特別支援教育

小児理学・作業療法士は知っておきたい発達障害の定義と分類

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 小児のリハビリテーションに携わるのであれば、当然クライアントは発達障害児である。

 もちろん、家族や地域を含めた全体がクライアントと言えるのだが、その中心にいるのはいつも子どもであることに異論のある人は居ないだろう。

 だけど、じゃあ発達障害とは?その分類は?っていきなり言われたらどう?

 みんなしっかり頭に入ってる?

 特に分類や診断の定義って時代に合わせて変わってくるから、今使っている用語が実は時代遅れだったりってことも普通にある。

 ちなみに、アスペルガー症候群ってもう存在しない診断なんだよね。知ってた?ボクは知らなかったからびっくり。

 ってことで、今回は改めて発達障害とは何か、発達障害はどのように分類されるか?について調べたのでシェアしたいと思う。

発達障害とは

 「発達障害(Developmental Disability)」という用語は、アメリカの法律に使われたのが最初で、1960年代のこと。その後1970年代に日本へ紹介されたのが、日本における「発達障害」という言葉のはじまりである。

 現代日本において「発達障害」という言葉は主に自閉症やADHDなど、主に社会性や行動面に問題のある子どもたちを指して使われる事が多いが、ボク達にとっては当然身体障害、いわゆる肢体不自由も含まれることは当然のことである。

 発達障害の定義を発達障害の作業療法 基礎編では「乳幼児期〜青年初期に障害の原因が発生し症状が顕在化したものの内、その後の発達が阻害されるような全ての疾患とその後遺症」というように書かれている。(※一部改変)

 つまり、先天的な疾患であれ、周産期の問題であれ、後天的な疾患や事故であれ、どのような原因であったとしても18歳くらいまでにその原因と症状が出現し、子どもの成長・発達を妨げるような状況であればそれらは全て発達障害と言えるということだ。

 ちなみに、ボクは「先天性心室中隔欠損症」であり、運動発達に多少遅れがあって、小学校1年生の時はプールの授業は全て見学させられ、今も心電図に異常がある。つまり、ボクは心臓の発達に障害があって、それは今なお継続している。日常生活に不便はないし、フルマラソンも完走できるが、心肺機能に負担をかけるレベルで走るのは今でも不安であるからゼーハーゼーハー言いながら走ることは絶対にしないし、フルマラソンの目標も心肺機能に負担のかからない程度にしている。

 えーっと、これって発達障害?

 でも、ボクはリハビリテーションを受ける側ではなく、提供する側だし、日常生活には困っていない。(※昔はボイタ法を受けていたらしく、親いわく、ギャンギャン泣いて余計に心臓悪くなったらしい。だからボイタ法にはいいイメージがない。食わず嫌い。笑)

 だから、ボクは上の定義18歳以前の原因・症状により、その後の発達が阻害され、且つ日常生活等に不具合をきたしているもの(つまり、活動や参加の制約があること)を発達障害とするという感じで捉えている。

発達障害の分類

 で、その発達障害だけど、どのように分類されるか。

 これって診断の基準が一つじゃないし、冒頭で述べたようにそれら基準もコロコロ変わったりするからややこしい。

 日本ではWHOのICDとDSMが基本的な診断基準となっている。で、ICDはDSMの流れに準ずるところがあるので、今回はDSM-5を参考にしながら、ボク達が臨床で使う用語も用いて分かりやすく分類してみた。

 まずは下の表を見て欲しい。

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 現状の分類だとこんな感じになるのかなぁというボクの作った分類表である。以下、詳細を解説する。

肢体不自由

 肢体不自由というのは、いわゆる子どもの身体障害で、脳性麻痺などの姿勢・運動障害やポリオ後遺症などの末梢神経障害、切断や複雑な骨折などの整形外科疾患によるものも含まれるだろうし、大きく見れば視覚・聴覚障害やボクのような心臓や肺、その他内臓疾患も含まれる。

知的障害

 もちろん、身体の問題だけでなく、知的な問題を重複して持っている子どももいるし、知的な障害がメインで身体には(殆ど)障害がないものもいる。今までの日本では特別支援学校や心理方面では「知的障害」といい、医学領域や診断では「精神遅滞」としてきたが、DSM05では今まで「精神遅滞」としていたのを「知的障害」としているので、ここでもそちらに準じている。

自閉症スペクトラム

 自閉症スペクトラムは、今まで広汎性発達障害(小児自閉症、非定型自閉症、カナー症候群、アスペルガー症候群、レット症候群などが含まれる)を一律して自閉症スペクトラムと表現するようになった。

 レット症候群は自閉症スペクトラムからは除外され、レット障害とされるようになったらしいが、ここでは、一緒にさせてもらっている。

 健常者−自閉症の境目は実に難しく、もちろん重度自閉症児は健常ではないのだけれど、そのボーダーライン上にいる子どもは本当に見分けにくい。スペクトラムとは連続体という意味があり、健常から自閉症までの(グラーデーションのような)連続体という意味合いでこう呼ばれているらしい。

 未だにマスコミでは広汎性発達障害という言葉が使われているので、その言葉でも通じるがDSM-5では、一貫して自閉症スペクトラムとしている。

軽度発達障害

 この言葉も今では使われていないが、ADHDとLDを含んだ言葉として用いられる。もちろんDSM-5では軽度発達障害などという用語は用いられていない。

 だから、子どもの精神機能に関する分類では、「知的障害」や「自閉症スペクトラム」の分類と並列に「ADHD」と「LD」が据えられている。

小児の精神障害

 いわゆるうつや摂食障害など精神障害の分類の疾患でも18歳までに原因と症状が起こり、それが発達に影響を及ぼし、日常生活等に不具合が生じているとするなら発達障害と言える。

 また、この精神障害や軽度発達障害児達の一部が不登校や引きこもりになっていて、不登校や引きこもりという現象も発達に影響を与える事柄であるから、発達障害として分類した。

 同じ理由で虐待を受けた子どもも特異的なPTSD症状などにより発達に影響を及ぼし、日常生活等に支障をきたす場合があるので、ここに含めた。

重度重複障害(重症心身障害)

 上の図のように分類したものの、各疾患・症状が単体で現れるケースは少ない。状態の重度・軽度は様々だが、知的障害だけ、肢体不自由だけというケースは稀である。大半の発達障害児が重複障害児だ。

 その中でも特に、重度の肢体不自由と知的障害を併せ持つ児を重症心身障害児という。重症心身障害児の中にも自閉症スペクトラム的な症状を持つものもいれば精神疾患的な要素を持つものもいるから、純粋に肢体不自由と知的障害の合併では無いケースの方が多いと思われる。

 重症度は別として、大半の発達障害児が重複障害児であることは知っておく必要がある。

その他

 DSM-5では、これら以外に「コミュニケーション障害」という項目もある。今回は省いたが、上記分類と合併して起こるコミュニケーション障害以外にも、吃音などもある。

 また、「運動障害」という項目もある。上記分類と合併して起こる運動障害以外にもチックなどが含まれる。

おわりに

 学生の時には試験勉強の為にこのような分類を覚えていたりしたと思うが、臨床に出ると、それら分類が無意味に思えるくらい色んな症例に合い、その大半が重複障害である。

 だから、分類なんて必要ないよねって思っても仕方がない。

 しかし、適切に分類できることで、適切に介入が決められるという部分も少なからずあるとボクは思っている。

 しょうもないことかもしれないけど、こういう分類はしっかり頭に入れておいた方が良いだろう。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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