特別支援教育

未就学発達障がい児にとっての「参加」と介入方法

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 発達障がい児にとって「参加」とは何か?を考える時、各子どもの欲求に目を向ける必要があり、より重度な子どもほど生理的な部分への欲求が強くなることは別のエントリーで解説した通りだ。

参考エントリー:小児(未就学児)の理学・作業療法おける活動と参加について

 また別のエントリーでは、参加は「役割」のあることだと述べた。

参考エントリー:作業療法学生が評価すべき「活動」と「参加」のこと

 前者は子どもの場合役割ってものが基本的にないから欲求に目を向けろって内容だった。

 もちろん子ども自身の事を考える場合その考えで間違いじゃないとは思うが、小児リハの対象は子どもだけではなく親、特に母親への介入ってのが大事になる。それを踏まえると子どもには生まれた時から役割があるなぁと感じたのでその内容をシェアしたいと思う。

子ども(特に未就学児童)にとっての役割とは?

 子どものリハに関わる場合(特に重度の場合)、子ども自身の役割に目を向けるケースは少ないかもしれない。学校などへ行きだすと学校へ行く事自体が役割となって「参加」となるが、それまではあまり無い。

 だから、欲求に目を向けるべきというのは前出のエントリーにある通り。

 だが、両親への介入ってのを考えた時に子どもには生まれた瞬間から大きな役割が存在していることに気がついた。

 それは、『親を親たらしめる事』である。

 特に母親はその身に生命を宿した瞬間から母親になる。それは母性というのか、何なのか多くの父親が子どもが喋れるようになってから初めて父親を実感するなんていうアンケート結果を見たことがあるが、父親が父親である実感を持つことに対して母親は早期から母親になる。

 そして、出産の準備と共に色々想像する。エコー写真を見ながら性別を想像したり、親子での団欒を想像したり、教育や結婚のことまでも想像を巡らせることも珍しくない。

 しかし、子どもが障害を持って生まれてきた瞬間、それまでの全ての想像が崩れて落ちる。自分が考えていた理想が、まさに理想のまま消え去るのである。また、日々の育児は大変で、健常児に比べて手のかかる面も多くある。目が合わない、笑顔が返ってくる、身を任せて抱っこされてくれる…などなど普通母親が経験する喜びを経験させてくれない場合もあったりする。

 これは母親にとって母親になれない理由になる。つまり、障害を持った子どもたちは『親を親たらしめる役割』を全うできていない事が多いのだ。

 未就学児にとっての参加とは母親を母親たらしめること、父親を父親たらしめることなのかもしれない。

未就学児に対する参加へのアプローチ

 こういう風に考えると、目標は両親を親たらしめるようになる事、その能力を持つ事ってな感じになる。

 目を合わせない自閉症スペクトラム児、低緊張で抱っこしにくい脳性まひ児、呼吸障害があっておっぱいを飲めない重症児達が、自分たちの持つ能力を高める事で、あるいは能力を高めることが難しければ別の方法で両親に自分はあなたの子どもだよ、ボクは(私は)あなたの子どもでとっても嬉しいよ、あなたに産んでもらって幸せだよというメッセージを届けられるようにすることが参加へのアプローチとなる。

 ボク達は子ども達が発している反応や、子ども達の行動を両親に通訳することで、両親が両親たらしめる援助ができるかもしれないし、子ども達の反応や行動を両親が理解できる形に変えてあげる事で援助できるかもしれない。

 方法は子ども達の問題によって様々だと思うが、ボク達の介入の一つの目標として持っておかなければいけない視点なのかなぁと思う。

おわりに

 親を親たらしめる役割を全うできない子どもたちの問題は「コミュニケーション」の問題だと思う。

 両親は「あるべき姿」を予測していて、その姿からかけ離れた形のコミュニケーションを理解できないし、場合によっては理解しようとできない両親もいるだろう。

 どうやって良いかわからない、どう関われば良いかわからない、普通じゃないから、可哀想な子だから…様々な感情が親子のコミュニケーションを阻害する。

 ボク達は介入することで親子のコミュニケーションを円滑にし、愛着形成を援助していくことで、子ども達の役割を達成させる事に関われる可能性がある。

 しかし、それはそういう事が必要だという視点を持っていなければ関わることができない。追視できるように介入する目的は?寝返りできるように介入する目的は?それはもしかしたら親子の円滑なコミュニケーションに目的があるかもしれないことをボク達は知っておく必要がある。

 是非、臨床での一つのアイデアとして持っていて欲しい考えだと思う。ってことで、今回はここまで。ほな、また。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします