評価と治療

PNFにおける下肢パターンの種類・方法・注意点など

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 本日は、特に下肢パターンについて復習した内容をシェアしたいと思う。

 下肢パターンを用いるシチュエーションから、下肢パターンのバリエーション、方法などについての復習に役立てて頂ければ幸いだ。

目次

下肢パターン解説に当たり基本事項

 PNFを少しでも学ばれた方にとっては当たり前なのだが、解説に当たりいくつか基本事項を説明しておく。

 まず、パターンの名称だが、上肢の場合、肩関節の運動要素で記載されている。

 屈曲とあれば、それは股関節の屈曲を意味している。

 また、パターンの名称は全て終了肢位ベースで記載されている。屈曲ー外転ー外旋パターンというのは、終了時に股関節が屈曲ー外転ー外旋位にあることを意味している。

下肢パターンを用いる理由

 下肢パターンを治療に用いる時、以下のような理由が考えられる。

  • 下肢の機能的な動作(ADLなど)の学習
  • 下肢の筋力アップ、関節の安定性、痙性の抑制など機能障害へのアプローチ
  • 痛みの緩和
  • 使える下肢から、弱い部分へのイラデーション
  • 協調性の学習
  • リラクゼーション

下肢パターンのバリエーション

 下肢パターンは以下の12パターンある。

  1. 屈曲ー内転ー外旋、伸展ー外転ー内旋
  2. 屈曲ー内転ー外旋(膝を曲げながら)、伸展ー外転ー内旋(膝を伸ばしながら)
  3. 屈曲ー内転ー外旋(膝を伸ばしながら)、伸展ー外転ー内旋(膝を曲げながら)
  4. 屈曲ー外転ー内旋、伸展ー内転ー外旋
  5. 屈曲ー外転ー内旋(膝を曲げながら)、伸展ー内転ー外旋(膝を伸ばしながら)
  6. 屈曲ー外転ー内旋(膝を伸ばしながら)、伸展ー内転ー外旋(膝を曲げながら)

 見てもらえれば分かると思うが、基本形は4つ。

  1. 屈曲ー内転ー外旋、伸展ー外転ー内旋
  2. 屈曲ー外転ー内旋、伸展ー内転ー外旋

 屈曲方向と伸展方向、それぞれ2パターンずつである。それぞれに中間関節である、膝の運動(屈伸)が加わった各パターン3種類ずつで、合計12パターンということになる。

 以下、それぞれを解説する。(尚、(屈曲・伸展の)相対するパターンをセットにして解説するので予めご了承頂きたい)

屈曲ー内転ー外旋、伸展ー外転ー内旋パターンについて

※この動画は膝の屈伸があるパターンであるが、基本形は膝の屈伸はなく伸ばしたままである。

1.屈曲ー内転ー外旋パターン

開始肢位 伸展ー外転ー内旋パターン方向へエロンゲーション
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足背部(距骨をグリップ)、遠位グリップ:大腿直筋と内転筋
遠位部の運動 足関節:背屈・内がえし、足指:伸展
バーバルコマンド 開始時:足の指を開いて、足首を反らして,膝を曲げながら足を持ち上げて。運動時:膝を曲げて、足を内側に!

2.伸展ー外転ー内旋パターン

開始肢位 屈曲ー内転ー外旋パターン方向へエロンゲーション
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足底部、遠位グリップ:ハムストリングス(水かきを当てる)
遠位部の運動 足関節:底屈、外がえし、足指:屈曲
バーバルコマンド 開始時:足の指を握って、足首を曲げて,足の裏を床へ押し付けて!。運動時:床におしつけて!

屈曲ー内転ー外旋(膝を曲げながら)パターン、伸展ー外転ー内旋(膝を伸ばしながら)パターン

 屈曲ー内転ー外旋パターン、伸展ー外転ー内旋パターンを基本形として、屈曲時に膝を曲げながら、伸展時に膝を伸ばしながらという膝の屈伸を伴うパターンである。

1.屈曲ー内転ー外旋(膝を曲げながら)パターン

開始肢位 伸展ー外転ー内旋パターン方向へエロンゲーション、膝は伸展位
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足背部(距骨をグリップ)、遠位グリップ:大腿直筋と内転筋
遠位部の運動 足関節:背屈・内がえし、足指:伸展
バーバルコマンド 開始時:足の指を開いて、足首を反らして,膝を曲げながら足を持ち上げて。運動時:膝を曲げて、足を内側に!

2.伸展ー内転ー内旋(膝を伸ばしながら)パターン

開始肢位 屈曲ー内転ー外旋パターン方向へエロンゲーション、膝を屈曲位
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足底部、遠位グリップ:ハムストリングス(水かきを当てる)
遠位部の運動 足関節:底屈、外がえし、足指:屈曲
バーバルコマンド 開始時:足の指を握って、足首を曲げて、膝を伸ばしながら足の裏を床へ押し付けて!。運動時:床におしつけて!

