こんにちは。作業療法士の中野です。
今回は、PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation:固有受容性神経筋促通法)についてボクが学んだ事をまとめたいと思う。
これからPNFを学びたい人や、復習したい人からPNFって何やねん?ってレベルの方まで参考にして頂ければ幸いだ。
PNFとは
PNF(固有受容性神経筋促通法)は、1945年に医師で神経生理学者のDr.Herman Kabatと理学療法士のMargaret Knottによって開発された治療手技である。手技として開発されているが、現在はPNFは手技ではなく、コンセプト(概念)であるとされている。
ボク達人間の身体は、脳を中心として様々な機能を有している。その機能を探求、刺激し導き出すことがPNFコンセプトの目的だ。その刺激による反応を促していくことこそ治療の目的となる。
人間の基本的な原理をベースに開発されているので、人の持つ当たり前の能力を最も当たり前の形で引き出す治療だと言えるだろう。
1.PNFの理論的背景にあるSherringtonの三原則について
PNFの背景にはSherrington博士の発見した原理が用いられている。PNFを理解するにはこの背景を知っておく必要があると。
PNFコンセプト(全体像)について
PNFの基盤(コンセプトの全体像)は上の図のように表される。
まずはPNFの概要をここで説明する。
1.PNFの基盤について:PNFの哲学
ボクはPNFを学ぶ上で一番重要なのが哲学(上図の左上)の理解だと思っている。
哲学を知らずして、何もできることはない。
PNFは各コースでも、勉強会でも何度もこの哲学を復讐する機会が設けられているし、時代に合わせて変化もしている。
PNFを知りたければ、まずは哲学の理解が必須である。
2.PNFのテクニックとは、問題解決手段である
治し方を知らない若い療法士はどうしてもテクニック(上図左下)を学びたくなる。もちろん、テクニックも重要である。
しかし、テクニックとは何か?について知っておかなければそのテクニックも無意味なものとなってしまう。
ここではテクニックの本質を知ると共に、各テクニックの解説をしている。
脳血流量が示す効果的なPNFテクニックとは?
テクニックと脳血流量の変化を示した最新知見を研修会で教えてもらったのでそのご紹介。まだ論文にはなっていない非公式なものだけど、臨床使用においては何かしらヒントになるかと思う。
3.PNFの基盤について:基本的原理と基本的手段
基本原理と基本的手段(上図の右側)。
基本原理とは、PNFにおける治療の原理である。人の感覚受容器の特徴を理解し治療に用いるのだ。
そして、基本的手段とは基本的原理である感覚刺激をどのように治療に用いるか?という方法論である。
これらを理解することで、クリニカルリーズニングの質が高まると言えるだろう。
4.基本的原理と基本的手段の詳細
以下は、基本的原理と基本的手段の詳細についてまとめたものである。
必要に応じて復習に用いて頂ければ幸いだ。
PNFにおけるパターンについて(総論)
PNFのパターンについての総論をまとめたもの。
個々のパターンの学習の前に、そもそもパターンとは何ぞや?を理解するためのエントリーである。
PNFにおける上肢パターンの種類・方法・注意点など
PNFにおける上肢パターン。
それぞれの運動の特徴などをまとめているので、パターンの練習に使って欲しい。
PNFにおける下肢パターンの種類・方法・注意点など
PNFにおける下肢パターン。
上肢同様それぞれの運動の特徴などをまとめているので、パターンの練習に使って頂きたい。
PNFにおける肩甲帯/骨盤帯パターンの種類・方法・注意点など
肩甲帯・骨盤帯の安定性・運動性は姿勢保持や多くの運動、更には歩行、ADLに深く関与している。
肩甲帯・骨盤帯の治療は、クライアントの治療全体に大きな影響を及ぼすので是非とも多様して頂きたいパターンである。
復習・練習の参考にして頂ければと思う。
PNFにおける頭頸部パターンの種類・方法・注意点など
頭部は姿勢コントロールに大きな影響を与えているの。その頭部を体幹の上で安定させるためには頸部の安定性が必要となる。
頭頸部の安定がないクライアントにはまずここから始めなければならないし、様々なADLにおいても頭頸部のパターンは使えるので応用して頂ければ幸いだ。
PNFにおける体幹パターンの種類・方法・注意点など
体幹はパターンは、クライアントの状態によって方法を変えながら、提供する必要がある。
まずは、その原型についてまとめているので参考にして頂きたい。
PNFで両側性パターンを用いる理由とは?
PNFのパターンの中には両側で行うものがある。
復習したい人向けにまとめているので、興味のある方は読んでみて欲しい。
PNFでスラストパターンを必要とする理由とは?
スラストパターンは通常パターンの異型版であり、アドバンスコース以上で習得する内容だ。
スラストパターンについて復習したい人は読んでみて欲しい。
PNFの学ぶ理由と方法
以下、PNFを学ぶ目的と、その学び方についてまとめている。
1.作業療法士がPNFを一からガッツリ学ぶべき理由
PNFといえば理学療法士というイメージがあると思う。事実、コースに参加しても参加者の大半が理学療法士である。ボクは作業療法士としてポツン…とたたずんでいる。
理学療法士は養成校でも学ぶだろうから、その価値については分かっていると思う。
でも、作業療法士にもPNFも学ぶ価値があるのだ。作業療法士にはその価値を知ってほしい。
2.似非PNFに要注意!PNFを学ぶ為にどこを選ぶか?
PNFはコンセプトが大切である。だが、コンセプトあり気の技術も大切だ。
技術を学ばなければコンセプトを体現することはできないのだが、PNFを学ぶに当たり、どこで学べば良いのか?という事が重要だ。
少なくとも似非PNFにだまされないようにして欲しい。
何故PNFは、エビデンスが無いと言われながらも70年以上も続いているのか?
ボバースにしてもPNFにしてもエビデンスは乏しいと言われている。
しかし、ボバースもPNFもコースが開催されれば常に満員、キャンセル待ちとなる。
何故そんなに流行っているのだろう。
1.理学・作業療法でエビデンスレベルの高い研究は難しい件
特に徒手療法においてはエビデンスレベルの高い研究は不可能だと言い切っても良いだろう。
何故か。人が触った時点で療法士とクライアント間に治療効果以外の何かしらの影響が出るからである。
だから、ボバースにしてもPNFにしてもエビデンスレベルは上がらない。
100回しか経験の無い療法士と10000回以上練習した療法士では間違いなく技術に差はあるだろうし、手の温度によっても変わる。
エビデンスレベルが低い場合、大切なのは『自己再現性(少なくとも自分の中では再現性がある状態)』を作ることが重要だと考えている。だから、ボバースやPNFが…云々ではなく、自分がどのように用いるかが重要なのだ。
2.ボバース法やPNFの神経促通手技が今も残り、流行る理由
エビデンスが無いだ、なんだかんだ言われているPNFやボバースだけど、人気は衰えることがない。
その理由はコースに出てみれば一目瞭然なのだけど、コースに出てその理由が分かったのでまとめている。
参考文献
おわりに
今後も、勉強を深めたら書き足していくので良かったら参考にしてみて欲しい。
ってことで、今回はここまで。ほな、また。