼吸機能の不完全状態を意味している。

 つまり医学的呼吸不全とは、呼吸機能の不全状態の一部を表わしている内容だとボクは考えている。

呼吸不全の分類

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 この図の全体像、つまり低酸素症を引き起こすのが呼吸不全である。

 呼吸不全が起こる原因は身体が酸素を必要とする量が通常以上に大きくなる状況と、必要とする量を運搬できていない状況である。

 酸素必要量が増えるというのは敗血症や甲状腺機能亢進症が考えられ、運搬障害は動脈血酸素含有量が減る状況か、心拍出量の減少かどちらかが考えられる。

 そして、その中でも図のブルーで示した状態が医学的呼吸不全で以下のように定義されている。

  • 動脈血酸素分圧60mmHg以下(※血中酸素飽和度が90%以下に相当)

 その中でも動脈血二酸化炭素分圧によって分類される。

  • Ⅰ型:正常35mmHg≦SaCO2≦45mmHg
  • Ⅱ型:高動脈血二酸化炭素分圧d>45mmHg

医学的呼吸不全について

kokyuhuzen

 医学的呼吸不全の定義は上で解説した通りである。

 そしてその呼吸不全は急性呼吸不全と慢性呼吸不全に分類できることを上図では説明している。

 何らかの原因によって、呼吸不全の定義に当てはまる症状が発症すれば急性呼吸不全で、その症状が1ヵ月以上継続すれば慢性呼吸不全である。

 呼吸不全の原因は大きく以下の2つに分けられる。

  1. ガス交換障害
  2. 肺胞不換気

 ガス交換障害は、拡散障害と換気血流不均衡に分類され、Ⅰ型呼吸不全の原因となり、肺胞不換気はⅡ型呼吸不全の原因となる。

拡散障害について

 肺胞に届いた吸気(酸素)がガス交換にて赤血球に届く過程を拡散というが、その拡散過程において何らかの障害が起こることをいう。

 原因としては、肺胞膜の肥厚・障害(間質性肺炎、放射線肺臓炎、薬剤性肺臓炎、肺胞面積の減少(広範な無気肺、肺切除、COPD)、肺毛細血管血液量の減少(多発性肺塞栓症、肺門部腫瘍による肺動脈の狭窄・閉塞)、血液のHb濃度の低下(貧血)などが考えられる。

換気血流不均衡について

 肺胞にて動脈血とのガス交換が行われる。吸気によって運ばれた酸素と肺動脈からの毛細血管に運ばれる二酸化炭素の交換だが、このバランスを上手く保つためには運ばれる酸素の量と、その酸素を運ぶヘモグロビンの量のバランスが取れている必要がある。

 このバランスが取れていない状況を換気血流不均衡と呼ばれ、その原因は以下の2つが挙げられる。

  1. シャント
  2. 死腔

 シャントとは、右左シャントの事で、右心室から拍出された血流が肺胞気に接触せず、酸素化されずに左心系に流入する状態をいう。

 シャントが起こる原因としては、肺内血管シャント(肺動静脈瘻、肺血管腫)、心内右左シャント、肺胞内の充満(無気肺、肺炎)、肺胞の虚脱(無気肺)、肺内毛細血管の拡張(肝肺症候群)などがある。

 死腔とは、気道にある空気の中でガス交換に使われない分を指す。シャントもそうだが、もちろん死腔は健常者にも存在するが、その死腔の量が多すぎることで問題が発生する。

 死腔には肺胞死腔と解剖学的死腔、生理的死腔に分類され、肺胞死腔はその名の通り、肺胞にある空気の中でガス交換されない空気を良い、解剖学的死腔は肺胞までの部分の死腔を指す。生理学的死腔は「肺胞死腔+解剖学的死腔」で人体の死腔総量を指す。

肺胞不換気について

 十分なガス交換が行えるだけの換気量が得られていない状態である。

 呼吸は呼吸中枢の制御により呼気と吸気が行われており、主に横隔膜と肋間筋の働きにより酸素を取り込み、二酸化炭素を排出している。

 その過程において必要酸素量を運搬できず、十分量ガス交換できていない状態である。

 原因としては中枢からの換気ドライブの減少(ベンゾジアゼピン系薬などの抗不安薬やモルヒネなどの麻薬性鎮痛薬による呼吸中枢の抑制、呼吸中枢に影響する脳血管障害など)、神経筋疾患(重症筋無力症など)、肺・胸郭の異常(慢性的な肺疾患、肥満、脊柱側弯症など)などが考えられる。

おわりに

 呼吸不全とは、実はこういう単純な仕組みである。けど、色々用語や数字が難しくて騙されちゃうんだよね。

 でも、基本的なことを理解してしまえば、後は簡単。数学と一緒だね。

 今回の内容は呼吸不全という大きな枠組についてシンプルにまとめてみた。もちろん、もっと詳細も知っておかないといけないけど、それらは各教科書で理解すれば宜しいかと。

 特に理学・作業療法士にオススメなのは以下の書籍かな。

 まだ読んでいる途中だけど、最新のエビデンスも紹介されていて、読みやすいと思うよ。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

追伸…3学会合同呼吸療法認定士の受講志望者、受験準備中の方は必見

 3学会合同呼吸療法認定士を受けようと思った人がまず読むべきエントリーとして、関連記事をまとめているので良かったら併せて読んでみて欲しい。

参考エントリー:3学会合同呼吸療法認定士の「申込,講習会,試験」関連まとめ

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