書評

故・今川忠男氏に捧ぐ!小児リハ従事者が読むべき書籍

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 いやぁ、ビビった。

 ボクはここ3年半、臨床から完全に離れていた。最近になってようやくリハビリ程度に復帰しているという状況だ。

 しかし、小児専門の訪問看護ステーションを立ち上げるに当たり、より臨床を身近に感じるようになってきた。

 立ち上げに当たり必要な事務的な事、お金の事に加え、徐々にリアルに臨床を捉え始めている。

 で、「そういえば、最近の今川先生の文献ってどないな具合なんだろう…」とググッてみてびっくり。昨年亡くなられていた。

 ボクが新卒で重症心障害児施設に入職し、その小児リハのイロハを教えてくれたのは今川先生だった。本当に多くの事を教わった。今のボクの知識は彼から出来上がっていて、彼で止まっている…。

 彼以上のの人を知らないし、これからどうしていけば良いのか…と少し途方にくれている…。とまぁ、そんなことを言っても仕方ないので、今日は今更ではあるが追悼の意を込めて、彼から学んだ一部を紹介しようと思う。

華麗な加齢を!

 『華麗な加齢を支援する』

 この考えはボクが重症心障害児施設で働いている頃から、そして『予防』という業界で働いている今でも大切にしているコンセプトだ。

 病院のリハなどではないが、療養施設や小児のリハを担当し長期間に渡り関係を保つ場合、ボク達はクライアントの加齢を共にすることになる。

 そしてその場合、ボク達の仕事はクライアントの加齢を如何に華麗にしていくか?が重要となるのだ。

 ボクは、クライアントに『いい年のとり方』をして欲しいと思いながらアプローチする。それは健常者を相手にしている今も一緒である。どんなハッピーな未来を築いてもらえるか?こそ、ボクのパワーの発揮しどころだと思っている。

 今川先生の論文で『華麗な加齢』っていう事をを見た時は「何ふざけているんだ?」と思ったが、今では恥ずかしげもなくこの言葉を色んな所で引用してしまっているボクがいる。

 小児に限らず、多くの療法士に持って欲しい視点だ。

発達障害児の新しい療育―こどもと家族とその未来のために

発達障害児の新しい療育―こどもと家族とその未来のために

24時間の姿勢ケア

 ボクは作業療法士としてのキャリアの3年を座位保持装置制作会社で過ごしている。

 理由は3つ。一つは起業するに当たり『企業で働くってどんな感じか?』を知るため。もう一つが小児のリハに携わり続けたかったから。そして、最後が24時間の姿勢ケアを実践したかったからだ。

 ボクは多くのクライアントの座位保持装置を業者として作ってきた。もうそりゃ、沢山の変形のある身体をまっすぐにしてきたとも言える。

 何故、それが大切か、何故、座位保持装置が必要か、クライアントの24時間の姿勢ケアって何だ?そんな事を考えながら過ごす日々だった。

 もちろん、クライアントの担当PTやOTにも今川先生のファンは沢山居た。重症心障害児施設の担当PTから『風に吹かれた股関節』をケアする姿勢保持具を依頼され作ったこともあった。

 その経験を活かして今後も小児リハに携わりたいと思っているわけだけど、姿勢を24時間の視点でケアすることの重要性を今川先生に教えてもらったのだ。

脳性まひ児の24時間姿勢ケア―The Chailey Approach to Postural Management

脳性まひ児の24時間姿勢ケア―The Chailey Approach to Postural Management

  • 作者: E.P. Teresa,M.C. Sandy,M.M. Catharine,M.G. Elizabeth,今川忠男
  • 出版社/メーカー: 三輪書店
  • 発売日: 2006/05/01
  • メディア: 大型本
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小児リハビリテーションへの取り組み方

 ボクは臨床での最初の2年間、数ヶ月に1回程度のペースではあったが今川忠男先生の研修会に参加させて頂く機会があった。

 症例検討ベースの研修会で、様々な治療法や、考え方を学ばせて頂いた。

 ボクの今ある小児リハへの考え方のベースは間違いなくこの期間に養われたものだと思う。

 で、大切なのは『機能的アプローチ』だ。

 子どもと家族が如何に機能的な生活を手に入れるために関わるか?どうすれば子どもと家族がハッピーになるか?そのためにボク達ができることは何なのか?

 その辺を全て教えてもらった気がする。もちろん今川先生の脳みそのほんの数%程度しか教えてもらえてないと思うけど、それでも貴重な経験をボクはさせて頂いたと思っている。

脳性まひ児と両親のための機能的治療アプローチ

脳性まひ児と両親のための機能的治療アプローチ

脳性麻痺児へのリハビリテーションの世界基準を知る

 今川先生の研修では良く海外の学会や研修会で使われたスライドが見られた。

 殆ど英語ですんなり理解することはできなかったが、解説を聞きながら「へぇ〜!」と思わされることが多々あった。

 今からでは少し古い本となるが、日本の基準から考えるとまだまだ先進的な内容が書かれた脳性麻痺の定義から治療、エビデンス、介入も出るまでを網羅した本である。

まとめ

 もちろん、もっといっぱい色々教わった。

 でも、大きく分けてこの4つ。そして、それは間違いじゃないと思う。今川先生が小児に携わる療法士に伝えたかったのはこの3つだったんじゃないかなぁと思う。

 もう10年以上前の書籍ではあるが、今川先生が晩年に書かれた(訳された)書籍はこの4つである。

 で、晩年の論文もこれら4つに関することばかりである。

 もちろん、時代は常に流れている。10年以上前のこの知識だけで今が何とかなるとは思っていない。しかし、この4つの基礎ができていない療法士が他に何を学んでも仕方ないんじゃないかなぁとも思う。

 若い療法士やこれから小児領域へ実習へ行く学生はまずこの3冊と、今川先生の論文は一通り読んでおくべきだろう。

 彼の言葉を否定する事ができる人は、きっと今、日本には存在しないのだから。

 ってことで、今回はこんな感じですんません。

 ほな、また。

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