評価と治療

理学・作業療法士が評価・治療すべき「環境因子」について

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 新しく購入したMacBookAirが昨日届きまして、データの移行やらなんやらやってたら日が暮れてしまった本日。

 何だか不毛な時間を過ごしてしまった。

 さて、本日は『環境因子』について書きたいと思う。

 ICFでも環境因子の関与が言及されているし、運動制御理論も環境因子の関連について言及している。また、作業療法士ならご存知の人間作業モデルに関しても環境因子の重要性について説いている。

 しかしながら、臨床の場面において環境因子について深く評価・治療がなされているか?と問われれば疑問である。

 ってことで、今回は環境因子の評価と治療について書いてみたいと思う。

環境因子とは?

 そもそも環境因子とは何か?

 ボクはこれを『自分以外』とシンプルに定義している。

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 運動制御理論では、この図のように「個人」「課題」「環境」と分類しているが、課題とは「個人」と「環境」の相互作用であり、行為なので質が違うものだとボクは捉えている。

 その自分以外の全てである環境を評価しろってんだから大変だ。雲をつかむような話で、それを評価・治療しろっても難しいのは当然である。

 だから、この環境を分類する必要があるだろう。

環境因子の分類

 ってことで、環境因子の分類を紹介する。ICFでは環境因子を以下のように分類している。

生産品と用具 物的環境(生活用具や補助道具。生活用品や自転車・自動車、車いすなど道具全般)
自然環境と人間がもたらした環境変化 道具以外の物的環境(気候や天候、天変地異や火事なども含まれる)
支持と関係 人的環境(家族や親族、友人、職場の同僚・上司・部下、その他関係のある人だけでなく、すれ違う人なども含まれる)
態度 人的環境(他者の個人的な態度だけでなく、社会的な態度も含まれる。例えば、障害者に対する社会の目など。)
サービス・制度・政策 社会的環境(憲法、法律、条例や、その他によって定められたリソース)

 少し分類がおおまかなので、まだまだ難しいかもしれないが、ここに「課題」を照らしあわせてみると評価・治療すべき項目が見えてくるかもしれない。

 例えば、脳卒中後片麻痺の人の入浴という課題を遂行する為に評価すべき環境は?

 浴室や浴槽の状況やシャワーチェアーなどの福祉機器、浴室までの移動の経路、廊下の環境、手すりの有無などなど。

 福祉機器を導入したり、介助を依頼するならそのお金の出処や利用できるサービスも環境であれば、家族の協力態勢やサービス担当者との関係性も環境因子である。

 今、思いつく限りざっくり挙げてみたが、もっと詳細にリストアップして評価すると、クライアントを取り巻く環境が見えてくるかもしれない。

環境への介入

 では、この環境因子に対しどのように治療的介入を行えば良いだろうか。

 この問題に対して取り組む時「アフォーダンス理論」を参考にすれば良いとボクは考えている。

 アフォーダンス理論においてヒトの行動は環境からの情報を受け取ることによって起こると考えられている。

 だから、浴槽をまたぐという動作は、浴槽からの情報、床からの情報、その他色んな環境からの情報によって可能となる。

 もちろん、運動制御理論から考えると、環境だけでなく、個人因子や課題の難易度にも左右されるが、環境への介入を通じて治療を行おうとするならば、それはクライアントに行動を起こさせる(クライアントの行動を促すような情報を発する)環境設定を行うことだろう。

 例えば、通常の浴槽では「またぐ」という情報を発しない浴槽に対してもトランスファーボードを置くだけで「座りながらまたぐ」という情報を与えてくれるかもしれない。

 滑りそうな浴室だと歩けなくても、滑り止めマットを引けば「滑らずに歩ける」という情報を与えてくれるかもしれない。

 個人因子や課題の難易度と同時にこのような環境設定をすることも治療である。

 多くの療法士もこのような環境整備を行っているだろうが、目的が「介助」になっていることが多いと思う。

 取り敢えず目的を遂行できる環境設定とでも言うか、そこに治療的意味合いや根拠がないことが多いのではないだろうか。

 環境設定も立派な治療手段であるといことを理学・作業療法士は知っておかなければならない。

おわりに

 こういう環境設定の治療的活用に関するっていう論文とか本ってないんじゃないかなぁ。誰かあったら教えて?

 論文がないということはエビデンスが無いわけだから根拠がある状況でのアプローチは現段階では難しい。だが、エビデンスを作っていく必要はあるだろう。

 その為には定量化可能な評価と介入が必要だ。

 まずは環境評価の標準化をやらないとダメだね。誰かやってくれないかな…。

 ボクは小児領域でのこの部分を考えていきたいと思う。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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