屈曲ー内転ー外旋(膝を伸ばしながら)パターン、伸展ー外転ー内旋(膝を曲げながら)パターン

 屈曲ー内転ー外旋パターン、伸展ー外転ー内旋パターンを基本形として、屈曲時に膝を伸ばしながら、伸展時に膝を曲げながらという膝の屈伸を伴うパターンである。屈曲ー内転ー外旋(膝を曲げながら)パターン、伸展ー内転ー内旋(膝を伸ばしながら)パターンと逆の形。

1.屈曲ー内転ー外旋(膝を伸ばしながら)パターン

開始肢位 伸展ー外転ー内旋パターン方向へエロンゲーション、膝は屈曲位、治療側のベッド端へ寄る(治療側下肢をベッドから出す)
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足背部(距骨をグリップ)、遠位グリップ:大腿直筋と内転筋
遠位部の運動 足関節:背屈・内がえし、足指:伸展
バーバルコマンド 開始時:足の指を開いて、足首を反らして,膝を伸ばしながら足を蹴り上げて。運動時:膝を伸ばして、足を内側に!

2.伸展ー外転ー内旋(膝を曲げながら)パターン

開始肢位 屈曲ー内転ー外旋パターン方向へエロンゲーション、膝を伸展位、治療側のベッド端へ寄る
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足底部、遠位グリップ:ハムストリングス(水かきを当てる)
遠位部の運動 足関節:底屈、外がえし、足指:屈曲
バーバルコマンド 開始時:足の指を握って、足首を曲げて、膝を曲げながら足をベッドの外に出して!。運動時:足の裏をお尻に近づけて!

屈曲ー外転ー内旋パターン、伸展ー内転ー外旋パターン

※動画は膝の屈伸が伴うパターンである

1.屈曲ー内転ー外旋パターン

開始肢位 伸展ー内転ー外旋パターン方向へエロンゲーション
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足背部、遠位グリップ:大腿直筋、内転筋
遠位部の運動 足関節:掌屈・背屈、外がえし、足指:伸展
バーバルコマンド 開始時:足の指を反らして、足首を曲げて、足を外側へ持ち上げて!。運動時:持ち上げて!

2.伸展ー内転ー外旋パターン

開始肢位 屈曲ー外転ー内旋方向へエロンゲーション
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足底部、遠位グリップ:大腿内側からハムストリングス
遠位部の運動 足関節:底屈、内がえし、足指:屈曲
バーバルコマンド 開始時:足の指を握って、足首を返して,反対の足の方へ足を押し下げて。運動時:床に足を押し付けるように!

屈曲ー外転ー内旋(膝を曲げながら)パターン、伸展ー内転ー外旋(膝を伸ばしながら)パターン

 屈曲ー外転ー内旋パターン、伸展ー内転ー外旋パターンを基本形として、屈曲時に膝を曲げながら、伸展時に膝を伸ばしながらという膝の屈伸を伴うパターンである。

1.屈曲ー外転ー内旋(膝を曲げながら)パターン

開始肢位 伸展ー内転ー外旋パターン方向へエロンゲーション、膝は伸展位
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足背部、遠位グリップ:大腿直筋、内転筋
遠位部の運動 足関節:掌屈・背屈、外がえし、足指:伸展
バーバルコマンド 開始時:足の指を反らして、足首を曲げて、膝を曲げながら、膝を外側へ持ち上げて!。運動時:膝を蹴り上げて!

2.伸展ー内転ー外旋(膝を伸ばしながら)パターン

開始肢位 屈曲ー外転ー内旋方向へエロンゲーション、膝は屈曲位
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足底部、遠位グリップ:大腿外側からハムストリングス
遠位部の運動 足関節:底屈、内がえし、足指:屈曲
バーバルコマンド 開始時:足の指を握って、足首を返して,膝を伸ばしながら反対の足の方へ足を押し下げて。運動時:床に足を押し付けるように!

屈曲ー外転ー内旋(膝を伸ばしながら)パターン、伸展ー内転ー外旋(膝を曲げながら)パターン

 屈曲ー外転ー内旋パターン、伸展ー内転ー外旋パターンを基本形として、屈曲時に膝を伸ばしながら、伸展時に膝を曲げながらという膝の屈伸を伴うパターンである。屈曲ー外転ー内旋(膝を曲げながら)、伸展ー内転ー外旋(膝を伸ばしながら)と膝の動きが反対のパターン。

1.屈曲ー外転ー内旋(膝を伸ばしながら)パターン

開始肢位 伸展ー内転ー外旋パターン方向へエロンゲーション、膝は屈曲位、ベッド下に寄り、治療側下肢をベッドから出す(反対側下肢は曲げベッド端に立てる)
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足背部、遠位グリップ:大腿直筋、内転筋
遠位部の運動 足関節:掌屈・背屈、外がえし、足指:伸展
バーバルコマンド 開始時:足の指を反らして、足首を曲げて、膝を伸ばしながら、足を外側へ持ち上げて!。運動時:足を伸ばして!

2.伸展ー内転ー外旋(膝を曲げながら)パターン

開始肢位 屈曲ー外転ー内旋方向へエロンゲーション、膝は伸展位、ベッド下に寄り反対側下肢は曲げベッド端に立てる
マニュアルコンタクト 近位グリップ:足底部、遠位グリップ:大腿外側からハムストリングス
遠位部の運動 足関節:底屈、内がえし、足指:屈曲
バーバルコマンド 開始時:足の指を握って、足首を返して,膝を曲げながら足をベッドの外へ押し下げて。運動時:足をお尻に寄せて!

おわりに

 下肢パターンは比較的ダイナミックな運動なので、上肢に比べると簡単。しかし、逆に治療者側も雑になりがちなので注意が必要である。

 また、ベッドからはみ出るものもあるので、ベッドの安定性など注意が必要。

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