特別支援教育

理学・作業療法士なら知っておきたい脳性まひの定義と分類

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 本日は「脳性まひ」についての基本をまとめたいと思う。

 何故、今更こんな基本を復習してまとめるかというと、脳性まひは疾患名ではなく、一連の症状のことを表した表現であり、脳性まひという言葉が意味するものは多岐に渡るので、まずそこを整理し知っておかなければ脳性まひという言葉を使って会話ができなくなるからである。

 会話ができなくなるとは?つまり、医師が脳性まひの定義に従って診断しており、カルテを見て、脳性まひと書かれていたら医師は脳性まひの定義に従って、この診断をつけていることになる。

 だから、基本的にはこの定義から逸脱していないという前提が生まれるのだ。だから、ボク達はその前提を知っておく必要がある。

脳性まひとは?

 日本の医師が「脳性まひ」と診断するに当たり汎用されている定義は1968年に厚生省(現厚生労働省)脳性麻痺研究班会議から出された定義と、2004年にアメリカのMaryland州で開催された国際会議「Workshop in Bethesda」でまとめられたものを採用されている。

  脳性麻痺とは受胎から新生児期(生後4週間以内)までの間に生じた脳の非進行性病変に基づく、永続的なしかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。

 進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する。(厚生省脳性麻痺研究班会議 1968年)

 これが日本の教科書ではよく引用されている定義ではないかと思う。

 それに対し、「Workshop in Bethesda」の定義は以下のようになっている。

 脳性麻痺の言葉の意味するところは、運動・姿勢の発達の異常の1つの集まりを説明するものであり、活動の制限を引き起こすが、それは発生・発達しつつある胎児または乳児の脳の中で起こった非進行性の障害に起因すると考えられる。脳性麻痺の運動障害には感覚、認知、コミュニケーション、認識、行動、発作性障害が付け加わる。(Workshop in Bethesda 2004年)

 この定義を受けて2005年「Executive Committee for the Definition of Cerebral Palsy」では以下のように定義をまとめている。

 脳性麻痺は運動と姿勢の発達が障がいされた一群をさす。その障がいは,胎児もしくは乳児(生後1歳以下)の発達途上の脳において生じた非進行性の病変に起因するもので、活動の制限を生じさせる。脳性麻痺の運動機能障害には、しばしば感覚、認知、コミュニケーション、知覚、行動の障がいが伴い、時には痙攣発作がともなうことがある。

 ま、殆ど一緒だけど、日本語訳が少しだけ分かりやすかったのでどちらも載せておく。

 この定義に当てはまる群を脳性まひと呼び、それ以外は脳性まひではないということになるので以後お見知り置きを。

脳性まひの分類

 脳性まひの分類は主に1998年にヨーロッパで開催された脳性まひの他施設共同研究「surveillance of cerebral palsy in Europe(SCPE)」によって分類されているものと、麻痺の部位によって分類されているものが併用されている。

まひのタイプによる分類

画像引用元:REITER&WALSH.P.C
画像引用元:REITER&WALSH.P.C

 麻痺のタイプによって分けると上図のようになる。

  1. spastic CP:痙直型脳性麻痺
  2. ataxic CP:失調型脳性麻痺
  3. dyskinetic CP:ジスキネティック型(=アテトーゼ型)脳性麻痺
  4. mixed CP:混合型脳性麻痺

 以下、詳細を解説する。

1.spastic CP:痙直型脳性麻痺

 脳性麻痺全体の約80%以上が痙直型とされている。(参照元により若干の違いがあるが、痙直型脳性麻痺が一番多い事には相違ない。)

 上位運動ニューロンの障害で筋緊張は高く、筋が硬直、弱化しているのが特徴である。連合反応や筋の同時収縮が起こりやすく、可動域の最終域での抵抗が強い(中間位で保持される)。

2.ataxic CP:失調型脳性麻痺

 全体の10%程度に見られるというものから、5%程度というものまで様々。

 規則正しい筋の調整が失われ、運動の際、異常な力やリズム、不正確さが伴ってしまう。筋力低下や筋肉のふるえも見られ、速い動きや細かい動きが難しい。歩行するケースではワイドベースでの歩行になりやす。

3.dyskinetic CP:ジスキネティック型(=アテトーゼ型)脳性麻痺

 日本において一般的な名称はアテトーゼ型脳性麻痺で、dystonic CP:ジストニック型脳性麻痺とChoreo-athetotic CP:舞踏様アテトーゼ型脳性麻痺に分類される。

 上図では全体の5%ほどとされているが、日本の文献においては15〜20%とする文献もある。経験的には痙直型の次に多いイメージ。

 dystonic CP:ジストニック型脳性麻痺は常に増大した筋緊張があり,動きが少なく活動の減少やこわばった運動を示す。Choreo-athetotic CP:舞踏様アテトーゼ型脳性麻痺は,常に低下した筋緊張があり,動きが過剰で活動性の増大や激しい運動を示す。

4.mixed CP:混合型脳性麻痺

 上記3つの種類の脳性まひのうち2つを併せ持つもので、全体の5%程度とされている。

 経験的には痙直型とアテトーゼ型の混合タイプしかみたことない。

まひの部位による分類

画像引用元:Slideshare
画像引用元:Slideshare

 上記、麻痺のタイプ毎に見られる種類はこの図の通り。

  1. 片麻痺
  2. 両麻痺
  3. 四肢麻痺

 レアケースでは単麻痺(四肢のうち一肢のみ麻痺)や対麻痺(両下肢の麻痺)などもあるが、脳性まひの場合この3つの麻痺が多い。

脳性まひの疫学

画像引用元:Health Life Media
画像引用元:Health Life Media

 脳性まひは1000人に2.2人の割合で生まれている。日本の文献でも約2名とされているので、世界的に見ても、日本だけでみても大体同じ割合だと思われる。

 ただし、早産児に限ってはこの割合に限らず、発生率が通常の約10倍に上がるとされている。

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 脳性まひの定義にあるよう、主に出生後1年以内に脳への損傷を受けたものを脳性まひとするが、上図にあるように大半は胎児期の問題によって起こる。

 医療技術の進歩に伴い,28週未満の早産児や1000g未満の超低出生体重児の救命が増加したことで、近年脳性まひの出生率は上がりつつある。このような近年の傾向により、現在成人している脳性まひ者と比べると臨床像が変わりつつある。

おわりに

 こうやってまとめると意外と長くなってびっくりした。しかし、脳性まひ児のリハビリテーションに携わる前の事前情報として最低限知っておいた方が良い内容をまとめられたと思う。

 是非とも参考にして頂ければと思う。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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