雑記

理学療法士養成教員ボヤく!活動と参加を学生は何故忘れる?

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 ボクは先週末の土日を使って、大阪府訪問リハビリテーション振興会が主催する「訪問リハビリテーション実務者研修会」に参加していた。

 訪問リハビリテーションの集まりに参加すると少なからず起業家セラピストと意見交換ができるので、とても為になる。

 今回の研修のテーマは『フィジカルアセスメント』と『活動と参加』だった。

 活動と参加についてわざわざ説明はいらないだろう。フィジカルアセスメントとは、日本語で身体診察技法のことであり、問診、視診、触診、打診などを用いてクライアントの身体状況を把握する技術を言う。

 『病院でのリハと訪問リハの決定的な違いはリスク管理だ!』で書いたように、しっかりとリスク管理していこうと思うならばフィジカルアセスメントの能力はどれだけ高めても高めすぎることはない。

 さて、今回のテーマのもう一つが『活動と参加』であり、このエントリーのテーマも活動と参加である。

 そのプログラムの中に参加者数名とグループになり、活動と参加とは何ぞやっていうことにディスカッションする時間があった。そこで、一緒のグループになった方に養成校の教員をしている方がいらっしゃって、「学校ではしっかり教えているのに、いつのタイミングで忘れるんだろう…」とぼやかれていた。

 今回は、そのぼやきの本質について考察してみたのでシェアしようと思う。

活動と参加は全員が学び、実習でもICFを元にレポートを作るはずだけど…

 ボクは恐らくICIDHを元に実習のレポートを作成した最後の世代ではないか?と思う。実際には学校や地域によって多少のラグはあるのかもしれないが、ボクは学生の最後の年にはICFという完成形が出来上がっていたと思うので、恐らく多くの養成校が平成16年度の実習からICFを元にレポートを作成するという指導をしているはずだ。

 だから、ボク達は授業でしっかりとしたICFの内容を習っていない。ただ、ICIDHからICFへの過渡期がまるまる学生時代だったので、ICFに関するレポートを書かされたのは覚えている。だから、まともには習っていない。自己学習である。

 つまり、ボクより早くに理学・作業療法士免許を取得している先輩方に関しては全く習っていないのが事実だと思う。

 いつ忘れてしまうのか?の答えはこの辺りにありそうである。

やまだリハビリテーション研究所の山田先生の見解

 この話をしているとき、やまだリハビリテーション研究所の山田先生が通りかかってボソッと一言おっしゃった。

 「(学生が活動と参加を忘れてしまう原因について)そりゃ、実習か最初に務めた病院のせいやろぉ」

 ボクも同意する。

 スーパーバイザーや就職先の上司がICFを知らない、ICFで考える癖がついていないから、ICIDHで指導するのだ。

 つまりは、密接に関わる人間に問題があるのだろう。だが、それが全てスーパーバイザーや上司のせいだとも思わない。もっと深い問題があるように思う。

療法士は国の方針を軽視しすぎているのでは?

 医療・介護においてリハビリテーションは『活動と参加』に焦点を当てなさいと様々な媒体で明記されている。

 活動と参加にアプローチすることこそ、リハビリテーションの努めであるってな具合だ。

 にも関わらず多くの療法士が特段活動と参加を常に意識しているというわけではないようだ。この傾向は作業療法士よりも理学療法士の方に強い。

 しかし、予め言っておくが「活動と参加」に焦点を当てるということは「機能面」を無視することではないし、機能面へのアプローチに結果が伴っていないから諦めムードで活動や参加に目を向けるということではない。

 活動や参加のレベルを上げるためにはもちろん、機能面の改善も必要だ。しかし、機能面の改善が見られたとしても、それが活動や参加の改善に繋がるとは限らない。

 活動や参加のレベルアップが図れるよう、機能面にも、活動や参加に直接的にも、環境調整も行う必要があるってこと。

 まず、その辺の認識がしっかりしていることが大事。

 そして、国がこういってるんだから、それも絶対。無視していて痛い目を見るのは療法士自身なのだ。

 平成30年に待ち受ける、医療・介護保険の同時改定で療法士がいらない宣言されないように、しっかりと国の移行に沿った取り組みをしなければいけない。しかし、現状はそうではない。

