評価と治療

PNFの基盤について:PNFの基本的原理と基本的手段

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 PNFコンセプトを学ぶ際重要なのは、手技ではなくコンセプトとして捉えることである。

 そして、そのコンセプトを分かりやすく示しているのが以下の図だ。

PNF

 今回は、PNFコンセプトの中の基本的原理と基本的手段について復習した内容をシェアしたいと思う。

基本的原理とは

 基本的原理とは『外受容刺激』と『固有受容刺激』のことで、これら刺激を用いて治療に当たるというのがPNFの基本的な原理であるという意味である。

外受容刺激とは?

 外受容刺激とはは以下の3つの感覚刺激のことをいう。

  1. 触覚刺激
  2. 聴覚刺激
  3. 視覚刺激

 触覚刺激はセラピストがクライアントにタッチする(マニュアルコンタクト)度に入る刺激である。特にPNFでは、クライアントに与える触覚刺激をクライアントに与えることで運動を促通する。

 触り方一つでクライアントの運動は変化する。

 虫様筋握りにて、クライアントに痛みを与えず、心地良い触れ方を意識する必要がある。

参考エントリー:理学療法士・作業療法士に知っておいてほしい患者の触り方

 聴覚刺激は口頭指示(バーバルコマンド)。うるさいのはダメだし、聞こえにくいのもダメ。方言などにも配慮しながら、分かりやすい表現をしなければならない。クライアントの運動を促す声掛けを常に意識しよう。

 また、運動制御にも大きな役割を果たしている。運動の手がかり(情報)を見出し

 視覚刺激は運動の学習や運動の促通に役立つ。また、頭頸部のコントロールには視覚は重要だし、クライアントに運動方向を促すにも重要。視覚刺激を上手く使うことが治療戦略を立てやすくするのは言うまでもないだろう。

固有受容刺激とは?

 筋、筋膜、腱、靭帯、関節内、前庭器官にある受容器で感知し、関節の位置、身体の動きを知る感覚だ。また、努力感や緊張力、重量など筋出力に関する感覚、筋収縮のタイミングに関する感覚、姿勢や身体図式に関する感覚がこれである。

 特にPNFでは以下の3つを治療の原理として利用する。

  1. 抵抗
  2. 関節刺激(圧縮と牽引)
  3. エロンゲーションと伸張刺激

 PNFと言えば抵抗と思われている方も直接学んだことのない人には多いと思う。そして、抵抗というのは運動を阻害することよる筋力訓練だと思っている人も多いだろう。しかし、PNFで活用する抵抗はクライアントの運動を誘導するものであり、運動認識を助けるためのものである。

 であるから、クライアントにとって心地よい最適なものである必要があるのだ。クライアントが独力で運動するよりも抵抗のある中で運動した方がやりやすいという状況を作れるか?がポイントである。

 関節刺激には牽引と圧縮がある。牽引は筋活動を促し、関節運動を促進させる目的で使用し、圧縮は長軸方向に対して行い、特に同時収縮の促通し安定性の向上を目的に行う。PNFでは以下の3つの圧縮が用いられる。

  1. Slow approximation
  2. Quick approximation
  3. Maintained approximation

 これらを駆使してクライアントのスタビリティを促すのが圧縮である。

 エロンゲーション、伸張刺激の目的は筋収縮を増大させることが目的だ。痛みがある場合や骨に問題がある場合は禁忌だが、筋収縮を促したい場合には多用するする筋の性質である。

基本的手順とは?

 PNFの基本的手順は以下の通り。

  1. パターン Patterns
  2. タイミング Timing
  3. 放散 irradiation
  4. 強化・加重 Reinforcement/Summation
  5. ボディメカニクス Body mechanics

パターンとは?

 筋運動は主動筋だけで起こるのではなく、共同筋と共に働く。そのことで運動連鎖が起こりやすくなりより強く機能的な運動となる。PNFのパターンは、対角線的・螺旋的な運動である。これはヒトが日常生活やスポーツにおいてそのような動き方をしているからだ。

ued1-1452470556E2050E2B3

パターンはグルーブ(the groove)に沿って動き、その方向は運動に関わる全ての筋群が適切に伸張されるような方向である。

タイミングとは?

 タイミングとは、調和の取れた一連の筋収縮の順序のことを言う。効率の良い動作とは遠位から近いに向かって起こる。これをノーマルタイミングという。

 治療的に使うとき、『強調のタイミング』を用いる。パターンの中で共同筋を上手く働かせたい時(共同筋が弱い時)、その筋をより強調して行う。

放散とは?

 放散とは、刺激に対する反応の拡がりである。放散による筋活動は強い部分から弱い部分へと派生し、筋連鎖が起こり強調された金が強く収縮する。痛みがある場合にも放散は有効な手段である。

 最適な放散は、最適な抵抗を与え運動がグルーブ上にあるときに起こりやすいのが特徴だ。

強化(加重)とは

 強化とは、その運動がより強化される事を言う。つまり、運動学習が促進されるということ。セラピストはより強い筋群に対して抵抗を与えることで、より弱い部分を強化しようと働きかける。そのことで共同筋群の活動による筋収縮の強化を得ることができる。目的は加重であり、加重には以下の2つがある。

  1. 時間的加重
  2. 空間的加重

 この2つを用いて筋の活動を強化していく。

ボディメカニクスとは?

 ボディメカニクスとは、セラピストの位置、動き方、動かし方のことである。セラピストがより良い位置でアプローチすることによりクライアントにより良い反応が生まれる。クライアントの運動のグルーブ上に身をおくことでクライアントのより良い反応を促すことができる。

おわりに

 PNFでは、感覚刺激を用いた治療原理を有しており、パターンなどの手段を用いて治療に当たる。

 PNF=パターンだという認識の人も少なくないようだが、パターンはあくまでも手段の1つであるという事がこれでわかって頂けるのではないだろうか。

 一番最初に示した表から、対峙するクライアントにとって最も最適な手段を選択することこそ最も重要な事と言えるだろう。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします