評価と治療

脳卒中後片麻痺をどう定義し、治療するか?

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 障害をどう定義するか?なんて事は治療に関係ないと思うだろうか?

 ボクはめちゃめちゃ関係あると思っている。

 だから、自分なりに色々定義している。例えば、全ての障害は『行動障害』だと捉えている。

 何かしらの原因によって『行動』が『制限』されている状態だと言えるだろう。だから、逆説的に何らかの行動が制限されている状態がある人はボク達の対象だと言えるでしょ?

 例えば極端な話だが『勇気がでなくて(理由)』『起業できない(行動制限)』人もボク達のクライアントなわけ。

 だから、ボクは広く大きな視野を持って仕事したいなぁと思う。

 このように、定義を変えることで視野を変えたり、アプローチの引き出しを増やせるのだ。

 そして、今回は脳卒中後の片麻痺について再定義することでアプローチの幅を増やす提案をしたいと思う。

片麻痺とは?

 片麻痺とは?と問われたらあなたはどういう定義をされるだろうか。

 筋緊張の異常?感覚の異常?色々あると思うし、どれも正解だろう。

 もちろん個々の差もある。クライアントによって特に重篤な機能障害は変わってくるだろうから、クライアントによって定義が変わる事になるだろう。

 クライアントによって変わってしまうものは定義ではない。そこで、どのクライアントにも当てはまるものを設定するべきだろう。

 ボクは『身体図式の障害』と捉えれば、良いんじゃないかなと思っている。

 脳卒中後の片麻痺を身体図式の障害と捉えたら、どのようなアプローチが考えられるだろうか。

何故、身体図式が障害されるのか?

 身体図式とは、身体に関する様々な学習によって成り立っている。生まれたての赤ちゃんは身体図式がほとんど成り立っていない。羊水に(多くの場合)頭を下にして屈曲優位の姿勢で浮いていたからだ。

 だから、赤ちゃんは屈曲優位の姿勢で過ごす。赤ちゃんにとってそれが普通という認識だからだ。

 脳卒中後片麻痺になると、少なからず運動が変わる。運動が変わると記憶が塗り替えられ、身体図式が変わるのである。

脳卒中後片麻痺の身体図式に対するアプローチ

 脳卒中患者の身体図式は、発症から時間が経てば経つほど塗り替えられる。逆に発症直後は障害されていない。

 だから、急性期においては『身体図式を失わせない』ということが重要なアプローチとなる。

 可能な限り発症前と同様の感覚刺激を提供し、自分の身体への認識を失わない為の手助けが必要になる。

 回復期では、クライアントが異常な身体図式を獲得しないようにすべきである。自分で動けるようになると、様々な代償動作によって異常な身体図式を身につけてしまう。

 だから、なるだけ正しい方法で、あるべき身体図式へ戻していく手助けをしていかなければならない。

 慢性期(生活期)では、もしかしたら既に異常な身体図式が確立しているケースも多いだろう。寝返りの方法、歩様、食事の仕方まで全て自分オリジナルの方法で覚えてしまっているかもしれない。

 療法士は、その異常な身体図式を塗り替える必要があるかもしれない。異常な身体図式の為に、二次障害のリスクが高まっていたり、QOLの低下を招いている可能性があるからである。

 何とかしようと思って努力した結果が、自分の人生の質を下げる事態というのは悲劇であり、こういう悲劇を生まないためにも急性期・回復期での療法士の役割というのは非常に重要だとボクは思っている。

おわりに

 これは一つの例である。

 しかし、このように定義してみないとアプローチの方向性は見えてこない。

 脳卒中後の片麻痺においては『身体図式の障害』こそが象徴的な障害だとボクは捉えているので、今回はこういう定義において、どのようにアプローチしていくか?というのを考えてみた。

 もちろんこれが全てではない。

 だけど。クライアントに対してアプローチしていくには、まずそのクライアントをどのように定義するか?から始めなければ進まないんじゃないかな?と思った次第。

 恐らくみんなやってると思うんだけど、こうやって明文化している人って少ないかなって思ったのでシェアしてみた。ってことで、今日はここまで。ほな、また。

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