評価と治療

ボバースコンセプトにおける姿勢制御の捉え方

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 今回はボバースコンセプトにおける姿勢制御の捉え方と治療的介入の考え方についてまとめてみたのでシェアしたいと思う。

Posture Control(姿勢制御)とは?

 姿勢制御とは、この場合人間が重力下で生活する上で姿勢を(能動的に)コントロールする機能・能力のことである。

 人間の姿勢制御は以下の条件で成り立つ。

  1. Steady State
  2. Reactive Control
  3. Proactive(Predictive) Control

posture

 Steady Stateとはつまり、どっしりとした状態、土台の事。人間の姿勢制御においては正しいアライメントを意味する。

 Reactiveとは、反応的。つまり、何かしらの外力や予想外の出来事などが起こった際に働く制御機能。反対にProactiveは、自ら起こす重心移動に対して予め(予測して)バランスを取ろうとする制御機能のことである。

 これが重力に抗して生きていく、姿勢を制御する機能なのだ。

例えばリーチする時

 では、例を示してみよう。

 例えばリーチする時を考えてみて欲しい。Base of Support(BOS:支持基底面)のど真ん中に重心がある状態をイメージしてみよう。

 その状態から右手をリーチする。すると重心は右前方へ動く。つまり、若干安定性が崩れてしまう。

 しかし、Proactive Controlが働けば、リーチをし始める直前に重心を左後方へ動かすことが可能だ。下の図を見てみよう。

画像引用元:脳卒中リハビリのお勉強
画像引用元:脳卒中リハビリのお勉強

 一番右のように重心をまるで動かさずリーチすることは意識しなければ不可能だ。(いや、意識しても難しいかな…)

 また、右から2つ目のように上肢の重みに合わせて前に重心を移動させてしまうと恐らくそのままぶっ倒れてしまう。(ま、その前にReactive Control機能が働いて立ち直るが。)

 左から2つ目のように、リーチの直前、ほぼ同時に重心を左後方へ移動させるのが一番効率のいい運動となるだろう。

 このように人は効率的に生きていけるよう姿勢を制御しているのだ。

姿勢制御の脳・神経システム

画像引用元:脳卒中リハビリのお勉強
画像引用元:脳卒中リハビリのお勉強

 同じくリーチ(右上肢挙上)時の姿勢制御を考える。この際に働く脳・神経システムは上の図の通りだ。

 まず、リーチをしようと思った時、皮質橋網様体脊髄路を通じて左の体幹や下肢の伸筋群に準備をさせる。これがProactive Controlだ。

 そして、その筋収縮を受けて皮質前庭脊髄路を通じてその伸筋群をより強固にする。これがReactive Controlだ。

 最後に皮質延髄網様体脊髄路を通じて右上肢の主動筋を働かせる。

姿勢オリエンテーションと安定性

posturecontorol

 姿勢制御について、は先程書いた通り、この重力下で効率的に生きていくために姿勢をコントロールする機能である。

 では、人はどのようにその機能を働かせているのだろうか。

 上の図を見て欲しい。姿勢の安定性に関与するのはオリエンテーション(方向付け)である。

 重力下でにおいて、重力に対するオリエンテーションや床反力からのオリエンテーションを受け、抗重力伸展位にて姿勢を安定させることができる。

 そして、このオリエンテーションを適切に受けるためには、最初に示した図にある通り、Steady State(アライメント)がしっかり整っていることが条件となる。

姿勢制御における動的バランスとは?

 このような姿勢制御システムを人は動きの中で働かせなければいけない。

 つまり、動的な姿勢制御が働かなければいけないわけだが、まずは静的な物を考えてみよう。つまり、物のバランスだ。

 物を置く時のバランスを考えてみよう。BOSが広くて、重心(COM:Center of Samm)が低い方が良いことは分かるだろうか。

 例えばコップや本をテーブルに置くときにバランスを考えるだろうか。テーブルの端に置かない(BOSを狭くしない)事くらいは考えるだろうが、基本的には何も考えずに置くはずだ。

 それはコップや本がBOSが十分に広く、COMが低く安定しているからだろう。物体はBOSが広くCOMが低い方が安定を得られる。

 しかし、動的なバランスはどうか。

 例えば、傘を掌にのせてバランスをとるのと、鉛筆を掌にのせてバランスを取るのはどちらの方が難しいだろう。恐らく傘の方が簡単だ。つまり、動的なバランスを取るにはCOMが高い方がバランスが取りやすいのだ。

 腹部が働きにくく円背傾向にあるような脳卒中クライアントを想像してみてほしい。恐らく、特に麻痺側の腹部は潰れてしまっているだろう。つまりCOMが低くなってしまっているのだ。この状態でバランスを取るのは困難だということが分かる。動的なバランスを取らせるためにはCOMの位置を高くキープさせなければならないのだ。

 動的バランスとは、COMを高く保つ為の機能と言えるだろう。

バランス戦略

 人は、上で書いたような動的なバランスを取るように生きている。当然だ。そうでなければ生きていけない。では、どのようにバランスをとっているのだろうか。

 以下、3つ紹介する。

ankle strategy(足関節戦略)

anklestrategy

 まずひとつ目が足関節の運動を使ったもの。常に動いている重心を足関節を使ってCOMをBOS内に止めようとする動きである。

hip strategy(股関節戦略)

hipstrategy

 足関節の運動のみでバランスを取れない場合、股関節の動きも使うようになる。

 脳卒中のクライアントは往々にして足関節が固い場合が多い。だから、Ankle Strategyが発揮できず常にhip strategyを使っている。その為股関節屈曲傾向が強く伸展が難しいと考えられる。

stepping strategy(ステッピング戦略)

step

 股関節の運動でもバランスを取れない場合は、一歩踏み出しBOSを広げるという戦略に出る。

 外力の強さだけでなく、その環境や本人の意識・注意の状態にもよるが、このような戦略でバランスをとっている。

おわりに

 少し長くなってしまったが、姿勢制御をごくごく簡単に解説してみた。

 ボク自身が復習しがてらなので間違いなどあったら教えて欲しい。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

追伸…ボバースコンセプトに関するエントリーまとめました

 ボバースコンセプトに関する内容をまとめたので、他にも知りたい方は是非参考にして頂きたい。

参考エントリー:ボバースコンセプトの概要と評価・治療方法に関するまとめ

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