哲学・科学・理論

理学・作業療法における運動学習の基本概念について

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 理学・作業療法士として働いている以上、運動制御と運動学習についてからは逃げられはしない。

 これは作業療法士として精神科に勤める作業療法士にも同じことが言える。

 何故なら、精神障害者の行動障害も広い意味での運動障害の一種と言えるからだ。運動が行為を作るという意味では、分かるよね?

 つまりは全ての療法士において運動学習理論は必須の考え方だ。ってことで、今日は運動学習の基本のキについて書きたいと思う。

運動学習とは?

 巧みな課題遂行の能力を比較的永続的する変化に導くような実践あるいは経験させる関係する一連の過程である。(引用元:基礎運動学

 一連の過程とは、後で説明する運動学習のプロセスのことであり、認知段階→連合段階→自動段階のことである。

 また、運動学習とは、『運動課題の練習により、客観的または主観的にパフォーマンスが向上すること』と定義もされている。(引用元:身体運動学―知覚・認知からのメッセージ

 運動学習の言葉の意味を如実に表わしているのは後者、運動学習のリハへの応用を表わしているのが前者という印象を個人的には持つ。

運動学習のプロセス

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 前に書いた通り、運動学習のプロセスはこの図の通りだ。

 以下、詳細を説明する。ボクは分かりやすいようにクライアントにも『自転車に乗れるようになる過程』としてお伝えしているので、ここでもそれを書きたいと思う。

1.認知段階

 自転車に乗れるようになるための運動学習における『認知段階』には以下のような項目が挙げられるだろう。

  • 自転車の機能と構造の理解している
  • 自転車への乗り方の情報知っている
  • 補助を利用して乗れる状態
  • 数メートルは自分で乗れる状態

 他にもあるかもしれないが、取り敢えずこんなところ。

 まずは、『自転車に乗る』という課題の理解が必要である。課題を明確に知り、戦略を立て、実践する。意識や注意を必要とし様々な戦略のバリエーションを試すことが重要だ。繰り返しの中での試行錯誤が重要だ。

2.連合段階

 自転車に乗れるようになる過程では以下のような項目が挙げられる。

  • ぎこちなさが残るが、安定して乗れている状態
  • 認知段階ほど意識や注意を必要としない
  • パフォーマンスは安定してくる=省エネ運転が可能になる

 認知段階がパフォーマンス学習の段階とするならば、連合段階はパフォーマンス調整の段階と言える。

 パフォーマンスの精密性を向上させ、目をつむっていても(様々な情報入力を遮断しても)乗れるようになるための段階。

3.自動段階

自転車に乗れるようになる過程においては以下のような項目が挙げられる。

  • 目をつむっていても乗れる
  • ボーっとしている間に目的地に到着している
  • 疲労の少ない乗り方ができる

 意識や集中力を殆ど必要とせず、複合的な課題が可能となる。(ex.違法だけどスマホを操作しながらとか傘をさしながらとか…)

 省エネな動作が可能で連合段階までの完成度と比べると、疲労度が下がる。

 およそ8000回~10000回の反復練習によって獲得できるとされている。

運動学習のプロセスを再考

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 この運動学習のプロセスで考えると、学習は一方方向的なイメージが出てくる。

 でも、そうじゃないと思うんだよね。

 より高いパフォーマンスを目指すのであれば全てのプロセスを行き来してパフォーマンスを高めると考えられる。だから、ボクは以下のような図になるんじゃないかなと思っている。

motorleaningdai

 それぞれの項目が双方向的に関連して、より高いパフォーマンスとなっていく。

 メジャーリーガーのイチロー選手がオリックス時代の初代振り子打法から、現在のような形に変化しているのも、このような双方向的な関係があってのことだと思う。

 クライアントへのアプローチもこの考え方が重要だろう。

運動学習のプロセスと注意レベル

引用元:脳卒中リハビリの勉強部屋
引用元:脳卒中リハビリの勉強部屋

 上のプロセスでも書いたが、運動学習のプロセスと注意力は切っても切れない関係にある。

 本も出ているくらいにね。

 ま、表の通りなんだけど、認知段階ではより注意力(集中力)を必要とし、自動段階では殆ど必要しなくなるってことだ。

 当たり前のことなんだけど、こういう知識も運動学習を知っていく上では重要だ。

運動学習の神経機序

引用元:運動学習はここまで分かった
引用元:運動学習はここまで分かった

 詳しくはボクの参考文献である『運動学習はここまで分かった』をご参照あれ。

 ボクの解説は必要ないなぁって感じ。苦笑

 ボクはこの辺の事も含めて再学習しようと思って、この論文の著者でもある森岡氏の研修を受けたいと思っている。今年度分に関しては12分で申込終了したらしいから、参加したい人は申込時間にスタンバって参加してみて欲しい。多分コレが日本で最高峰の研修だと思うよ。

おわりに

 まだまだ未知なところが多い運動制御と運動学習だ。

 しかしながら、今療法士が知っておかなければいけない理論だろう。

 是非とも療法士各位には勉強して頂きたい。このブログがそのきっかけになれば幸いだ。

 ってことで、今日はここまで。ほな、また。

追伸…運動学習をベースにしたPNFやボバースコンセプトに関するエントリーまとめました

 運動学習に基づくアプローチであるPNFやボバースコンセプトに関する内容をまとめたので、他にも知りたい方は是非参考にして頂きたい。

参考エントリー:

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