特別支援教育

重度脳性まひ児の呼吸障害分類と呼吸理学療法の必要性

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 来週末に三学会合同呼吸療法認定士の講習に出かけるに当たり復習の意味も兼ねて、重度脳性まひ児の呼吸障害について勉強していた。

 すると、やっぱ呼吸リハって大事だよなぁと思う事実を痛感したので紹介したい。

 尚、呼吸リハビリテーションの実際については別エントリーで紹介しているので合わせて読んでもらえたら幸いだ。

参考エントリー:重度脳性まひ児の呼吸障害と呼吸リハビリテーション

重度脳性まひ児の呼吸障害の分類

 まずは重度脳性まひ児の呼吸障害といっても一種類ではない。

 どのように分類されているかというと以下の表などが一般的だろう。

引用元:重度脳性麻痺児の呼吸障害の対策と経過の検討
引用元:重度脳性麻痺児の呼吸障害の対策と経過の検討

 しかし、この表からは呼吸リハビリテーションが何故必要で、どのような事が求められているかは分からないし、評価の仕方も分からない。

 なので、ここが理学・作業療法士が呼吸障害を持つ脳性まひ児と関わる上で行うべき評価と治療が一目で分かる分類をしてみたいと思う。以下、順を追って解説する。

1.呼吸障害の有無を確認する

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 まずは呼吸障害の有無を確認する必要があるのだけど、以下のどれか1つでも当てはまれば呼吸障害があると言えるだろう。

  1. 喘鳴の有無(聴診:ゼーゼー言っていないか?)
  2. 分泌物の貯留はないか(聴診:ゴロゴロ言っていないか?)
  3. SPO2は正常か?(パルスオキシメーターーのチェック)

 これでまず呼吸障害の有無が確認できる。

2.呼吸障害の原因を追求する

 次に必要な評価は呼吸障害の原因である。

 以下に、それぞれの原因を考えてみる。

1.喘鳴がある場合

 喘鳴がある場合、どのような事が考えられるだろうか。まず喘鳴には大きく分けて2種類ある。それは「呼気時」か「吸気時」の判断だ。呼気時にゼーゼーいっているのと吸気時にいっているのとでは原因が変わってくるのである。

 そして、これら2つが更に2つに分類される。それは「覚醒時」か「睡眠時」か?の判断である。

 例えば睡眠時無呼吸症候群は睡眠時の病態だ。この喘鳴は覚醒時にひどくなるのか、睡眠時にひどくなるのか?は原因究明の為の要素となる。

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 こんな感じに分けられるね。もちろん、これに加えて睡眠時も覚醒時にもどちらでも発生するものもある。例えば吸気時且つ睡眠時に起こる呼吸障害の原因病態は舌根沈下だったり、アデノイド、扁桃腺などが原因になる。

 以下の表はそれらを一覧にしたものだ。

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 さて、ここまで分類すれば後は治療法を含めて分類してみたいと思う。

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 ボク達ができることはたかだか姿勢管理やリラクゼーションであるが、それは多くの喘鳴の原因に対してアプローチできる。もちろん、根治目的のアプローチではないが、特に重度脳性まひ児に対しては彼らのQOLを長く保つという意味合いにおいては非常に重要な役割を担うことになるだろう。

2.分泌物の貯留がある場合

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 そもそも分泌物は何故貯まるのか。原因は2つに分けられる。「嚥下障害」と「喀痰障害」である。

 飲み込めない(下手くそ)なので貯まるのと、咳ができない(外に出せない)から貯まるという意味だ。

 嚥下障害に関しては、そもそも「嚥下反射」が出ていなかったり、口腔期までの問題で上手く食塊形成できなかったり、姿勢や筋緊張の問題だったり原因は多岐に渡る。

 一つ言えることは、ボク達できることはやはり姿勢管理やリラクゼーションになってくるということである。

 喀痰障害にもいくつかの原因がある。そして、それを知るには、まずは咳がどのような要素で、どのようなプロセスで起こっているかを知っている必要がある。

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 以下、このプロセスごとにそれら能力が低下する原因を列挙する。

  1. 咳の誘発:反射の低下
  2. 沢山吸う:変形や拘縮
  3. 息を止める:喉頭機能低下、気管切開
  4. 一気に吐く:腹筋の低下

 これら原因を見ても、姿勢管理やリラクゼーションに加え排痰エクササイズが重要である理由が見えてくるだろう。

3.SPO2の低下がある場合

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 SPO2が低下する原因は2つ。「換気量の低下」と「ガス交換の低下」である。

 重度脳性まひ児の場合、以下の3つがこれらの原因となる。

  1. 喘鳴がある。
  2. 分泌物の貯留がある。
  3. 過度に筋緊張が更新している。

 これらを考えても姿勢管理やリラクゼーションの重要性が見えてくるだろう。

おわりに

 特に作業療法士が脳性まひ児の呼吸に対してアプローチするのは、理学療法的だとか、専門性が発揮されてないとか言われたり思われたりすることがあるかもしれない。

 だが、このように重度脳性まひ児抱える呼吸障害の問題を詳細に分類すれば、自分たちの専門性を活かしたアプローチというのが見えてくる。

 まず呼吸障害を分類し、自分はこの子どものどこに対してアプローチするかを明確にすることが重要だが、今回のエントリーはそのお手伝いができるものとなっている。

 是非とも呼吸について詳細に評価し治療に活かしてほしいと思う。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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