書評

「発達障害をもつ子どもと成人、家族のためのADL」の感想

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 本日は、2008年に書かれた少し古い本だけど、ボクが発売された当初に買っていた(けど殆ど読んでいなかった)本を紹介したいと思う。

 サブタイトルが「作業療法士のための技術の絵本」とされているが、昨今の「活動と参加に焦点を!!」という流れにおいては理学療法士にとっても役立つ本だと思うので是非とも参考にして頂きたい。

基礎編と実践編の二冊組

 本書は基礎編と実践編の二冊構成である。

基礎編には「ADLと発達」「疾患別のADLの特徴や障害」について書かれていている。発達障害児のADLの特徴など基本を学びたい場合はこちらから読まれると良いだろう。

 そして実践編については、疾患別で具体的なケースを通じて評価から治療までの流れに沿って解説されている。具体的に自分のケースで悩まれている人はこちらを参考にされると良いかと。

基礎編の感想

 基礎編ではまず、ライフステージごとのADLに関する能力の獲得や課題について年表形式で書かれている。

 発達障害児に対するリハビリテーションを行う際は運動にしても、認知・精神面にしてもそうだが、まず正常発達を知るところからしか始められない。もちろんADLも同じである。

 例えば髪を梳かすとか、鼻をかむとかがいつくらいからどのような能力に支えられてできるようになるかを知ることで、クライアントの発達を支援することができる。この部分は暗記するまで読み込んで頂きたい。

 疾患別の運動・精神状況に関しての説明はサラッと流しているので、その辺を知りたい方は別の本を参考にされると良いだろう。

 障害の特性からADLのどういった部分でつまづきやすいかについて書かれている。具体的なアプローチについては書かれていないが支援のキーポイントは得られるといった感じ。

実践編の感想

 基礎編とは反対に、個別のケースについての色々が書かれた本。

 個別性が高いので他の多くのケースにも当てはまるかどうか不明だが、クリニカルリーズニングのコツやヒントは充分得られる。

 小児に携わるベテラン作業療法士により書かれた本なので、ベテラン療法士の頭の中を覗き見るって意味でも価値がある。

 多くの本が脳性まひを中心に書かれている中で、本書は小児療法士が関わる疾患が広く書かれているので参考になる。

おわりに

 「広く浅く」というと、悪い風に捉えられてしまうかもしれないが、本書に対してはいい意味でこの言葉を使いたい。

 発達障害児の日常生活について広く浅く、浅くとは言っても他にここまで詳しく書かれている本は見当たらないので、現状では一番深い本とも言える。

 作業療法士に限らず、理学療法士も子どものADLを考えながらアプローチする時代である。

 全ての小児に関わる療法士に参考になるだろう。

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