評価と治療

物体とヒトのバランスの違いと姿勢バランス・安定性への介入

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 姿勢を評価しない療法士など存在しないだろう。それは精神科で働く作業療法士でも一緒である。姿勢というものは多くを物語る。

 そして、姿勢を評価する上で重要なものの一つが「バランス」である。

 人は例えば立位であれば、無意識的に2本の足で作る「支持基底面」の中に「重心」を保とうとする。そうすることで、ボク達は立位での活動や歩行が可能となっている。

 では、そのバランスの仕組みについて、ボク達は一体どれだけのことを知っているだろうか。

 今回はヒトが取るべきバランスと物体のバランスの違いについて知ることで、ボク達がヒトのバランスにどのようにして介入すべきかまとめたのでシェアしたいと思う。

バランスの基本

 あなたも養成校時代について姿勢バランスについて習っているはずである。そして、上で紹介したような「支持基底面」や「重心」については習っているだろう。

 そして、恐らく『支持基底面が広く、重心位置が低い』ことが姿勢の安定性を得られると習っているはずだ。

 だから、介入方法の段階づけ(TASKの段階づけ)を姿勢の安定性で行うことは一般的である。立位よりも坐位、坐位よりも臥位で課題を提示した方が、大半の場合、より簡単に目的の運動を引き出しやすい。

 しかし、これはあくまで静的なバランスの話である。

 つまり、物体と一緒。物体はより広い面、より低い位置に置くことで安定する。

526f0310193a68c35ce2788af909caa2_s

 ジェンガはバランスが悪くなっていくから面白いわけだ。

l_105

 玉は支持基底面が狭いから不安定である。

 これがバランスの基本。バランスの基本は動かない物をベースに考えられている。

ヒトは動くから考えるべきは動的バランス

 しかし、ボク達はクライアントの姿勢を変えたいわけでもなく、物体のように動かない安定性を得るために介入するわけではない。姿勢が安定することで、何かしらの動作・作業を獲得してもらう為に姿勢を評価し介入するのである。

 つまり、止まっている物体的バランスを獲得してもらいたいわけではなく、動きに必要なバランス、つまり動的姿勢バランスを獲得してもらいたいのだ。

 動的なバランスは、先程説明したバランスの基本から逸脱してしまう。

blance

 上の図は、どちらも片足立ちでバランスを取っている図である。

 あなたはどちらの姿勢の方がバランスを取りやすいだろうか?やってみたら答えは明確であるが、左の方がバランスを取りやすい。

 両者の違いは「重心の位置」である。

 左の方が重心位置が高いのだ。物体は重心が低い位置にある方がバランスが取りやすいってのが基本だけど、動くヒトのバランスは高いほうが取りやすい。

 これは動くの物のバランスを取る場合も一緒である。

 折りたたみ傘を手の上にのせてバランスを取る際、柄を伸ばさないでバランスを取るか、柄を伸ばしてバランスを取るかどちらがやりやすいか?を考えると後者である。

 ヒトは高い位置に重心を置くことで効率的に運動ができるようにできているのだ。

動的姿勢バランスへの介入

 では、動くヒトのバランスを良くするために、ボク達はどのように介入すべきか?

 もはや答えは明確である。重心位置、あるいは質量中心(Center of mass:COM) という表現もあるが、この位置を高くキープすることで動的なバランスは取りやすくなる。

 どうすれば高くキープできるか?

 それはクライアントの抗重力伸展活動を促すことだ。重心位置を高くするには単純に頭部の位置を高くする必要がある。

 例えば両手をバンザイの姿勢にしてもらっても重心位置は高くなる。抗重力伸展能力が弱い時にはこのような工夫も使いながら最終的に目的の動作・作業を獲得できるよう介入していく。

おわりに

 いかがだったでしょうか。

 バランスと一言で言っても単純ではない。当然である。ニンゲンダモノ。

 でも、これを単純に理解して(いや、したつもりになって)介入している療法士が少なからずいる。

 このブログで、少しでもお役に立てれば幸いだ。って子で、今回はここまで。ほな、また。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします