評価と治療

歩行の立脚期(LoadingResponse)における中殿筋の働きと治療

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 さて、本日は珍しく歩行について書こうと思う。

 歩行といえば理学療法士、だから作業療法士は歩行見れません、歩行の治療なんてやりませんってバカもいる。

 だけど、ボクは作業療法士は絶対歩行を知らないといけないし、理学療法士並に治療できないといけないと思っている。

 その理由の一つは歩行における上肢の影響が忘れられがちだからということ。これは別のエントリーで書いているから参考にしてみて欲しい。

参考エントリー:理学・作業療法士の歩行評価における忘れがちな2つの着眼点

 さて、もう一つ。『歩行』とは移動であり、移動とは『操作』なのだ。

 例えば車での移動と考えれば移動が操作だということは分かりやすい。だから運転のリハビリテーションなんていうものも存在している。

 まだまだ人気が下火にならない『ポケモンGO』も操作だ。そして、ポケモンGOを楽しむためには歩行が伴うし、歩行が重要である。もちろん指先をいい具合に動かす能力も重要であるが歩行中にそれができないといけない。

 だから、治療環境は歩行しながらのスマホ操作ということになる。あ、歩きスマホはダメやよ?例えばの話ね?

 さておき、やはり作業療法士も歩行について学ぶべきだし、歩行にアプローチしなければいけない。

 その中でもとりわけ立脚期、特にLoadingResponse時の中殿筋の働きは極めて重要であるため、今回はトピックとして取り上げた次第だ。

立脚期が重要な理由

 まず、歩行の問題点を抽出する際、何が一番問題か?について考えることになるだろう。これは歩行に限ったことではない。

 で、立脚期の問題が大きいか?遊脚期の問題が大きいか?で考えていくわけだけど、歩行の一番の問題点をどこに置くか?が大事になる。

 歩行を行う際、何が一番の問題点となってくるか。ボク達が一番重要視すべきは『リスク管理』である。

 歩行における一番のリスクは『転倒』だろう。

 立脚の問題と遊脚の問題を比べた時に、どちらが転倒のリスクが高いか?

 もちろん、個々の能力の問題なども考えられるが、多くの場合立脚に問題があるだろう。

 遊脚でも例えばつま先が引っかかるとか転倒のリスクは存在しているが、立脚の問題の方が多いし、立脚の問題で起こる転倒はより転倒時の怪我が重篤となりやすい。(片麻痺なら麻痺側から転倒しやすいから)

Loading Responseに焦点化する理由

 これも別にLoading Responseからアプローチすべきってわけではない。個々の状況に合わせて、立脚の中のどのフェーズにフィーチャーするかを決めていく必要がある。

 しかし、歩行を見る際問題となるフェーズの一つ前のフェーズに注目する必要がある。で立脚期において転倒のリスクが高まるのはLoading ResponseからMid Stanceなわけだから、Loading Responseに注目するのがセオリーってところだろう。

 また、治療において一つのフェーズに着目すると、その前のフェーズとその次のフェーズは治療過程に取り入れやすい。これは多くの人に理解できることであろうと思う。

 Loading ResponseにフィーチャーすることでInitial ContactからMid Stanceに対してアプローチすることができるのだ。

立脚で重要な筋活動

 立脚で重要な筋活動は中殿筋の活動である。

chudenkin

 これが中殿筋。大殿筋が見えにくいから、取り除いてみる。

chudenkin2

 意外とでかい筋肉であることがわかるだろう。

 中殿筋は主に外転に働く筋である。歩行時に下肢が外転に動くわけではない、足底が接地しているからクローズの状態で筋活動が起こる。つまり、遠心性の収縮が起こっていることになる。

 この筋収縮が立脚を成り立たせているのだ。

 また、中殿筋は外転以外にも伸展や外旋にも働く。それらを同時に立脚に活かしているのである。

LoadingResponse時の中殿筋へのアプローチ

 治療を行う際、個々の能力に応じて肢位を変えることになるが、どのような肢位においてもLoadingResponseの肢位を意識して行われるべきである。

 下の図を見てほしい。

画像引用元:studyblue
画像引用元:studyblue

 Initial contact(踵接地)から前足部へ重心を移動させていく過程がLoading Responseであるが、立脚速を前に出し、足関節背屈位から前頚骨筋の遠心性の収縮を利用し足底を接地していく過程だ。

 すべての肢位において、このLoading Responseの形を意識するようにすべきである。

 さてその次に、どの肢位においても、どの活動にしても中殿筋の遠心性収縮を意識すべきである。例えば側臥位でLoading Responseの肢位を作るのであれば、足部を接地させるべきである。

 ま、その2つさえ意識しておけば中殿筋へのアプローチは達成である。

 どのような肢位でも、どのようなタイミングでもLoading Responseを練習できることになる。後は収縮種類を間違わない課題設定をするだけである。

 これを継続することで加重され、運動学習が促進される。

おわりに

 歩行はすべてのベースにある作業である。

 作業療法士が見れないなんてありえない。だけど、多くの作業療法士が歩行を見れない。

 歩行が見れないから、歩行に対してアプローチできない。歩行に対してアプローチできないというのは、立位以上のレベルを持つクライアントに対して作業療法できないということだ。

 こりゃ、使い物にならんよね。

 すべての作業療法士が歩行に対してアプローチできるお手伝いができればと思う。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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