書評

作業に根ざした実践(Occupation based practice:OBP)とMTDLP

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 ボクは誰に何と言われようが作業療法士である。

 10月からは訪問看護ステーションを立ち上げ、自身も訪問に出る予定をしているが、現状は整体サロンで施術をする日々だ。

 やっていることはと言えば、ベッド上臥位でROM-ex.と筋力トレーニング指導をただひたすらにやっている。時には関節モビライゼーションだったり、筋膜リリースだったり、ボバースコンセプトだったり、PNFだったりの考え方やテクニックも用いながらROM-ex.と筋トレ指導をしている。

 ただし、ボクは自分をROM-ex.屋さんだとは思っていないし、筋トレ屋さんだとも思っていない。また、巷で増えてきたストレッチ屋さんだとも思っていない。ボクは作業療法士であり、クライアントの作業の問題をボクを介して改善していくという事をやっている。

 クライアントの口から出る悩みや訴えは肩こりだったり、腰痛だったり、下半身太りだったり様々だけど、その本質を聴取していくと、結局のところ作業に問題を抱えている。(あ、作業の問題ってのは、京極先生の言葉を借りと作業機能障害のことね。)

 現在、大阪府作業療法学会に発表を申し込み中だけど、書いたことは一緒。ROM-ex.と筋トレで作業の問題を解決しましたって話。来月、現職者共通研修の事例報告(これで現職者基礎研修終了!!おめでとー!!ボク!)でも発表予定だが、やはりROM-ex.と筋トレでクライアントの作業の問題を解決しましたって話。

 これって理解され難いなぁ…と思っていて、学会も採択されるか分からない。だってOTっぽくないって思われるんだもん。でも、ボクほどOTっぽい人間いないよ?って自分では思っている。

 その答えが昨日読んだ論文にあったのでシェアしたい。

OBP2.0はボクの作業療法の実践のベースにあるものだった

 昨日、寺岡睦さんと京極真先生の『作業に根ざした実践と信念対立解明アプローチを統合した「作業に根ざした実践2.0」の提案』という論文を読んだ。(作業療法 33:249〜258,2014)

 これが、まぁボクが実践している事にメッチャ近かったので以下に引用する。

 (OBP2.0による介入に関する記述部分)状況と関心を考慮しながら、作業機能障害の改善という目標を達成できる限りにおいて、さまざまな介入を活用していく。従来のOBPの場合、意味のある作業に取り組むことなどに価値の比重がおかれる傾向にあった。そのため意味のある作業かどうかをめぐって信念対立することもあったと思われる。もちろんOBP2.0においても、状況が整っていればそうした点を考慮に入れながら、作業機能障害に介入することになる。しかし意味のある作業を同定し難いクライエント(例えば、重度認知症)の場合、意味のある作業かどうかよりも、そのクライエントの作業機能障害の種類の改善にめがけて介入することで健康状態の改善を図り、意味の有り無しをめぐる信念対立を克服していく

 いやぁ、これには震えたね。特に勝手に太字にさせて頂いた部分は思わず「くぅぅ〜、えぇこと言う!!」と唸ってしまった。笑

 当サロンへお越しになられるお客様は腰痛だったり、肩こりだったり、ダイエットだったり「健康の本質」からは離れた底辺の問題に目を取られ、それをどうしても改善したくて来店される。

 でもボクはお客様の問題となる作業に対して介入し、心身ともに健康にしたい、そしてその健康を持続可能なものにしたいという想いがあるので、そこで信念対立が生まれている。

 だから、ボクはお客様が満足できる形(ROM-ex.や筋トレ)でサービスを提供しながら、目的となる作業に介入している。

 OBP2.0はボクの作業療法感を代弁してくれていた。

OBP2.0を背景とした評価と介入を行い、MTDLPで吐き出すという流れ

 OBP2.0に限らず作業療法理論の問題点は作業療法士同士でしか共通言語になり得ないことではないだろうか。

 例えば作業機能障害についても、他職種との共通言語で言い換えないと理解は得られない。

 そんな時に役立つがMTDLPではないだろうか。

 自分の頭の中はOBP2.0(あるいは別の作業療法理論でも良いんだけど)があって、その視点でクライアントを評価し、介入する。

 で、それを外に吐き出す(例えば担当者会議や症例報告、学会発表など)時はMTDLPの流れや表現を用いて吐き出すって形にすれば良いんじゃないかなと思った。

 OBP2.0は理論でMTDLPはツールだからそういうことも有りなわけだよね。

 京極先生も現在OBP2.0のツールを配布されている。学生さんは最新版で授業を受けておられるのだそう。羨ましい限り。ボクも受けたい。

おわりに

 WFOTの作業療法の定義には以下のように書かれている。

 作業療法はクライアント中心の健康専門職で、作業を通して健康と安寧を促進する。基本目標は、人々が日常生活の活動に参加できるようになることである。〜中略〜人々がしたい、する必要がある、することが期待しされている作業に結びつく能力を高める、あるいは作業との結びつきをより良くサポートするよう作業や環境を調整する。

 対象は「人々」であり、障害を持った人、それを予測される人と限定していない。

 また、WFOTでは作業療法士の役割を以下のように言っている。

  1. チームワークのマネジメント
  2. 作業を通した健康と幸福の促進

 人々の健康と幸福は作業機能障害によって起こり、それを改善することで健康と幸福を促進すること。そして、そのクライアントに関わる仲間たちをマネジメントすること。チームビルディングすることとも言い換えられるかもしれない。

 ボクは現状一人でクライアントに関わっているが、訪問看護ステーションを立ち上げたらそういうわけにはいかない。そんな中でリーダーシップを発揮できるよう精進していきたいと改めて思った。

 皆さんも、自分のやっていることに悩むんではなくて、クライアントのハッピーを考え、その為であれば手段を選ばず、チームで関わっていけるよう努力して頂ければ幸いだ。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

追記…京極先生に言及して頂きました

 このブログを京極先生が取り上げてくださいました。

参考エントリー:OBP2.0と生活行為向上マネジメント

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