特別支援教育

自閉症スペクトラムの原因と診断について

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 前回は、自閉症スペクトラムの定義と分類についてまとめた。

参考エントリー:自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)の定義と分類について

 今回は、その自閉症スペクトラムの原因と診断の最新知見について調べたことをまとめたのでシェアしたいと思う。

自閉症スペクトラムの原因

 まず最初に言っておきたいことがある。自閉症スペクトラムの原因は未だ完全解明されていない。従って明確な治療法は確立されていない。

 DSM5の分類でも自閉症スペクトラムは「神経発達症(神経発達障害)」の一つと位置づけられており、ここに分類される疾病・症候群は一般的な治療法が確立されていないのが現状である。

 巷では自閉症スペクトラムに対する代替療法ビジネスが血気盛んだ。これを読まれた方は、まず自分の担当ケースのお母さんが似非科学、トンデモ医療の被害者になっていないか確認する必要があるし、もし被害者になっているとしたら消費者庁に被害報告をすると共に、ただちに方向性を戻してあげる必要があるだろう。

 それを踏まえた上で、以下の内容を読み進めて欲しい。

 自閉症スペクトラムの原因は、遺伝的要素と環境要素が関連しているというエビデンスは出つつあるものの明確な原因は特定されていない。

 これまで、一卵性双生児の発症一致率に関する研究において70〜90%(二卵性双生児は0〜10%)になるとの報告があることから遺伝的要素に関与すると言われている。そして、この何かしらの遺伝子(単体ではない)の影響により、大脳皮質の発育不全、もしくは小脳プルキンエ細胞の減少に関わり、自閉症状を引き起こしていると考えられている。

 2000年代、各国でこの原因遺伝子を特定する報告がいくつか挙がっている。2016年3月には、東京大学の研究チームが自閉症の原因となる遺伝子を特定したという報告があった。(参考:自閉症の原因となる遺伝子を特定

 しかし、原因となる遺伝子は一つではないし、環境要因との関係や、まだ考えられていないその他の要因もあるかもしれないというのが現状である。

 このように特定が難しい原因として発症(損傷、遺伝子の問題)は恐らく胎児期に起こっているにも関わらず、その脳を検証するのは死後脳事が挙げられる。自閉症スペクトラム児はてんかんを合併するケースも多く、出生後の変化の可能性が極めて高い為、死後脳からの胎児期の脳を想定するのは難しい。

 また、遺伝子を特定する研究は基本的にマウスで行われており、人体でも同じ遺伝子が作用しているかどうかは実際のところ不明確であるのだ。

 科学技術の進歩によって脳画像や血流を確認できるようになってきてはいるので、今後の研究に期待したいところである。

自閉症スペクトラムの診断

 ここまで書いたように、原因が特定できないので症状から診断するというのが一般的である。

 DSM5では以下の4つを満たすものとされている。

■社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害(以下の3つが当てはまる場合)

  1. 社会的・情緒的な相互関係の障害
  2. 他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーション(ノンバーバル・コミュニケーション)の障害
  3. 年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害

■限定された反復する様式の行動、興味、活動(以下4つの内2つ以上当てはまる場合)

  1. 常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方
  2. 同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、言語・非言語上の儀式的な行動パターン
  3. 集中度・焦点づけが異常に強くて限定的であり、固定された興味がある
  4. 感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心

■症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある

■症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている

 これらを確定する明確な評価バッテリーなどはなく、言語検査や発達検査などを使っている状況である。

 近年10億件以上のMRI画像を調査して、自閉症者と健常者の画像の違いを明確にした報告や、PETによるセロトニン系に着目した報告が出てきている。

 今後これら技術により画像による原因究明と共に、確定診断する技術は飛躍的に伸びるだろう。

 また、これら膨大なデータの蓄積によって現在では医師の診断との比較で正誤率85%で人工知能が診断できるようにもなってきている。(参考:人工知能で判定 脳活動の特徴検出

おわりに

 自閉症スペクトルの原因はほぼ確実に遺伝的要因が関与しており、その要因となる遺伝子は一つではなく多岐にわたっており、それぞれが関与しあっている可能性がある。そして、それら遺伝子の損傷などによって大脳皮質の発達や小脳プルキンエ細胞などに問題を生じさせているだろうというのが現状の見解だ。

 しかし、この分野に関する研究は日進月歩であり、近い将来その原因は究明され、飛躍的に治療が進む可能性もある。

 ボク達臨床家は、その日を待って今できることに対し真摯に取り組んで行きたいと思う。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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