特別支援教育

子どもの権利条約から小児リハビリテーションを考えてみる

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 先日、看護師さん向けの小児訪問看護の研修を受けてきた。

 看護師さんの仕事や、リハと連携すべき点など、リハの研修にはない別の視点が勉強になってよかった。

 んで、小児リハビリテーションの目的を改めて見つめ直す機会を得たので紹介したいと思う。

リハビリテーションの目的

 まずは以下のエントリーを読んでみて欲しい。

参考エントリー:リハビリテーションの目的とは何か?を考えながら作業療法すると分かりやすい件

 リハビリテーションの目的とは、再び権利を獲得することであり、その権利とは憲法や法律で認められた日本人の権利であるとお伝えした。

 で、子どもの場合はその権利が生まれながらにして剥奪されている状況にあり、大きな問題となっている。

 子どもの場合、生まれながらにして権利を剥奪されているわけであり、リハビリテーションではなくハビリテーションだと言われたりもする。

 ボク達リハビリテーション職種がする仕事とは、子ども達が権利を獲得する為の支援であり、権利を守ることである。

子どもたちが有する権利とは?

 子どもの権利を語る上で、子どもの権利条約を外して語れない。

 子どもの権利条約とは、1989年国連総会で採択され、日本においては1994年に批准されたものである。子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約で、子どもには自らの幸福を追求する権利あり、一人の独立した人格として尊重される権利があるとしている。

 全文と54条の条文からなり、子どもの生存、発達、保護、参加という包括的な権利を実現・確保するために必要となる具体的な事項を規定しているものである。

子どもの権利条約の4つの柱

kenrijoyaku

 子どもの権利条約では、子どもの基本的人権を以下の4つの柱に分類される。

  1. 生きる権利
  2. 育つ権利
  3. 守られる権利
  4. 参加する権利

 特に重度の障がいを持つ子ども達は、この全てに危機があり、ボク達はその全ての危機を取り除く為のサポートをしなければならないのだ。

子どもの権利条約で規程される子どもの権利を守るリハビリテーションとは?

 では、具体的に小児リハビリテーションとはどのようなものだろうか?

 4つの柱ごとに解説したいと思う。

1.生きる権利

 「子ども達は健康に生まれ、安全な水や栄養を得て、健やかに成長する権利を持っている」というのが、子どもの生きる権利である。

 障がいを持った子ども達は、残念ながらこの健康に生まれ…ということを達成することができなかった。日本において安全な水や充分な栄養を得る環境は整っているが、障がいを持つ子ども達はそれを受け入れる態勢が整っていない場合が多い。

 また、呼吸の問題、消化器系の問題などで健やかに成長する事を阻害されている。

 特にボク達が子どもの生きる権利を獲得する為にできることは、生理機能面へのアプローチである。より食べやすいように、より呼吸しやすいように、姿勢や運動への介入から子ども達の呼吸機能や嚥下機能に影響を与える事ができるだろう。

2.育つ権利

 「子ども達は教育を受ける権利を持っている。また、休んだり遊んだりする事、様々な情報を自分の考えや信じることが守られることも、自分らしく成長する為に重要である」というのが育つ権利である。

 これはインクルーシブ教育というのが、それを表した内容であろう。

 インクルーシブ教育を実践することが育つ権利を担保する事に繋がるとボクは考えている。

3.守られる権利

 「子どもたちは、あらゆる種類の差別や虐待、搾取から守らなければならない。紛争化の子ども、障がいを持つ子ども、少数民族の子どもなどは特別に守られる権利を持っている」というのが守られる権利である。

 例えば大阪市では「乳幼児医療助成制度」で一回の病院の診察が500円、一月最大1500円というという助成制度がある。子どもを守るという制度で好ましいのであるが、残念ながらこの制度は訪問看護を対象としていない。

 これは大阪市の乳幼児医療助成制度は子どもの守られる権利を無視しているとしか思えない。ま、小児慢性特定疾患研究事業で賄われるから良いんだけどね。

 こんな社会資源の面でもそうだし、差別に関する法律は出来たけど大事なのは啓蒙だよね。ボク達個人個人もそうだけど、協会や国家のレベルで取り組むべき仕事だと思う。

4.参加する権利

 「子どもたちは自分に関係のある事柄について自由に意見したり、グループを作ったり活動することができる。その時は家族や地域社会のいち員としてルールを守って行動する義務がある」というのが参加する権利である。

 日本の自由権だったりとかとも被る内容が書かれているが、リハビリテーションの最大の目標は参加で、参加とは役割を真っ当することだったり、欲求を満たすことと言えるから(※参考エントリー:理学・作業療法士は参加を目標にして機能面へもアプローチすべし)、子ども達に対しても同じで彼らの欲求を赴く方向を共に見て支えることだったり、子としての最大の役割は親を親たらしめる事であるとボクは考えているから、親に親としての認識させるための支援を行うことが子どもにとっての参加へのアプローチである。

参考エントリー:

おわりに

 リハビリテーションを行う上で、目的を明確にしておくことは重要である。

 自分たちは何のために彼らの支援をするのか?

 それが小児の場合だったら生まれながらにして失ってしまっている権利の獲得(ハビリテーション)であり、その獲得すべき権利とは子どもの権利条約を知ると見えてくるものがある。

 そして、この子どもの権利条約を読み解くことで、小児リハビリテーションの目的が明確になる。

 目的が明確であれば、その他個別の目標や、手法にブレが出ることはない。悩みは目的が不明確だから起こる。

 ボク達はこのような目的のもとにリハビリテーションに関わっていく必要があるだろう。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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