特別支援教育

小児リハビリテーションを考える際の3つの視点

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 子どものリハビリテーションに関わる際のマニュアルを絶賛作成中である。

 MTDLP(生活行為向上マネジメント)をベースに子どもに関わる際のポイントをまとめているのだ。

参考エントリー:発達障害領域への生活行為向上マネジメントの応用を検討した

 で、今回は子どもに関わる上で重要な視点を書きたいと思う。

1.発達支援

 子どもと関わる時は、子どもの発達を促進するという視点が重要である。これは当然だ。全ての療法士が当然だと思って取り組んでいる。

 しかし、現場を見ていて思うのが本当に発達支援を行おうとしているのか?という疑問がある。発達段階を無視して遊んでいる療法士が沢山いるからだ。

 発達支援とは、発達段階に合わせて必要な経験ができるように情報提供することである。もちろん遊びの中でだ。

 もちろんその為には正常発達についてしっかり知っておかなければいけない。

参考エントリー:療法士が正常発達を学ぶにはコレ!「発達を学ぶ」の感想

2.生活支援

 赤ちゃんにも子どもにも生活はある。食事をしなければ生きていけないし、入浴や着替えをしなければ不快だし、気持よく眠れなければ死にも直結する。

 月齢が低ければ、子ども達と生活を共にする家族に対してどのように育児するか?という視点をお伝えすることが重要になってくるし、月齢が高くなってくると如何にして自分でできるようにしていくか?が重要。

 重度な身体障害があれば、どうすれば介助しやすいか?なんて視点も重要になってくる。

 発達段階やライフステージに応じた必要事項を知っておく必要がある。もちろん、こちらも正常発達ではどうか?を知っておかなければいけない。

 2歳の子どもにハサミのワークはあり得ないし、お箸の練習もあり得ない。うちの子も2歳だが、まだまだ色んな事ができないのが普通である。

 両親は障害があるから無理という視点になってしまう。これはお兄ちゃんやお姉ちゃんがいても一緒。上の子の発達なんて忘れてしまっているのが普通なのだ。療法士はしっかり正常発達に即した関わりを提供してく必要があるし、両親への説明も必要と言えるだろう。

3.家族支援

 子どもは一人では生きていけない。まぁ、そんな事を言い始めれば人は誰も一人では生きていけないのだが…。

 大人は一人で暮らすことはできる。障害を持っていても独居の人は沢山いる。しかし、子どもは健常であっても一人で生活できない。あくまで、家族の中の一存在として見るのが当然だ。

 その家族全体を支援する事が重要なのだが、まず一番に考えるべきはキーパーソンとなるお母さんの支援だろう。

 「マタニティブルー」や「産後うつ」なんて言葉も存在するくらい、妊娠出産というのは女性にとっての一大事業だ。それを終えても今度は育児に追われる日々。育児ノイローゼになる人もいて、虐待などの問題も起こるほど大変な事なのだ。

 障がい児の母親は、その大変な時期に『障がい児の母親』というレッテルを貼られてしまう。育児に加えて『介護』という仕事を予告なく押し付けられてしまう。旦那さんの理解がなければ、(この期に及んで)妻の責任だと言う輩もいるかもしれない。

 このようなストレスと育児&介護のダブルケアにさらされる母親は本当に弱ってしまうだろう。ボク達の仕事はまず、母親がしっかりと育児をしていける状態を作ってあげることが重要だ。

 そして、旦那さんへの理解と参加。育児とは一人で行うものではない。ボクも忙しさにかまけて参加割合が少ないが、夫婦で行うものである。如何に旦那さんへの理解を得て参加を促していけるか?というのは健全な家族形成や母親の負担軽減という2つの意味で重要である。

 更に忘れてはいけないのが、兄弟児への支援である。障がい児が生まれると否応なくお兄ちゃん、お姉ちゃんは後回しになってしまう。これって健常児でも一緒なんだけど、お兄ちゃん、お姉ちゃんは口には出さずとも辛い思いをする。

 第1子に見られる特徴ってのが研究されているらしいけど、空気を読む、人に気を使いすぎるなんていう特徴があるみたい。(もちろん、それを長所としても使えるんだけどね。)

 障がい児の兄や姉になった事が、彼らの人生において長所を作るきっかけになるような支援をしていく必要があるだろう。

 ボクの書いている文字数だけ見てもこの『健全な家族を作る為の支援』というのが如何に重要か分かって頂けるのではないだろうか。

番外編

 上記3つは子どものリハビリテーションに関わる上では必須の考えである。

 そして、もう一つ忘れてはいけないことがある。(番外編にして申し訳ない)

 それは、子どもってのは『地域で育てる』という視点である。

 子どもは生まれた瞬間から家族以外の色んな人と関わりをもって成長していく。それは、障がいがあろうと無かろうと同じである。

 地域包括ケアシステムというのは何も高齢者に限った話ではない。地域で子どもを育てるという部分においても導入される考えである。

小児在宅医療連携拠点事業

 地域で子どもを育てるという仕組みが国家レベルで検討されている

 ボク達は子どもたちの成長を支援するうちの小さな一つのパーツであることを忘れてはいけない。しかし、そのパーツがなければ子ども達への支援は完成しないことも合わせて知っておく必要があるだろう。

 自分にできることを広い視点で捉え関わっていくことが重要だ。

おわりに

 成人のリハビリテーションに携わっていると、どうしても回復とか、よりよい生活とかって視点になる。

 子どものリハで重要なことは、『発達』であり、『成長』なのだ。ここの理解がなければトンチンカンな関わりとなってしまうだろう。

 ここで挙げた内容を忘れず関われば、大きな間違いになることはないと考えている。

 是非ともこのベースから逸れること無く関わっていってもらえれば幸いだ。

 ってことで、今回はここまで。ほな、また。

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