特別支援教育

自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)の定義と分類について

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 ボクが学生だった十数年前、自閉症児と関わる療法士は都道府県立の療育センターや肢体不自由児施設などの外来訓練などであった。そして、当時は作業療法士や言語聴覚士が主にリハビリテーションの担当をしていた。

 現在では放課後等デイサービスなどの制度ができ、理学療法士が関わっているケースも増えてきたようである。

 移りゆく時代の中でボク達療法士がどのように自閉症スペクトラム児と関わり、支援していくか?というのは非常に重要なテーマになっている。

 その中で、まず自閉症スペクトラムとは何ぞや?という所を明確にしておかなければ話が始まらないと思ったので、今回は自閉症スペクトラムの定義と分類についてまとめたものをシェアしたいと思う。

自閉症スペクトラムとは?

 自閉症を含む広汎性発達障害はDSM4にて『自閉症スペクトラム』として再定義された。まずはその細かい分類について知って頂くため広汎性発達障害の定義から書き始めたい。

広汎性発達障害とは?

 広汎性発達障害(pervasive developmental disorders:PDD)は、社会性とコミュニケーションの障害であり、知的障害を伴うものと伴わないものが含まれるが、そのような診断名、障害名があるというわけではなく、分類上の名称である。

 知的障害が含まれるものとして、古典的自閉症(低機能自閉症、カナー症候群などと言われる)、小児崩壊性障害、レット症候群が挙げられる。知的障害を含まないものとしては、高機能自閉症(アスペルガー症候群)が挙げられる。そして、そのどちらにも分類されうる特定不能の広汎性発達障害が含まれる。

 (古典的)自閉症の診断基準として、①社会性の障害②常同性が同時に当てはまるものとされるが、特定不能な広汎性発達障害は、この内どちらかのみが当てはまるケースとされている。

 自閉傾向のある知的障害と古典的自閉症の違いは明確ではないが、より自閉傾向が強いものを自閉症とし、よりIQが低いものを知的障害としている節がある。

 今までこの分類において診断すると、大半が特定不能の広汎性発達障害(全体の41%)とされてきた。また、脳機能障害であるとされているが、画像診断できるようになりつつあるものの不明確な場合も多いため健常者と高機能自閉症(アスペルガー症候群)との区別も不明確だ。それに加え小児統合失調症との分類なども不明確だという状況であった。

DSM5で広汎性発達障害は自閉症スペクトラムへと再定義された

 それを受けDSM5では神経発達症(神経発達障害)の1つとして『自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder:ASD)』及び『社会コミュニケーション障害(Social Communication Disorder:SCD)』と再定義した。

※神経発達症(神経発達障害)は脳・中枢神経の発達不全として定義されている。

 自閉症スペクトラムには、広汎性発達障害の中の古典的自閉症や高機能自閉症、小児崩壊性障害が含まれる。知的障害の有無に関わらず、古典的自閉症の診断基準である①社会性の障害②常同性が当てはまるものをひとまとめにした形だ。そして、それ以外(社会性の障害か常同性のどちらかのみが当てはまる群)を社会コミュニケーション障害として分類された。(尚、レット症候群は原因遺伝子が特定され、レット障害として別カテゴリーに分類されている。)

 このようにまとめられた理由としては様々な原因が考えられるが、確実な所はレット症候群の原因が特定された事、小児崩壊性障害はわざわざ分類する必要がないと言われ始めたこと、知能障害の有無やそのボーダーラインが不明確な事、健常者と高機能自閉症者のボーダーラインが不明確な事などが挙げられ、①社会性の障害があり、且つ②常同性もある健常者っぽい人から、障害者っぽい人までを「連続体(スペクトラム)」として捉え直したと見られる。

自閉症スペクトラムの分類

ASD

 以上を踏まえて、自閉症スペクトラムの分類を図示してみた。

 知的障害と自閉症、高機能と古典的のボーダーラインそれぞれ不明確であるものの何となく分類されているイメージ。

 以前の分類から考えると、アスペルガー症候群という診断名や自閉症(カナー症候群)という診断名がなくなり、一律に『自閉症スペクトラム』となる。これには自閉症の診断において『社会性の障害と常同性』のみが関与し、IQは関与しないからである。

 知的障害と自閉症スペクトラムのボーダーラインについても分類が明確ではないが、DSM5では併記されることを認めているので、ボーダーラインケースにおける診断名は『自閉症スペクトラム、知的障害』のようになる。

おわりに

 定義や分類は、時代背景などなどに応じて定期的に変わる。

 ボク達はそれらをしっかり追いかけて知っておく必要がある。何故なら多職種連携を行う上での共通言語が重要だし、その臨床像を明確にする必要があるからだ。

 現状未だに広汎性発達障害という言葉が使われるし、広汎性発達障害の障害像が『発達障害』という言葉の保つ意味として扱われるケースがある。特にマスコミでは…。

 しかし、ボク達は既に広汎性発達障害という言葉が医学的には使われないことや、アスベルガー症候群という診断名がなくなっていることを知っておかなければならない。

 今回DSM5での分類に応じて紹介したが、DSMが改定されれば、これらは変化するので、注意しておいて欲しい。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします