特別支援教育

痙直型脳性まひ児へのリハビリテーション(両麻痺児を中心に)

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 本日は、痙直型脳性まひ児に対するリハビリテーションに関する内容をまとめておこうと思う。

 近年、早産児・低出生体重児・PVL児が増えている事から両麻痺児に対する内容を中心にまとめようと思っているが、エッセンスとして四肢麻痺や片麻痺の内容も織り込められたらなぁと。

痙直型脳性まひ児の臨床像

画像引用元:SlidShare
画像引用元:SlidShare

 まずは臨床像から。当然だけど、こういうケースが多いという教科書的な例を挙げて解説する。全てのケースに全てが当てはまるわけではないのでその辺は予めご了承頂きたい。

 痙直型脳性まひ児は四肢(両麻痺児は特に下肢)の筋緊張が高く、可動域の最終行での抵抗がより強くなる事から、可動域の中間当たりで固まっている(動きにくい)事が多い。

 その為乳児期から運動が少なく経験不足であることが多い。また、その背景には早産であることが多いことから胎生期での同時収縮を経験していないことから姿勢保持が難しかったり、遅筋の発達が未熟だったりすることから、持続力が低く、易疲労的だったりする。四肢に対して体幹(腹部)は低緊張であることが多いのは神経学的な問題とは別にこういう面が関係しているということも考えられている。

 また、早産児では特に驚きやすかったり、過剰に反応するという特徴があり、連合反応を強めて、代償動作や異常動作を学習してしまうという特徴もある。

 このような異常な筋緊張により、身体図式の発達が未熟となりやすく、適切な姿勢オリエンテーションが得られない。

 適切な姿勢オリエンテーションが得られないが為に抗重力伸展が難しくなり、質量中心(COM)の位置を下げ安定を得ようとする。しかし、そのように得た安定性から運動は生まれにくく、固まった運動になりやすい。つまり、左右や上下肢の分離が難しい状態となる。

 下肢は内転・内旋方向への緊張が強いためハサミ肢位になりやすかったり、坐位では割座(W-sitting)となりやすい。立位では尖足で足底設置が難しい。

 坐位の特徴は、股関節の屈曲が不十分な為、また腹部低緊張も手伝って、骨盤は後傾し円背でバランスを取っている。両手はバランス維持のために使われていることが多く、坐位での作業や遊びが難しい。そんなバランス状態であることも割座になりやすい原因となっている。

 適切な姿勢オリエンテーションが得られないので、立位での安定は難しく、下肢の交互の振り出しが難しくなるので歩行も簡単ではない。膝を合わせて安定し、体幹と四肢を固まらせて体重移動が極力伴わない形で歩行する。

 両麻痺児は下肢に比べ上肢の障害は少ない。しかし、連合反応やバランスを補っての代償的な動作が多くなり、リーチが難しく遊びの幅が狭くなりがちである。また、PVL児は視覚の問題を抱えているケースも多く、眼と手の協調が未発達でより遊びが偏りがちである。

痙直型脳性まひ児に対するリハビリテーション

hqdefault

 以上のような状況の痙直型脳性まひ児に対して、どのように介入すべきかのアイデアを以下にまとめる。

姿勢、運動に対するアプローチ

 まずは姿勢オリエンテーションを適切に受けられる準備をする必要がある。

 足底をしっかり設置する経験から、足底で体重を受ける経験、更に床反力を感じ、抗重力伸展を行っていくという一連の流れを経験する中で身体図式を確立させていく。

 抗重力伸展に必要な筋群に働きかけ活動を促し、安定性が得られることで、上下肢の分離した運動が可能となってくるだろう。

 日常の中で経験する姿勢が少ないため固定化しやすい為、様々な姿勢を経験する必要がある。特に下肢の内転・内旋が強かったり、割座・円背傾向が強かったりといった状態を断ち切り、股関節の開排位での抱っこや座位保持装置の準備なども必要になるかもしれない。

 座位保持装置は、姿勢保持の難しさをサポートする道具である。それらにサポートを任せることで、上下肢の理想の運動を促通しやすくなる。

 姿勢に対しては安定性を高める為のアプローチは必要だが、それ以外の介入を行う場合は、姿勢の安定性を道具(又はお母さんに手伝ってもらうなどで)などで担保しておく必要がある。安定性を担保することで理想的な上下肢の運動が促通しやすく、求める上肢や下肢での運動経験を得やすくなるだろう。

日常生活に対するアプローチ

 両麻痺児であれば下肢に比べ上肢の障害は軽めなので、比較的上肢を使った活動は行える。ただし、姿勢が安定していないと間違った学習をすることがあるし、連合反応で動作が阻害されたりする。

 机上での遊びや勉強、歯磨きや食事などにより、その異常動作を強め、学習し将来の拘縮や変形を招く可能性もある。

 将来にわたって一度獲得した動作を継続できるよ、また変形や拘縮を予防するためにも、安定した姿勢で動作を学習させる必要がある。

母親支援

 仮にリハビリテーションで子どもにとって理想的な動作を促すことができたとしても、家庭で母親が間違った動作を学習させてしまっていては意味が無い。

 しかし、リハビリテーションスタッフが関わるのは子どもの生活のごくごく一部であり、そこでの経験よりも、それ以外の時間での経験を学習していく。つまり、利は効果が無効化してしまう。

 ボク達の仕事は母親の負担を軽減することであるから無理をさせてはいけないが、母親に間違った運動を促通させてもいけない。

 母親の育児(抱っこしたり、食事や更衣を手伝ったり、一緒にお風呂に入ったり)の中でどのようなところに気をつけ、どう介入してあげると母親が楽になるか?の目線から子どもの理想的な運動を引き出せるようアドバイスをする必要がある。

 また、アドバイスするだけでとどまらずそれが実践できているか?の確認も重要だろう。

おわりに

 ごくごく表面的な部分だけの案内になったが、脳性まひ児は特に個別性が高い疾患なのでこのようになることをご容赦頂きたい。

 だが、痙直型脳性まひ児の大まかな特徴や、介入のアイデアについてはヒントになるのではないかと思う。

 是非、ご自身の臨床に活かしていただければと思う。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします