評価と治療

新人理学・作業療法士や学生が知っておくべき評価の流れとは

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 ゴールデンウィーク終わりましたなぁ。ま、回復期リハビリテーション病院なんかに勤めている人にはゴールデンウィークなんて無かったんだろうけど…。

 ボクは田舎へ帰省し、のんびり過ごしていた。そしてまた太った…。ダメだなぁこのループ。今日からシェイプアップしていこうと思う。

 さてさて、ゴールデンウィーク中ボクは、理学・作業療法の基本について色々考えていた。基本って一番大事だから時折振り返ることが重要なんだ。

 今日はそんなボクの振り返りをシェアしようと思う。

評価の流れ

 ボクは通常以下のような流れで評価する。

  1. 事前情報の収集
  2. 情報収集(本人・家族)
  3. 能力の把握
  4. 機能制限の把握
  5. 治療戦略と予後予測
  6. 目標設定
  7. 治療とアセスメント

 以下、詳細を解説する。

1.事前情報の収集

 事前情報は病院にいても、地域にいても様々な形態で取得できるクライアントに関する情報だ。クライアントと対峙する前に出来る限りの情報を収集する。注意しなければ行けない点は、この情報でクライアントと対峙した時に先入観を持たないことだ。

 事前の情報からクライアントの状態や予後を予測することは非常に重要な仕事である。目標設定までのスピードを上げるため、退院までに出来ることの量を増やすには必要不可欠な仕事である。しかし、それだけに目を奪われて現状のクライアントを歪めて見てしまう恐れもあるので、事前情報は事前情報、今の情報は今の情報としてしっかり分けて見る必要があるだろう。

 ちなみに、ボクが特に重要視している項目については別エントリーを参照のこと。

参考エントリー:基本情報を無視するな!予後予測に必要な3項目とは?

2.情報収集(本人・家族)

 本人・家族からの情報収集において必要なのは観察力・面接力である。ボクは個人的に療法士にとって一番重要なスキルがこの2つの能力であると思っていて、ボク自身この能力を高めるために色々試行錯誤し、またこの試行錯誤した内容をお伝えしようと思っている。

 観察・面接の具体的な方法や内容については別のエントリーを参照して頂きたいのだが、この基本的スキルがなければ詳細で正確な情報収集はできず、その後の治療戦略に大きな間違いを起こす恐れが出てくる。

 まずは、しっかりとクライアント本人、そして家族の事を把握するようにしよう。

参考エントリー:

3.能力の把握

 能力の把握、そして次に紹介する機能制限の把握も、大きく分類すると情報収集に当てはまるのだと思うが、ボク達の介入において特に重要なポイントになると思ったのであえて別項目とした。

 クライアントの現状、ニーズ、家族の希望、退院後(あるいは一定の期間後)の生活、環境、性格などなどからクライアントのゴールを何となく想像するだろう。しかし、この時点ではまだクライアントの目標設定はできない。

 まず、現状クライアントがどの程度の作業遂行能力があるか?について分析する。(※作業遂行能力ってのはPTさんには一般的じゃない言葉なのかな?ADL能力とか、目標達成能力とかに置き換えてもらっても良いと思うんだけど、個人的には作業全般における能力って意味合いが持たせられる作業遂行能力を使うのが好き)

 病院でのリハだったら基本的にBIやFIMが指標になるかもしれないし、これから(特にOT)は生活行為向上マネジメントで評価していくことになるだろう。

 クライアントが現在どんな能力を持っていて、どんな能力がないのか?それを把握する必要がある。

 その為にはまず『活動分析』そして、当該クライアントがそのどの段階までは可能で、どの段階で躓いているのかを把握しよう。

4.機能制限の把握

 能力の把握をしたら、その原因を追求する。基本的には疾患によって、あるいは代償的に作られた機能制限が原因になってくる。もちろん個人因子や環境因子も合わせて評価する必要があると思うが、原疾患を持っていない健常者の作業遂行能力を評価しているわけじゃないから療法士として重要なのは機能制限の把握である。

 これは環境因子や個人因子を評価しなくて良いってことじゃないよ。環境因子や個人因子への介入ってのはあくまで最終手段というか、間接的介入なので、まずは直接的介入が可能かどうかを知るために機能制限について把握しようねって意味ね。(※こういう事書いておかないと、極端に把握する人がいるから面倒なんだよね…。お前はOTじゃなくPTか?とかね…苦笑)

5.治療戦略と予後予測

 把握した機能制限は治療可能か?どのくらいの期間で、どの程度まで回復するか?これを把握しなければ目標設定ができない。

 エビデンス、自分の能力、クライアントの状態から治療法を選択し、それを提供した場合どの程度まで回復するか?という仮説を立てる。

 その方法がクライアントや家族のニーズとマッチする(あるいは折り合いがつく)のであれば、そのままゴール設定へと進む。

 もし、ニーズと合致しないなら、機能回復を促しつつ、機能回復以外の方法でも当該作業を遂行させる術を覚えて帰ってもらわなくてはいけない。

 自分がどこまで出来るか?クライアントはどこまでできるようになるか?その把握をした上で目標設定を行う。

参考エントリー:理学・作業療法士は参加を目標にして機能面へもアプローチすべし

6.目標設定

 ここまで得てきた情報や予測を元にクライアントの目標を立てる。

 目標はクライアントのアクティブなものでなくてはならない。であるから、例えばカルテへの記述はクライアントの言葉で書くべきだ。

 そして、その目標はRUMBAの法則を用いて考えると非常に詳細になり、クライアント自身が自らの目標を意識しやすく、且つリハに取り組みやすいと言えるだろう。

 RUMBAの法則や目標設定の詳細に関しては別のエントリーを参照にされたし。

参考エントリー:目標設定の大切さと、その具体的方法について

対面評価と非対面評価

 上記流れにおいて、事前情報の収集は非対面評価で、その後は全て対面評価となる。もちろん家屋評価なんかはクライアントと直接対面はしないが、家族や環境と対面しているという意味では対面評価の一つと捉えても良いだろう。

 非対面評価(つまり、事前情報の収集)に関しては、その文字や画像からの情報収集のみだが、対面評価においては、その間常に観察と面接が繰り返されていることを覚えておかなければならない。

 クライアントや家族、環境と対面している時は常に観察しているし、面接しているということだ。当然である。

 流れとして2番目に持ってきた本人や家族への情報収集というのは常に起こっているし、情報収集したその次の瞬間に能力の評価、機能の評価をしなければならず、瞬間的に治療戦略と予後予測まで行わなければならない。

 毎瞬毎瞬、状況は変わる。「あ、こうかも。いや、こんなことが観察されたからこうかも。いや違う、…。」だから、特に初期の対面評価において療法士の頭のなかは常に動いている状態だ。

 その作業をしながら、クライアントとのコミュニケーションも取りながら…となるので非常に忙しい。

 だから、学生さんや新人セラピストは、客観的に収集した情報を列挙し、そこから考えられることを次の日に試すって感じでやっていく。学生の時SOAPでレポート書くなんて無意味じゃね?なんて思ってたけど、最初からSOAPの思考回路を頭のなかでできない学生や新人にとってやっぱりSOAPをベースに書くって事は重要なんだろうなぁと思った。

おわりに

 評価の流れって学生の時に『作業療法評価学』って授業で習ったけど、今回ここでお伝えした内容は授業の内容よりは実践編な感じかな。『検査・測定』とかの事を書いてないし。でも、書いていないだけで能力の把握や機能制限の把握って部分の中で必要に応じてやるのは忘れないでね?

 もちろん、回復期では必ずFIMをとるし、小児なら小児なりの、精神科だったら精神科なりの評価バッテリーを用いて情報収集の一助にすると思うけど、それらは本人や家族への情報収集の一貫だと捉えてね。ボクは評価で検査や測定をしないってわけではないのであしからず。データをとらなきゃ治療効果の判定もできないし、目標設定もできないので、必ずデータは取るよ。

 でも、一番重要なのが『観察と面接』だ。これができずに評価バッテリーだけ取っていても評価したとは言えない。

 是非とも観察と面接の重要性だけは念頭においといて欲しい、ってことで、今日はここまで。ほな、また。

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