 療法士が国の方針を軽視するがために、しっかりとICFを習った学生もいつのまにか『活動と参加』に焦点を当てる重要性を忘れるのではないだろうか。

卒業時点の療法士の技術が低すぎる

 卒業時点での療法士のスキル、とりわけ機能改善をもたらすアプローチの技術がもう少し高ければ、ボクは今の問題は起こりにくいのではないかと思う。

 療法士になろうというような人だから、基本的には患者さんや利用者さんに良くなってほしいという思いが強い人が多いと思う。

 しかし、特に新人は『良くしたいけど良くならない』というギャップに悩まされることになる。そして、そのストレスを解決するためには2つの方法がある。

 1つは、良くなるように技術を上げようと頑張ること。そして、もう一つは諦めること。

 どちらが良いわけでも無く、どちらも悪いんだよ。でもね、どちらかと言うと諦めたパターンの人はより『活動と参加』に注目するようになる。上で書いた悪い例の1つだ。機能面を改善する能力はないけど、活動と参加を改善するアイデアをいっぱい持っているセラピストになる。

 で、機能面改善の為のスキルを上げようと頑張った結果、技術習得系のセミナーとかにどっぷり浸かって活動と参加に目を向けられなくなる。このようなセミナー参加者は活動と参加に目を向けることは悪だとさえ思うようになるかもしれない。これも上で書いた悪い例の一つ。

 つまり、どちらにせよ悪い例のようになってしまう。

 じゃあどうすべきか。

 学生の時点でもう少し機能面への改善法についてもしっかり授業で教えるべきだね。そして、活動と参加に焦点と当てるってのは決して機能面へのアプローチを諦めるっていることではなく、機能面を改善する目的は活動と参加のレベルを上げるためであるとしっかり伝えていくしか無いのである。

 ボクもいくつか知ってるけど、療法士向けのスキルアップ講習には、ちと思い違いをしているものがいくつかある。それに騙されて活動と参加に目を向けられなくなっていたとしたら、ちょっと不幸だよね。本人も患者さんや利用者さんも。一生懸命であるがために、大事な視点を見落とすことになったわけだから。

 この問題については学校も、新卒者を多く受け入れる病院や施設でも新人教育の一貫として考えないといけないね。

積極的にリハマネ加算や生活行為向上加算を取るべき

 新しい制度には、必ず今の思想が反映されている。リハマネ加算や生活行為向上加算はまさにその通りのものだろう。

 療法士主導で積極的にこれら加算を取りに行くことで、スタッフの意識は変わりやすくなるし、新しく入ってくる新人の意識も変わる。

 制度や国の動向を踏まえた人材育成をしたいと考えるなら、まず既存の療法士が積極的に取り組む必要があるだろう。

まとめ

 ボクは生活行為向上マネジメントの研修にでた後、デイケアだけじゃなくてもっと幅広く加算できるようにしないとダメだよ。って感想を持ったけど、加算算定できるようになっても実際には加算できない・しない事業所が多いのも事実。

 どれだけ作業療法士協会が躍起になって生活行為向上マネジメントについて研究・広告を深めても、現場の療法士・事務方にその気がなければ始まらない。

 だから、療法士各人がもっと自分の職域確保について熱心に取り組んでいく必要があるだろう。

 そのための対策こそ、今必要とされることなのかもしれないなぁと思った。

 ボク達一人ひとりの意識が変わらなければ、業界は絶対に変わらない。

 小さな動きかもしれないけど、まずボクの周囲にいる療法士には、こういうことをブログを通じて発信していきたいなぁと思う。

 ほいじゃ、今日はここまで。また。

生活機能分類の活用に向けて―ICF(国際生活機能分類):活動と参加の基準(暫定

生活機能分類の活用に向けて―ICF(国際生活機能分類):活動と参加の基準(暫定

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