医療・介護・福祉

訪問看護ステーションの需要の増加に反して看護師不足の現実

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 訪問看護ステーション設立に際して、ってより何かしら事業を始めようと思うなら、その周辺情報へのアクセスは必須である。

 ボクは、今収集している情報の大半が訪問看護関連である。

 夢や希望に溢れる情報もあれば、目を背けたくなる、開設に躊躇するようなネガティブな情報もある。

 しかし、現在進行形で困っている利用者さん、困っている事業者がいるのは事実であり、対策すべき課題である。

 今回は現在訪問看護ステーションが抱えている問題と、その対策について書こうと思う。

訪問看護を取り巻く状況

 訪問看護ステーションの利用者数は年々増加している。

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(図引用元:みんなの介護さん)

 2016年診療報酬改定の概要からも見えてくるように、国も訪問看護ステーションを必要としており、年々訪問看護ステーション数も増えてきている。

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 データには無いが、2015年は1000事業所ほど増えたと言われている。

 しかし、これに伴い増加しなければいけない、訪問看護ステーションで働く看護師の数があまりにも足りていないのが現状である。

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 上の図から推計するに、2004年から2013年までの10年間、利用者は約13万人増えているのに対し、看護師は13000人程度しか増えていない。しかも、2011年まではほぼ横ばいで看護師が増えたのはここ数年の話である。

 これらの事から、看護師が明らかに足りていない現状が見えてくる。

事業所開設は好調、でも看護師が足りないとどうなる?

 訪問看護ステーションの設立は簡単にできる。ボクのような小物では資金がなくてヒーヒー言っているが、それなりの資金力がある企業であれば簡単に参入できる。開設にかかる費用が大きくないからだ。

 だから、近年訪問看護ステーション数は増加の一途を辿っている。これはいいことだ。しかし、開設条件で常勤換算2.5人と定められている看護師は増えていない。

 つまり、近年開設している訪問看護ステーションは少ない看護師で何とかやりくりしているのが現状だ。

 訪問看護ステーションに関する経営状況の調査を見てみると、黒字事業所の看護師数は7〜10名であることが多い反面、赤字事業所は2〜3人の最低限の人数で回していることがわかっている。

 つまり、訪問看護ステーションで利用者の役に立ち、しっかりと利益も上げていける事業所になるには、看護師さんをしっかりと確保し、離職させない環境づくりが重要であることがわかってくる。

課題への対策

 給料は沢山もらって欲しい。できるだけ負担の少ない業務体型にしてあげたい。楽しい職場にしたい。笑顔の溢れる職場にしたい。

 これらはどんな訪問看護ステーションの事業主は思っていることだと思う。

 しかし、現実はそうなっていない。看護師が確保できないからだ。

 看護師不足という根本問題を解決しないかぎり、現状の訪問看護事業所が抱える問題点は解決しないし、理想の職場など夢のまた夢となってしまう。

 だから、国も事業所もこの問題を解決する施策を行うべきなのである。

 どうやって?

 これは今回ボクも立ち上げるにあたって色々試みようと思っている段階ではあるが、潜在看護師の掘り起こしと、研修制度の充実にあると思っている。

 看護師の歴史は100年以上となり、医療系国家資格の中では医師についで2番目に古い歴史を持つ。有資格者数もダントツに多い。しかし、稼働率が少ないのが現状の看護師不足の問題だ。

 妊娠・出産・育児というやむを得ない理由で離職する人から、キツイ労働環境に耐え切れず離職する人まで理由は様々なだが、国家資格の潜在免許保持者数が一番多い職種ではないかと思う。

 この潜在看護師をいかに発掘できるか?

 現場から離れていた間のブランクを埋め、更に成長していくための研修制度をいかに充実させるかこそ、今後訪問看護ステーション事業所に求められることではないだろうか。

まとめ

 とは言え、現実的には深刻な問題だし、簡単に対策できるものではないことは百も承知である。

 しかし、何とかしなければ、この業界に未来はない。

 通常のビジネスは顧客を奪い合い、価格競争に陥るというのが成熟した業界にみられる光景だが、訪問看護業界は、少ない看護師を奪い合い、いつまでたっても利用者のサービスレベルが向上しないという本末転倒な成熟期を迎えることになる。

 いや、もしかしたら成熟する前に破綻するかもしれない。

 そんな事になって困るのは利用者だけではない。看護師もやはり職域の喪失という意味合いにおいては困ることになるだろう。

 事業者は、利用者の満足という意味で、看護師自身も自分たちの職域確保という意味合いにおいてそれぞれが努力するべき課題だと思う。

 是非ともこれを読んだ関係者はこの問題について真剣に考えてみて欲しい。

 ってところで、小児訪問看護の本が届いたからこの辺で。

 ほな、また。

小児・重症児者の訪問看護 (Q&Aと事例でわかる訪問看護)

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