哲学・科学・理論

理学・作業療法士が知っておくべき神経・筋の可塑性について

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 なぜ脳神経系疾患におけるリハビリテーション効果があるのか?

 その答えは神経や脳の可塑性によるものだろう。

 何らかの原因によって神経細胞が死滅した場合、その神経細胞が生き返ることはない。言語野に問題が起これば失語症が起こるし、上位運動ニューロン系統に問題が起これば運動麻痺が起こる。そして、それらを司る神経細胞は二度と生き返ることはない。それなにも関わらずリハを受けたクライアントはその程度に差はあれど回復する。

 もちろん、浮腫があって脳機能障害が起こっている例に関しては浮腫が引けば回復するだろう。しかし、人体の回復機構はそれだけではないことが分かっている。

 この人間が持つ潜在的な機能によってリハビリテーション効果は支えられているのだ。

 今回は、そんなリハビリテーション効果の根底にある神経や筋の可塑性についてまとめてみたのでシェアしようと思う。

神経・筋の可塑性とは

 可塑性とは、コトバンクによると以下のように定義されている。

固体が弾性限度 (→比例限度) をこえた大きい力を受けて変形するとき,力を除いてもその変形がもとに戻らないで残ってしまう性質。この変形を塑性変形または永久変形という。特に,金属などを引伸ばして針金にするときの塑性を延性、たたき広げて箔にするときの塑性を展性という。

 例えば粘土を押しても戻らないような性質のことだろうか。「戻らない」「戻る」と捉えてしまうとちょっと違うように思えてしまう。

 しかし、これは解釈の問題だと思う。同じくコトバンクの中では以下のようにも記載されていた。

 破壊することなしに永久変形する物質の性質。

 その機能自体は破壊すること無く永久変形すると捉えると説明できるのではないだろうか。例えば、細胞から細胞へのルートを絶たれたとしても、別ルートを作ることが出来る機能だったり、弱化した筋肉も再び戻ることが出来る機能だと捉えると、この定義に当てはまる。

 つまり、可塑性とは『物体だけでなく機能や働きも含め、永久に破壊すること無く変形(変化)し続ける性質』と言えるだろう。

神経・筋の可塑性とは

 では、本題の神経・筋の可塑性とは何ぞや?という話。

 コトバンクには「神経の可塑性」について以下のように書かれている。

 神経系は外界の刺激などによって常に機能的、構造的な変化を起こしており、この性質を一般に“可塑性”と呼んでいる。

 神経の可塑性は大きく3つに分けられる。1つ目は脳が発生していく時や発達していく段階にみられる可塑性。2つ目は老化や障害を受けた時などに神経の機能単位が消失するが、それが補填・回復されていく場合。3つ目は記憶や学習などの高次の神経機能が営まれるための基盤となっているシナプスの可塑性(synaptic plasticity)である。

 特に神経科学にとっては3つ目が重要で、その機構についても徐々に明らかにされている。記憶には、短期記憶と長期記憶があるが、短期記憶は主にシナプスでの伝達効率の変化により、長期記憶はシナプス結合の数や形態の変化により達せられると考えられる。

 これは具体的な解説である。

 リハビリテーションとは、運動や行為を再学習することであり、それを出来る限り正しく学習してもらうよう支援することだと言い換え可能だろう。その再学習、学習結果の記憶に関して役立つのがシナプスの可塑性である。シナプスは外界からの刺激によって形状を変え、より最適化されていくことが分かりつつある。

 例えばハンドリング、例えば徒手療法によってクライアントに与えた刺激がシナプスの可塑性(変化)に影響を与えていたとしたら、それは治療として成功したと言えるだろう。

 では、筋の可塑性とは?

 簡単に解説した文章がネット上には見当たらなかったのだけれど、ボクは『弱化した筋の回復過程』だと捉えている。

 例えば脳卒中を患った方のマヒ側の上下肢の筋肉は弱化する。脳からの下行性伝導路が遮断され、筋に刺激が正しく伝わらないからである。

 しかし、その筋も外界からの刺激によりその形状を(働きやすい形に)変化することが分かっている。この変化に支えられ、動かしにくかった身体を正しく動かせるようになっていくのだ。

参考図書

 詳しく知りたい方はここで紹介するような書籍を読んで欲しい。ボクもまだまだ勉強中の身であるから、これ以上詳しく解説するのは難しい。

 選んでる本は間違いないと思うよ。

おわりに

 リハビリテーションにおいて最も重要な事は結果である。そして、その結果を出し続けることである。結果を出し続ける為に必要な事は再現性だ。

 その再現性を出すためには理論・背景を明確にしておくことである。

 神経や筋の可塑性とは、リハビリテーションの根本的な背景となる事であり、療法士が必ず知っておかなければならない一つだと言える。

 本当はもっと詳しく解説できるくらいに知っておかなければならないのだろが、何分不得意分野であるためご容赦頂きたい。上記参考図書を読んで更に学習を進めて頂ければ幸いだ。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

追伸…ボバースコンセプトに関するエントリーまとめました

 ボバースコンセプトに関する内容をまとめたので、他にも知りたい方は是非参考にして頂きたい。

参考エントリー:ボバースコンセプトの概要と評価・治療方法に関するまとめ

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