事例報告

変形性膝関節症者への歩行時の痛みに対する治療の一例

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 ボクは今まで整形疾患(をメインの病態である)クライアントを担当したことがなかった。

 だが、先日受講した研修にて変形性膝関節症の方を担当させて頂く機会を得た。

 初めての機会で戸惑うことも多々あったが、少しでも楽に歩いて頂けるように全力を尽くした記録をシェアしようと思う。

症例紹介

 69歳、女性。主婦だが、多趣味で毎日のように出歩かれる。

 右変形性膝関節症、左変形性足関節症・偏平足。X線写真などはないので詳細は不明だが、おそらく右の足関節の方が変形が進行している様子。

 主訴は長時間の歩行時、階段昇降時の左膝の痛みで、ほぼ毎日利用する階段(特に後段時)の痛みが減ることで本症例の生活にかかるストレスの軽減が測れるのではないかと考えた。

問題点

 今回は左膝に痛みが出る原因となる問題点を抽出した。

 すると以下のような問題が挙げられる。

  • 左膝関節の構造的問題
  • 右立脚層の不安定性
  • 左のInitialContactのクッション性低下

 現状静止時の痛みは無く、階段昇降や長時間の歩行時にのみ痛みが現れている事から左InitialContact時の衝撃の加重が痛みを引き起こし、強めていると考えた。

 そのため右の立脚期の安定性を図ろうとしたが、右にも問題(変形性足関節症)があるため、どこから改善を求めようか悩んだが、右の変形を進めないという目的も含めて右立脚期の安定を主目標として取り組んだ。

評価

 右立脚期の安定性を図るため、右拇趾球への荷重の程度を測定。また、階段降段時の痛みをVASにて評価した。

 開始時、荷重は4.05kg、VASは10段階中、8程度。

 また、階段降段の様子をスマートフォンにて動画撮影し、治療前後、治療開始前と終了時の歩様を観察した。

治療計画

 治療は連続した4日間で、可能な限り改善を図れるよう取り組んだ。

 主な治療は主に3つ。

  1. 足底筋の使い方の学習
  2. 立脚時の中殿筋の収縮を促通
  3. 歩行・階段降段動作を利用した1.2.のコンビネーショントレーニング

治療の実際

 まず足底に対してアーチを作るようにアプローチ。

 変形で崩れている足関節のアライメントを整えた上で足底の運動方向をパッシブにて指導。その後アシスティブからアクティブへと切り替えていく。

 具体的な内容に関しては以下のエントリーを参考に行っているので、合わせて読んでみてほしい。

参考エントリー:理学・作業療法士が足底に対して治療を行う理由と手法

 次に立脚層の安定性に対するアプローチ。

 歩行時の特にLoadingResponseに焦点を当てた安定性の増加を促した。その理由や方法は別のエントリーを参考にしている。

参考エントリー:歩行の立脚期(LoadingResponse)における中殿筋の働きと治療

 階段後段時の立脚層と歩行の立脚後期の運動が類似しているため、立脚後期に焦点を当てた治療も実施。

参考エントリー:Downstair(階段降段) と歩行の立脚後期の類似性と治療

 これらのアプローチをhooklying→Sitting→standing→Stairと課題を段階づけて実施した。

結果

 以下、最終日の結果である。

  • 拇趾球への荷重:5.2kg
  • 降段後の痛み(VAS):3~4
  • 歩様(動画比較):左右へのブレが減り安定して降段できるようになっている

課題

 治療により立脚期の安定性が得られる可能性が示唆されているものの、右足底のアライメント不良や偏平足が改善しているわけではないので、治療と日常生活のイタチごっことなってしまっている。

 現状もインソールなどで足底のアーチ形成をさせているが、十分ではない。

 今後、日常での間違った学習を減らし、治療効果を持続化させるためには、靴の作り変え、足関節までサポートできるタイプへの変更も検討する必要があると考えられる。

おわりに

 ちょっと新しい試みで『事例報告』風の内容を作ってみた。

 理学療法士ブロガーのたなはら氏が運営されている『理学療法士の勉強部屋』では更に突っ込んだ症例検討方式の内容を展開されているが、ボクは批評・指導するような知識はないので、自分の実践を紹介するに止めようと思っている。

 10月以降は小児の実践と整体院での実践に対してぼちぼち増やしていこうと思っているので乞うご期待。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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