評価と治療

ICFの”参加”へのアプローチをジョハリの窓から考えてみた

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 先日の訪問リハビリテーション実務者研修において、活動と参加がテーマだったものだから、今日はそのネタばっかり。

 でも、習った事ってほんのわずか。何故なら明確な定義がないのも事実だから。

 で、グループワークなんかしても大体みんな色々な意見を言う。全部間違いじゃないし、正解でもない。何故なら明確な定義がないから。

 そこで、多くの療法士にとって参考になるんじゃないかなぁという意見を持っているから紹介しようと思う。

活動と参加の違い

 活動と参加の違いについては、「作業療法学生が評価すべき「活動」と「参加」のこと」にて解説している。

 役割があるかないか?という事をボクの活動と参加の境目にしている。

 また、「小児(未就学児)の理学・作業療法おける活動と参加について」では「参加」を欲求に基づくものとしている。

 未就学児の欲求は『自己』にベクトルが向いていることが大半なのに対し、成人になると『他者』にベクトルが向いている。他者貢献や社会貢献の欲求がこれに当たる。もちろん、それらに伴い自分の地位や名誉が上がるという欲求もあるだろう。それら欲求には『役割』がついてまとう。

 役割を果たすから貢献することができて、自分も満足できるのだ。なので、大人の場合は『役割』があるかないか?という考え方で間違いないと思う。

 さて、ではその「参加」へアプローチするということはどういうことなのか?

目標設定は「参加」ベースであるべきだ

 療法士が立てる目標はクライアントの「参加」ベースであるべきだと思っている。

 『参加』に分類される作業こそ、クライアントの欲求から導き出されたものであり、クライアントをハッピーにする材料だからだ。

 もちろん、風呂やトイレに1人で行くというのも、1人で行けない人にとっては『自尊心』だったり『自己有能感』の欠如となる場合があって、その場合、風呂やトイレに1人で行けるようになることは本人の欲求ベースの「役割(家族に迷惑をかけないこと、自分の事は自分の仕事)」となるから目標となりうる。

 このように考えると、全ての目標が「参加」ベースになるべきだという主張も分かっていただけるのではないだろうか。

 で、ボク達は『参加』ベースの目標設定をしていくわけだが、具体的にどのようにすれば良いか。

本人にも家族にも見えないゴールを探す

 参加を目標とする為にボク達がやるべきことは次の3つだ。

  1. クライアントの事を知る
  2. 知り得た情報を元に優先順位を決める
  3. クライアントに同意を取り、協力してもらう

 そこで、一番重要なのが一番最初の知ること。ここを間違うと、その後全てが間違うからだ。

 で、目標となりうる「欲求」をジョハリの窓風に分類すると以下の4つにわけられる。

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  1. 本人も家族も気付いている欲求
  2. 本人しか気付いていない欲求(秘密の欲求)
  3. 家族しか知らない欲求(本人が忘れている・気付いていない欲求)
  4. 本人も家族も知らない欲求(まだ見ぬ欲求)

 上の図のように欲求を分類してみると、ボク達がアプローチすべき点が見えてくる。

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 1〜3の欲求は本人や家族としっかり関係を作って聞けば教えてもらえる。しかし、まだ見ぬ欲求は本人と家族への聴取では知り得ないのだ。

 ボク達はクライアントの事を知らなければ目標を設定できない。

 つまり、4の本人も家族も知らない欲求を引き出す必要があるのだ。

カウンセリングだけではなく、コーチングという技術が必要

 本人や家族が知っていることは聞けば良い。本人や家族が答えやすいようにカウンセリングという技術を使うし、これは多くの療法士が学校でも習うと思うし、できている人も多いと思う。

 できている人が少ないのがコーチング。

 できている人が少ないって書いたのは、「勉強したこと無い人」と分けたかったから。

 コーチングってのは勉強したからできるもんじゃない。何回も何回も練習してできるようになるもの。だけど、多くの研修会では情報としてのコーチングを教えるけど、実践としてコーチングを教えないから、結局できている人が少ないって事。

 これは、療法士業界に限らずに既に〇〇専門コーチとかって名乗っている人の中にもできていない人が多いから要注意ね。

 まともな人に習えるようしっかり情報収集してほしい。

 で、そのコーチングというスキルを使うことで、上で書いた4の本人も家族も知らない欲求というのが引き出されるのだ。

まとめ

 ボク達がクライアントにアプローチするためには目標が必要である。

 目標がなければ、何にアプローチすれば良いか分からないからだ。

 で、目標とすべきは、本人の欲求から生まれる「参加」ベースの作業である。これを目標にすることで、クライアント主体の、クライアントのハッピーの為のアプローチを提供することができる。

 そこで大切なのが、クライアントの本当の欲求とは何か?ということだが、実際の欲求を引き出すにはコーチングというスキルが必要で、現状多くのセラピストがまだ取得できていないと思う。

 だから、コーチングのスキルを身につけ、しっかりとクライアントの欲求を導けるようにならなければ本当に意味のあるアプローチを再現性高く提供することはできないだろう。

 まずは、信頼できるところでコーチングを学ぶ必要がありそうだ。

 ってところで、ほな、また。

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