評価と治療

Downstair(階段降段) と歩行の立脚後期の類似性と治療

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 特に整形のクライアントにおいては階段昇降が問題になることが多いんじゃないかなと思う。

 階段は特に降段が難しい。歩行と比較して特に立脚に大きな負担がかかる。

 筋力が歩行以上に必要なタイミングと、反対にスッと力を抜いて重心移動するタイミングもある。またその為にInitialContact時の衝撃は大きくなり下肢への負担が大きくなり痛みの原因となったりする。

 また、通常の歩行パターンとも異なり、筋収縮のタイミングも違う。

 階段昇降、特に降段動作にアプローチするには、降段動作の分析を詳細にすることが必要になる。

 ただ、その階段動作の立脚層というのは、歩行におけるTerminal Stance(立脚後期)と似ていて、アプローチを重複させることが可能な場合があると思うので紹介したいと思う。

後段時の立脚層

 まずは後段時の立脚層について見てみよう。

画像引用元:astamuse
画像引用元:astamuse

 この降段動作を分析したいと思う。便宜上歩行の周期に合わせて解説しようと思う。

  • InitialContact:前足部で接地。その直後に踵を接地。
  • LoadingResponse:膝を軽く屈曲させ、前足部へ重心を移す。
  • MidStance:膝を伸展させ反対側下肢が前方へ移動。
  • TerminalStance:足部を底屈させながら膝を屈曲し、最終的に脱力する

 この中で一番難しいのは、当然ながら立脚後期。足底が完全接地している状況から底屈していくということはつまり、支持基底面が狭くなっていくのだ。

 且つ、重心を下げるためにかかる遠心性収縮は歩行のものと比べるとかなり大きくなる。

 膝や股関節の病変を持つ方には肥満傾向の方が多いため特にその負担が大きくなってしまうのだ。

歩行の立脚後期

 では、歩行の立脚後期は?

 歩行の立脚後期も徐々に底屈していくので、支持基底面が狭くなっていく。狭くなっていく過程において反対側のInitialContactに備えるわけだけど、歩行の場合は階段と違いほとんど筋活動が起こらないのが特徴だ。

 また立脚後期は自動的に起こっている面が大きく、コントロールが必要な降段動作とは違う。

 肢位が似ているということがポイントだ。

降段動作へのアプローチ

 基本は歩行動作へのアプローチと一緒だ。

参考エントリー:歩行の立脚期(LoadingResponse)における中殿筋の働きと治療

 この参考記事はLoadingResponseに焦点化しているわけだけど、どのポジションで行うにしても常にTerminalStanceの肢位を意識し、TerminalStanceに必要な筋活動を促通する課題を提供しなければならない。

 更に後段動作に関してはそこから膝を遠心的に屈曲していくという動作が加わる。

 また、歩行と同じようにその間常に中殿筋が働いている必要がある。中殿筋を働かせながら、その運動を行うということの学習を促す。

 そのことを理解した上で降段へのアプローチを考えなければならない。

 以下に降段へのアプローチアイデアを掲示する。

1.まずは平坦な所から

 グレーディングという観点から、降段動作へ介入する時は、まず平坦な場所で歩行から始める。

 歩行の立脚後期と降段の立脚後期がリンクする所を考え、立脚後期へのアプローチから始めれば、それがそのまま降段動作の初歩アプローチとなるだろう。

 もちろん、その為には立脚側で片脚立位ができなければならない。開始肢位が片脚立位姿勢だからだ。

 この開始肢位が難しい場合、まずは臥位や坐位でやらなければならないし、あるいは立脚後期へのアプローチの前にMidStanceやLoadingResponseの練習から始めなければならないかもしれない。

2.小さな段差から

 通常の階段は約30cmほどの高さがあるが。まずは1cmから初めてみよう。

 そのことにより、最終的に膝を屈曲させる角度が少なくて済む。つまり、その為に必要な遠心性収縮が少なくて済む。それができれば次に3cm、5cm、10cmと拡大していくと良いだろう。

3.まずは立脚後期の練習を徹底的に行う

 階段動作も歩行と同様で自動運動的要素がある。

 立脚側のTerminalStanceで膝の遠心性収縮が抜ける時、同時に遊脚側がTerminalSwingからInitialContactという流れとなっている。

 だが、まずは立脚後期の要素を徹底的に練習するほうが良い。

 それは運動学習を促進させる要素だし、膝の遠心性収縮がタイミングよく抜けるというのは、階段の自動運動が開始されるポイントになると考えられるからだ。

おわりに

 階段動作はボク自身あまりアプローチする機会が無かったんだけど、知れば知るほど奥が深くてめっちゃオモロイんよね。

 障がいを持つと自然と1階での生活が主流になるし、2階に洗濯物を干しに行ってるなんて言えば全力で止める関係者も居るよね。

 それだけリスクの高い活動ではあるが、ボク達の生活と階段は切っても切れない関係にある。

 公共施設や商業施設などはバリアフリー化が進んでいるが、自宅にエレベーターがついているのはレアケース。いや、田舎ではバリアフリーされていない地域も沢山あるなぁ。

 電車の段差やバスの段差。トイレが和式だけだったり、階段しかなかったり。

 この文化で生きていく限りボク達は階段昇降できるにこしたことはない。

 もちろん、階段に焦点化できるレベルに達していないクライアントの方が多いかもしれないけど、是非とも知っておいてもらいたい内容だ。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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